今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

原発輸出は企業の自由

2011-11-29 09:31:53 | 経済
 原発の輸出と脱原発は必ずしも矛盾するものではない。次元
の違う話だからある。原発の輸出についての世論調査では、賛
成31%、反対65%(毎日新聞調査)と、反対意見の方が多いようで
ある。しかし、何を輸出するか、については企業の自由である。
ただし、国連などの国際間での禁輸事項もあろう。たとえば原
水爆などの核兵器の輸出入などは禁止されているはずである。
それ以外の輸出入は自由である。企業であれ、国家であれ自由
貿易が原則である。

 一方、原発の輸出と脱原発は矛盾するのではないか、という
論議がある。しかし、これも矛盾しない。原発を輸出しようと
する企業の自由意思である。これに対し、日本政府は禁止処置
や、規制する権限そのものがないはずである。

 次に、日本の政策が脱原発の方向にいくにしても、企業の自
由貿易の権利は残る。政府が国内企業の輸出活動をサポートす
るのは当たり前のことである。脱原発という国策と、企業の自
由のどちらも認められるべきである。逆説的には、企業側から
脱原発の方向に反対する動きをするのは妥当性に欠けるものと
いえよう。

 現在、ヨルダンとインドネシアとの原発の輸出計画が進めら
れているようである。それらの事業に関連する日本企業をサポ
ートするのは政府の義務であろう。何ら矛盾することではない。
政府は堂々とサポートすべきである。

浜岡原発停止は秋まで待てなかったのか?

2011-05-12 08:15:41 | 経済
 菅首相による浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止の要請を中部電力
が受け入れ、今日(12日)から停止作業に着手する方針と報じられた。
この結果、日量360万キロワットの電力を失うことになる。
 東海地震の確率(83.6~84.0%)が高いのが根拠となっている
ようである。しかし、福島原発の地方の確率は0.0~0.8%だったの
に今回の地震と津波に襲われた。このことを勘案すれば、すべての原発を
停止すべきだとの主張も理解できる。しかし、現在の日本はオ-ル電化と
いう言葉があるくらい電気文明といっても過言ではない。したがって、一
度にすべての原発を廃止するのは現実を無視するに等しく不可能といえよ
う。勿論、将来的には危険な原発から脱する方向に行くべきだと思われる。
 東海地震が心配されるのは十分に理解できる。危険性を排除するという
意味からすれば、今回の停止処置は妥当なものと云えよう。ただ、中部電
力が東京電力に対する供給支援(日量40万キロワット)が中止された。
その結果、中部電力自体、夏の電力余力はわずかだとも報じられている。
すなわち、東電地域と中電地域の両方が大規模停電に陥る可能性が出てき
た。そうなった場合、市民生活はもとより、産業界にわたる悪影響も心配
である。
 地震は地球自体の活動の一つであり、人知を超えている。したがってこ
の2・3カ月のあいだに東海地震があるかどうかは誰もわからないことで
ある。しかし、浜岡原発の停止は秋までまてなかったのかという疑問があ
るのも事実である。

夏場の電力対策を急げ!

2011-04-11 16:52:23 | 経済
 関東地方の夏場の電力対策を急ぐべきである。具体策を列挙してみよう。
石油危機の時にも実施済みである。

①電力融通は60hzのままで、関東に送り、東電の変電所の敷地内に50
 hz用の変電機器を設置すべきだと、同志社大学の山口栄一教授は提言し
 ている。(4月2日、読売新聞朝刊4面、参照)
 同教授は、東電の鉄塔をかりて西日本から送電線を伸ばすべきだと主張し
 ている。しかし、東電の変電所までは、新幹線や高速道路の下に配線する
 のが手っ取り早いのではないだろうか。そこから先は、東電の鉄塔を使用
 すれば早急的、実用的ではなかろうか。
  また、パソコンなどの電子機器はどちらの周波数でも使えるということ
 である。検討すべきである。
尚、東電は関西電力などから買う形式を取れば問題はないと思われる。

