↑ママの可愛いべべたん💕なTHEOくんです。
愛しさが、止まらんのですわ奥さん。
さて奥さん。
本日は、ペットブログにはまったくそぐわない。
読み物仕立てでお送りしようと思います。
無慈悲なほどに耳を圧する潮騒は止むことは決してない。
熱砂は灼けていて、足の裏を焼き続けている。
水疱に砂が喰い込んで、一足ごとに激痛が奔るが、なすすべもなく女は浜に追いやられて行く。
行かねば、醜い獄卒の荊棘の細枝で嬲られるだけだから。
抱えているのは、荒い網目も崩れかけの重い潮汲みざるひとつ。
延々と果てしない寂れた浜で、女は今日も潮を汲む。
ぼろ着をまとい、陽に灼けて赤茶けた蓬髪に、干からびた魚の鱗がいくつもひっついている。
唇の皮は白く剥け、顔にも腕にも陽膨れが浮いている。
真水は無い。
与えられない。
舌から喉から胃の腑まで、海の潮の塩気だけがへばりついて、喘鳴も止むことはない。
銀波の照り返しが、鋭角に網膜を刺すように、眼球が炙られ続ける。
涙はとうに干上がって、まつげに絡んだ塩気でまばたきさえままならない。
無理矢理目を閉じても、瞼の内側はただ赤く燃えている。
天空を仰げば、閃光のような眩しい黄色の輪が襲う。
その眩むような輪が押し迫り、まるで焼け串で脳天を突き割るような鋭い疼痛も絶え間ない。
潮を、汲まねばならない。
この破れざるで。
たがの緩んだ潮汲み桶は、隙間だらけの底板の木目から、砂地に海水があっという間に漏れていく。
微塵も疑うこともなく信じたのに。
全身全霊で愛したのに。
男は逃げた。
たった一人、心から信頼して、若さの全てを捧げたあの男は
孕んだと告げた途端に、ためらいもせず逃げた。
獄卒の怒号が、潮風で半ばかき消されながら、途切れ途切れに千切れて飛んできたかと思えば
背中をえぐる、焼け火箸を押し当てられると同じ、熱い痛みが降ってくる。
荊棘の細枝は、容赦無くぼろ着もろとも皮膚を裂いて、傷がぱっくりと白い脂肪をのぞかせた途端に、みるみる血が湧き上がってしたたっていく。
本気で愛しただけなのに。
生涯、愛し抜けると神にも誓ったはずなのに。
陽膨れが潮をかぶって、その激痛が女を朦朧とさせる。
砂浜に横倒しになったひょうしに、砂粒のじゃりじゃりとした厭な味が口の中に広がる。
揺らめく蜃気楼の向こう側に、ぼんやり映って見えるのは、かつてあれほど愛した男の幻影か。
脱水している。
渇水している。
でも、死の迎えが来ることはない。
浪音を聾するような口汚い罵声を浴びて、女は必死に潮汲みざるに手を伸ばす。
限りなく果てない大海の、潮を汲むそれだけのために。
憎くはない。
憎めばいいのに、憎めはしない。
だが恨めしい。
憤りは、積もり積もって恨みに変わる。
恨んでいるうち、愛という偽名の依存と執着は、消滅していくことはない。
膿み爛れた陽膨れの激痛にも似た想い、女の心も苛んで黒く膨れ上がってくる。
殺したい。
殺せない。
自分の全てを惜しげなく差し出して
そこまで惚れ抜いた女だけが。
そこまで惚れ切った女だけが。
この無限の浜辺に追われてやって来て潮を汲む。
永劫に。
潮を汲む。
姦通に
しとどに溺れた女だけが。
いやあの奥さん。
筆者はとっても落ち込んでるワケよ。
古い知己が、不倫の最果てに病んでいると伝えられたので。
浜で潮を汲むような恋をしたと泣いていたけれど。
その涙すら、恋の悦びだということを筆者は知っておりました。
話を聞くたび、筆者の頭の中には、潮汲みのイメージが沸きました。
実際に
「破れざるで海の水汲み続けるような関係は、精算したほうが賢明だよ?」
くらいのことは言いました。
もう、だいぶ昔のことです。
今にして思えば
もっと、強い断固とした態度と言葉を投げかけるべきだったなと。
筆者も口の中で砂粒がじゃりじゃりする思いです。
胸の奥がひりつきます。
潮汲み恋ほど、不毛な恋愛も無いですね。
