つれづれ

思いつくままに

新日本風土記

2022-02-12 17:14:20 | 

BSプレミアム毎週金曜日 夜9時から始まる一時間番組、「新日本風土記」。
「風の中に 土の匂いに もう一度 日本を見つける、わたしを 見つける」と、松たか子の声が流れる。
「日本人の記憶、一瞬の夢、千年の美、旅、愛、故郷、未来へ」・・・
いま 放映のテレビ番組の中で、いちばん こころ惹かれるひとときです。
1月14日放映は、「大阪 梅田界わい」でした。

大阪、その玄関口 梅田。
京都人のわたしにとって、いや ほとんどの京都人にとって 大阪は、好き嫌いを飛び越えた なにかしらの故郷ではないでしょうか。
中でも 梅田は、特に阪急電車梅田駅は、京都人にも 親しみ深い大ターミナルです。 
もともとのプラットフォームを南に引っ込めて作られた ながーいコンコース、断続的な動く歩道から眺める からくり人形のショーウィンドウや華やかなデコレーション、こんなに歩かされて と怒る気持ちを引っ込めざるを得ない商魂です。

阪急電車のトレードマークである 車体のこげ茶色(阪急マルーン色)は 全面手塗り塗装で、ゴールデンオリーブ色のシートは 天然のアンゴラヤギの毛、すごいです。
この「新日本風土記・大阪 梅田界わい」を見て、初めて知りました。

幼なかった頃、父の経営する会社の小さな出張所が、曽根崎近くにありました。
大阪から帰ってくる母が 買って来てくれる「エーワンベーカリー」製シュークリームの、待ち遠しかったこと。
曽根崎のどこだったかは あやふやですが、父との外食の 数少ない思い出として、「天茶漬け」の店の味と光景が 忘れられません。
あの、舌がとろけるようなおいしさと 野性的な活気を、いまでも 鮮明に覚えています。

梅田地下街の名曲喫茶「マズラ」に、寄ってみたい。
台湾からの帰化人・劉さんが  戦後の梅田近辺に拡がる闇市街に憩いの場所として始めた喫茶店が、マズラの原点だと 知りました。
梅田の東外れ 堂山町にあるゲイタウン、アイデア交差点としてのナレッジキャピタル“知の拠点”、一昔前に梅田の地にメリヤスで栄えた繊維街があったこと などなど、「新日本風土記」には 幾多の心躍る情報が詰まっています。

選「長崎街道」、「山形庄内」、選「北陸 冬のしあわせ」、そして「北上川」と続く「新日本風土記」。
かって訪ねた 懐かしい地、まだ見ぬ たまらなく訪ねてみたい地。
村下孝蔵の歌『この国に生まれてよかった』ではないけれど、この日本には、美と愛に満ち溢れた いとおしい地と人が、いたるところに実存することを、この「新日本風土記」は教えてくれます。

番組「新日本風土記」を見るたびに、もう一度訪ねてみたい地 あるいは ぜひ一度訪ねてみたい地が、次から次へと現れてくるのです。
体力と金銭が続く限り 死ぬまで 旅を続けたい、最晩年におとづれた 法外な“欲望”です。

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