②全国のテレビは午前0時~午前6時までは放送禁止とすべきである。

③全国のコンビニエンス、ストア-は午前0時~午前6時までは営業禁止と
 すべきである。

④全国の商店等のネオンサインは、日没から午後10時30分までに規制す
 べきである。

⑤飲食店等の営業は、午前0時~午前6時までは営業禁止とすべきである。

⑥その他については、仕分け検討して必要あれば、規制を拡大すべきである。

⑦東電でも火力発電等の方策を考えているようであり、総合的な英知で今回
 の電力不足という危機を乗り越えなければならないと考える。

⑧現在でも北海道電力の余剰電力は東北電力へ、東北電力は東電に融通する
 玉突き状態にあるので、今後もそれを続ければいい。

 いずれにしても、市民生活、企業活動にできねだけ負担のかからないよう
にして、電力不足を克服すべきであると考える。また、宴会等の自粛は解消
すべきだと考える。時間停電は極力さけて日本の現状打開策を講ずるべきで
ある。

「有識者会合」に期待

2009-03-17 08:56:59 | 経済
 「経済危機克服のための有識者会合」がこの16日に
スタートした。当日の8人の有識者の提案は面白いが長
期的な展望に欠ける意見が多いようである。最終的には
83人になるという。その有識者であるが、現状と将来
の地球環境を理解できない人、理解しようと思わない人
の意見を聞いても何の意味もない。時間と経費の浪費で
ある。人類の将来を真剣に考えない意見や提案は、日本
ばかりでなく、地球人の延命と救済とは無関係だからで
ある。
 相変わらず、マネーゲームの達人(?)も有識者にな
っているようである。まだ、サブプライムの悪夢から抜
け出せないでいるようである。そもそも100年に一度
という世界規模の経済危機はマネーゲームの失敗が原因
である。実体経済、実効経済が原因ではない。すなわち、
本業で失敗したのではない。たとえば、銀行などは貸し
切れないほどの預金があっても、貸付できる企業が少な
いといわれる。したがって貸付による利子収入だけでは
銀行を維持していくことができない。維持していくため
には利益をどこかに求めなければならない。結局、株や
金融関連証券に活路を求めた結果である。一般企業も同
じようなものである。相当な利益をあげている大企業も、
より一層の利益を求めて金融関連証券に手を出す。いわ
ゆるマネーゲームで大失敗をしたのが今日の姿である。
楽して金さえ儲かればいい、という時代は終わったので
ある。そんな巧い話の時代は終わったということを認識
すべきではなかろうか。
 今までと同じような考え方で有識者を選んで意見を聞
いても、本当に経済危機を克服するとは思えない。一見
すると奇異の意見に感じる人の意見も聞くべきである。
何度もいうように、首都機能那須移転を即断して経済危
機を克服すべきである。そして日本と世界、すなわち将
来の地球人の延命と救済を真剣に模索しなければならな
い。選挙目的の金のバラマキなどは何の意味もない。