ちょいと、心境なんぞ吐露させていただきました。
愛しさが、止まらんのですわ奥さん。
さて奥さん。
本日は、ペットブログにはまったくそぐわない。
読み物仕立てでお送りしようと思います。
無慈悲なほどに耳を圧する潮騒は止むことは決してない。
熱砂は灼けていて、足の裏を焼き続けている。
水疱に砂が喰い込んで、一足ごとに激痛が奔るが、なすすべもなく女は浜に追いやられて行く。
行かねば、醜い獄卒の荊棘の細枝で嬲られるだけだから。
抱えているのは、荒い網目も崩れかけの重い潮汲みざるひとつ。
延々と果てしない寂れた浜で、女は今日も潮を汲む。
ぼろ着をまとい、陽に灼けて赤茶けた蓬髪に、干からびた魚の鱗がいくつもひっついている。
唇の皮は白く剥け、顔にも腕にも陽膨れが浮いている。
真水は無い。
与えられない。
舌から喉から胃の腑まで、海の潮の塩気だけがへばりついて、喘鳴も止むことはない。
銀波の照り返しが、鋭角に網膜を刺すように、眼球が炙られ続ける。
涙はとうに干上がって、まつげに絡んだ塩気でまばたきさえままならない。
無理矢理目を閉じても、瞼の内側はただ赤く燃えている。
天空を仰げば、閃光のような眩しい黄色の輪が襲う。
その眩むような輪が押し迫り、まるで焼け串で脳天を突き割るような鋭い疼痛も絶え間ない。
潮を、汲まねばならない。
この破れざるで。
たがの緩んだ潮汲み桶は、隙間だらけの底板の木目から、砂地に海水があっという間に漏れていく。
微塵も疑うこともなく信じたのに。
全身全霊で愛したのに。
男は逃げた。
たった一人、心から信頼して、若さの全てを捧げたあの男は
孕んだと告げた途端に、ためらいもせず逃げた。
獄卒の怒号が、潮風で半ばかき消されながら、途切れ途切れに千切れて飛んできたかと思えば
背中をえぐる、焼け火箸を押し当てられると同じ、熱い痛みが降ってくる。
荊棘の細枝は、容赦無くぼろ着もろとも皮膚を裂いて、傷がぱっくりと白い脂肪をのぞかせた途端に、みるみる血が湧き上がってしたたっていく。
本気で愛しただけなのに。
生涯、愛し抜けると神にも誓ったはずなのに。
陽膨れが潮をかぶって、その激痛が女を朦朧とさせる。
砂浜に横倒しになったひょうしに、砂粒のじゃりじゃりとした厭な味が口の中に広がる。
揺らめく蜃気楼の向こう側に、ぼんやり映って見えるのは、かつてあれほど愛した男の幻影か。
脱水している。
渇水している。
でも、死の迎えが来ることはない。
浪音を聾するような口汚い罵声を浴びて、女は必死に潮汲みざるに手を伸ばす。
限りなく果てない大海の、潮を汲むそれだけのために。
憎くはない。
憎めばいいのに、憎めはしない。
だが恨めしい。
憤りは、積もり積もって恨みに変わる。
恨んでいるうち、愛という偽名の依存と執着は、消滅していくことはない。
膿み爛れた陽膨れの激痛にも似た想い、女の心も苛んで黒く膨れ上がってくる。
殺したい。
殺せない。
自分の全てを惜しげなく差し出して
そこまで惚れ抜いた女だけが。
そこまで惚れ切った女だけが。
この無限の浜辺に追われてやって来て潮を汲む。
永劫に。
潮を汲む。
姦通に
しとどに溺れた女だけが。
いやあの奥さん。
筆者はとっても落ち込んでるワケよ。
古い知己が、不倫の最果てに病んでいると伝えられたので。
浜で潮を汲むような恋をしたと泣いていたけれど。
その涙すら、恋の悦びだということを筆者は知っておりました。
話を聞くたび、筆者の頭の中には、潮汲みのイメージが沸きました。
実際に
「破れざるで海の水汲み続けるような関係は、精算したほうが賢明だよ?」
くらいのことは言いました。
もう、だいぶ昔のことです。
今にして思えば
もっと、強い断固とした態度と言葉を投げかけるべきだったなと。
筆者も口の中で砂粒がじゃりじゃりする思いです。
胸の奥がひりつきます。
潮汲み恋ほど、不毛な恋愛も無いですね。
ちょいと、心境なんぞ吐露させていただきました。