生活困窮の根源を考える

2008-12-13 11:01:38 | 経済
 派遣社員の大量解雇ばかりでなく、正社員の
解雇が問題となっている。そればかりか、来年
には更なる解雇が待っていると報じられている。
 この生活を脅かす問題の根源は、米国のサブ
プライムローンの商品化によるマネーゲームの
失敗に起因する。いわゆる金持ちの利益追求が
原因で、投資と関係ない世界市民が犠牲になっ
ている。
 更には、構造改革、規制緩和という日本政府
と国会議員の判断ミスも見逃すことができない。
そもそも派遣社員の制度であるが、製造業にま
で拡大増幅したのは小泉内閣の時である。小泉
劇場などとマスコミが囃し立て、それに乗せら
れて衆議院で自民党を大勝させたのは投票した
国民自身である。国会や政府を責める前に、大
勝させた自分自身を反省すべきであろう。浮つ
いた世論やムードに流された選挙の結果の恐ろ
しさをこの際、深く再考すべきであろう。
 つい最近タクシーに乗った。その運転手さん
はこんなことを云っていた。「規制緩和のせい
でタクシーが増えすぎた。過当競争で生活でき
るだけの給料を稼ぐことができない。結局、政
治家は金持ちのことしか考えないんですね」と
いう内容である。小泉内閣の負の遺産の問題で
ある。庶民の生活困窮の実態を政府や国会議員
はどれだけ心配しているのか疑問である。国民
はポスト麻生より、明日の生活を心配している
ことを忘れないでほしい。
 12日、麻生首相は「生活防衛のための緊急
対策」を発表した。23兆円にのぼる景気と雇
用促進のための提言である。内容を見ても、ど
れだけの効果をもたらすのか私自身はわからな
い。ただ、一時的な対策なことだけは確かなよ
うである。焼け石に水の観がしてならない。こ
の対策の中に長期的な対策は見当たらない。一
時しのぎの対策は将来展望を明るくするとは云
いきれないものであろう。
 ところで、リーマンブラザーズが破綻してか
ら間もなくのことであるが、英国のチャールズ
皇太子の云った言葉が印象的である。「経済も
重大な問題であるが、地球の環境問題の方が深
刻である。なぜなら、今すぐに取り組まなけれ
ば取り返しのつかない事態になるからである」
という内容である。テレビ報道されたので、見
ていた方も多いであろう。チャールズ皇太子は
相当に環境問題を熟知しているものと思われる。
それにしても、ゼネコンの環境問題音痴はひど
すぎる。あと100年も200年もこのままの
環境状態が続くと思っている。人類生存の危機
は全然頭の中にないようである。昨年、当寺の
客殿(寂光殿)を改築した。その際、日本で五
本指に入ると思われるゼネコンも営業にきた。
そのS社の営業マンに環境問題を聞いてみた。
何の心配もない、と涼しい顔して答えた。環境
の劣化に対する認識はゼロだった。これでよく
営業ができるな、と思ったものである。ゼネコ
ンがこんな調子では、国会議員も右へナラエな
んだなと推測したものである。
 いずれにしても、長期的な経済浮揚対策と環
境問題の両方に共通するのは、「首都機能」を
移転することである。与党も野党も真剣に検討
すべきである。第一、この首都機能移転問題に
対するゼネコンの対応策はゼロのように見える。
ゼネコンは勉強不足である。もしも首都機能移
転が実施されれば、猫の手を借りても足りない
人数の労働者が必要となる。最大の雇用増大の
具体策であることを認識すべきである。土木、
建築、舗装、設計、事務機器、通信、家財道具
などの関連企業は日本のほぼ全業種に及ぶはず
である。札幌を例にとれば、昨年の建築基準法
改正による許認可の複雑さと許可の出し渋りで、
景気減退の建築業界の不況は見るも無残な状態
にある。マンションを作っても売れず、余剰戸
数は多く、マンションブームは終わった観があ
る。ゼネコンの感の悪さは何なのであろうか。
 ところで、民主党は次の選挙で大勝できると
思っているようである。確かに、その可能性は
高いと思われる。与党にとって悪条件が多すぎ
るからである。しかし、内容を伴った具代的な
政策を持たない限り、短期政権になる可能性も
含まれていることを忘れるべきではないと思わ
れる。その対策の一つとして、現在の派遣関連
の事案を改正することであろう。

リ-マン破綻は貨幣経済崩壊の序章か?

2008-09-18 02:20:10 | 経済
 米証券4位のリーマン・ブラザーズ社が9月15日
破綻した。負債総額は約64兆円(6130億ドル)
である。米国史上最大の倒産である。勿論、低所得者
向け住宅融資「サブプライムローン」の失敗である。
 約1週間前の7日には、連邦住宅抵当公庫(ファニ
ーメイ)と連邦住宅貸付公社(フレデリック)が発行
した住宅ローン関連の債権と証券は約530兆円(5
兆ドル)にのぼる。両社の経営難から、米政府が2社
を政府管理下に置いて救済することを決定したばかり
である。この2社とリーマン社の証券との関連内容が
報じられていないので断定できないが、三社の負債総
額は594兆円となる。
 また、米証券3位の「メリルリンチ」社は4兆25
00億円の負債を出して、米銀2位のバンク・オブ・
アメリカ社に吸収合併された。さらに米証券5位のベ
ア・スターンズ社は今年の3月、米銀モルガン・チェ
ースに吸収合併された。米5大証券のうち、3社が吸
収合併されたことになる。考えられなかったことが起
きたのである。さらには米シティグループ6兆300
0億円、スイスのUBSが4兆5000億円の損失を
出している。さらに中小の金融機関の損失を総合計す
ると天文学的な数字になるだろう。また、「サブプラ
イムローン」の勝ち組といわれた米証券最大手のゴ-ル
ドマン・サックス社は、70%の減益(6~8月期)となり
強く影響を受けたようである。    
 不思議なのは、各社ともマネーゲームのプロが揃っ
ているはずなのに、なぜこんなに損失をだしたのか、
という理由がわからない。恐らく、米大統領のお墨付
きの「サブプライムローン」で大量の金が世界中から
米国に押し寄せたので、そのムードに酔いしれ、舞い
上がり、冷静な分析をしなかったからであろう。
 日本の金融機関もリーマン社だけでも約4400億
円の債権をかかえ、そのうちの約2000億円は回収
不可能だろうと報じられている。
 これらの損失を聞いただけでも、マネーゲームという
錬金術は通用しなくなったということであろう。言葉を
変えれば、貨幣経済は行き詰まったということであろう。
 一方、日本国内を見れば、賞味期限の切れた食品の販
売、産地の偽装、食べ残しのたらい回しなどが発覚して
いる。そればかりか残留農薬やカビなどに汚染された事
故米を食品用として販売して巨利を得た企業まで現れた。
恐ろしいことである。貨幣経済は利益追求を目的として
いる以上、このような輩が出ても不思議ではない。しか
し、それらは貨幣経済の末期症状の一つとも見える現象
なのかも知れない。
 それでなくとも、自然災害は年々巨大化しつつある。
すでに現在でも世界各国は自然災害の復旧費用だけでも
国家財政を圧迫するようになってきた。約10年くらい前
であろうか当時の日本の建設大臣は「これ以上自然災害
の復旧費用が大きくなれば、国家予算は大変なことにな
る」と災害地視察の際、テレビで云ったことがある。今
後自然災害が巨大化するのは間違いのないことである。
復旧費用が莫大すぎて、最終的には国家予算を組めなく
なる時がくるのは時間の問題といっても過言ではないと
思われる。また民間も一つの台風で多大な人的損害が゛
出れば生命保険会社は倒産することになる。また、物的
損害も多大なものとなり、農業共済などは運営困難な時
がくるのは間違いないことである。自然界を甘く見てマ
ネーゲームに没頭している間にも自然環境は悪化してい
る。自分の希望的願望にもとずく判断ではなく、科学的
に地球環境を洞察すべきである。特に、マスコミの判断
は甘すぎる。NHKを除いて。
 終身雇用の時代は終わり、派遣社員の時代となった。
しかし、夫婦で派遣社員をしている家庭は、経済的自立
が出来ない時代に入ったのではなかろうか。また、どん
な一流企業に就職しても、いつ倒産するかわからない、
いつリストラされるかわからない、という「不安の時代」
でもある。その不安によるストレスは、毎年3万人以上の
自殺者の大きな原因の一つとなっている。これらの現象
は貨幣経済の崩壊の序章のように見えて仕方がない。
 現在の弱肉強食の世界は闘争の世界である。そうでは
なくて安心して人間らしく暮らせる共存の社会を目指す
べきではなかろうか。しかし、その社会を作る時間はも
う少ししかない。今の地球上からやがて人類がいなくな
るのは確かなことである。しかし、大宇宙のどこかでこ
の地球のような星ができ、人類(宇宙人)が再生するのは
間違いのないことである。その時、ワンランク上の人間
社会ができ、人類が進化するのも間違いのないことであ
る。ブッダの教えに従って希望をもって生きるべきであ
る。

石油高騰はサブプライムの尻ぬぐいだ

2008-07-16 19:22:55 | 経済
 7月15日、全国の約20万隻の漁船が一斉休漁
した。船の燃料高騰で採算が取れず、切迫した実情
がマスコミ報道で知れ渡った。その意味からすれば
今回の漁民のアピールは成功だったといえよう。
 しかし、漁民が抱く問題が解決されたわけではな
い。この石油高騰の問題は前のサミットでも検討課
題の一つだった。しかし、何ら具体的な解決策は出
なかった。出せなかったと言う方が適当であろう。
 ところで、世界の投資機関が金を石油に回してい
る為に石油の値上げが続いている、といわれる。
 その前に、世界の金融プロ達が米国のサブプライ
ムローンで大失敗している。個人投資家をも巻き込
んだ世界的な大規模なマネーゲームの失敗である。
まさに信じられない事態が起こったのである。「う
まい話には気をつけろ」という諺どおりである。し
かも、米国の大統領は「かってこれほどの米国市民
が家をもったことはない」と、サブプライムを推進
したのである。官民一体となったマネーゲームは米
国政府の政策と一致するという安心感から世界中の
投資機関と個人投資家の天文学的な金が、米国に集
中した。それが失敗したのである。これが故意に仕
掛けられたマネーゲームだったのか、どうかという
ことは推測の域を出ない。恐らく小さな流れが、複
雑怪奇な大きな濁流と化し、誰も止められなかった
ものと推測される。一つの金融機関だけでも何兆円、
何千億円という損害を被った。あまりの大きな損失
だけに、全体的にどれだけの損害額かは正確には分
からないのが実態であろう。今後、小さな投資機関
の損失が表面化すれば、まさに天文学的な損害額と
なるのではなかろうか。
 ただ、一つの疑問がある。実質的に世界経済を支
配しているといわれる世界金融財閥の関連機関と会
社も、失敗の側に身を置いていることである。この
点に関し、二つの見方ができる。一つは、冷静に判
断できる初期は、慎重だったが、世界的な金が米国
に押し寄せる流れを見て、世界金融財閥そのものが
舞い上がってしまったのではないかという推測であ
る。いわゆる「策士策に溺れる」の譬え通りになっ
たのではないか、ということである。今一つは、サ
ブプライムに流れた金はどこに消えたのか、という
疑問である。たとえば、手数料などの経費は微々た
るものであろう。また、家の建築資金として消えた、
とも見える。しかし、天文学的な資金の流入は事実
として残る。そこに、何らかのトリックがあって笑
っている人がいないとも限らない、という見方であ
る。しかし、事実は前者ではなかろうか。その根拠
は以下の理由による。
 金儲けのプロである金融機関や投資会社が大損害
を出したのである。そこに、貨幣経済の脆弱さを見
ることができるような気がする。今回のサブプライ
ムで大失敗をしたからといって、拝金主義が見直さ
れることはないだろう。事実、石油関連に巨大な資
金が注入されているといわれる。勿論、サブプライ
ムの大失敗した金を、石油投資で取り戻そう、とい
うことであろう。さすがに目の付け所が違う。全世
界の地球人から損出した金を負担してもらおう、と
いう意図が感じられる。この事実は、すでに中盤に
きている段階ではなかろうか。失敗した金は、取り
戻せということであろう。このような世界の金の流
れを、世界中の大統領や首相が止めることは不可能
であろう。もしも、止めに入れば、自分の地位どこ
ろか、生命の危険に身をさらすことは百も承知して
いるからであろう。そこにサミットの限界があるこ
とを知るべきではなかろうか。
 また日本を見ただけでも、食品の賞味期限改ざん、
食品の産地偽装、表示以外の肉などの混入、食べ残
し料理のたらい回し、教員の不正採用等々、金にま
つわる事件が多発している。何でも有りである。ま
さに個人の良心の喪失というよりも、貨幣経済の抱
える根本的な矛盾点である。何よりもシステムの問
題である。貨幣経済の社会は営利の追求という根本
命題を達成することにある。そればかりか、会社経
営がうまくいかず、詐欺まがいの商法に身を落とす
場合もあるようである。実に切なく悲しい実態とい
えよう。
 今後の一番の問題は、自然災害が巨大化するため
に、いくら儲けても、維持、復旧費用が半端ではな
くなると予想されている。金儲けどころの話ではな
くなる。恐らく、2050年頃になると貨幣経済は
完全に崩壊するものと思われる。だから、今のうち
に儲けよう、ということなのかも知れない。