今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

消費増税は経済回復を阻む !

2012-11-30 11:14:29 | 幸福の追求

 今回の衆議院選の争点の一つに景気対策がある。具体的

には、消費税の増税問題が論議されている。民主、自民、公

明の三党合意で法案は成立した。しかし、増税と景気浮揚と

相反するのではないか、という議論である。年金・福祉と消費

税の一体改革という論理には無理がある。増税分は年金など

の福祉に全額使う、と野田首相は再三云っているが、そんなこ

とは有り得ない。増税分は、全体の国家予算に組み込まれるか

らである。一体改革というのは、増税に対する言い訳に過ぎない。

いわば詭弁である。

  また、現在のような東北大震災などで家屋を失った人もいる。

さらに不景気の真っ只中である。このような時に増税を課すのは

適当でないのではあるまいか。さらなる底冷えになるからである。

一方、増税によって充当される災害復興費が、災害と関係のない

地や、事業などに使われている。これでは内閣の体をなしていな

いと批判されても仕方ないであろう。

  昨日発表された「日本維新の会」の公約の一つに、「消費税は地

方税化し、一部は地方共有税として地域間の財政調整に充てる」とし

ている。課税や税額などのすべての権限を都道府県に移譲せよ、とい

うものである。しかし、これは明らかに豊かな大阪府と市のエゴである。

豊かでない県などは、決してこのようなことは云わないであろう。そん

なことをすれば、地域間格差が増大するだけである。「地域間の財政調整

」を各都道府県がするというのは適当ではない。馬鹿げたエゴである。

もしも、橋本徹氏が将来首相になるとすれば、消費税は国がするべきだ、

と云うはずでる。現行どおり国が消費税などの権限をもつべきである。そ

して、地方交付税を適切に配当すべきである。

  自民党の安倍総裁は、「金融緩和」すれば景気はよくなると云っている。

緩和しただけで景気が上向くはずがない。また、国の起債はすべて日銀が

引き受けよ、貨幣は輪転機でどんどん印刷せよ、とも云っている。そんなこと

をしたら、アンパン一個3,000円くらいになるだろう。南米のどこかの国のよ

うになるだろう。安倍氏は経済の基本をしっているはずである。そういう発言

はおかしい。野僧はかって、衆議院の「首都機能移転審議委員会」の委員長

あてに、「那須に移転して、内需拡大し、景気を浮揚させるべきだ」、というメー

ルを送ったことがある。そのとき、小泉首相は、ブラサガリで「今はそんな時期

ではない」、とコメントしているテレビを見たことがある。安部氏は公共事業を拡

大すると云っているが、公共事業費が削減されたのは小泉首相の自民党時代

からである。景気浮揚は、内需拡大によらなければ実現できない。それが基本

だと考える。輸出が増大すれば、より一層の浮揚となることに間違いはない。

  現在の不景気は、派遣社員制度が出てからのことである。ボーナスをもらえ

ない派遣社員の夫婦では、経済的な自立はできない。派遣社員によって大企業

などは大もうけした。しかし、派遣社員にしかなれない貧困家庭が増え、自動的

に購買力が落ちてしまった。その結果、大企業の製品が売れなくなった。結局、

天にツバすることになったのである。これが不況の根源である。このような格差

社会の是正こそ各政党に期待されているのである。内需拡大の一つとして、東

北大震災の復興を急ぐべきであろう。国民は冷静に判断して投票の際の判断

材料とすべきではなかろうか。

  消費税の増税は凍結するか、廃止すべきである。


右傾化、軍国主義に反対 !

2012-11-29 23:14:27 | 幸福の追求

 今回の衆議院選の争点の一つに右傾化、軍国主義復

活問題が提起されている。その一つに、日本維新の会の

石原慎太郎代表の「核シュミレーション」発言がある。20

日の日本外国特派員協会での講演で飛び出したと報じら

れている。「日本は核兵器に関するシュミレーションをやった

らいい。これも抑止力になる。持つ、持たないは先の話だ」、

という内容が報じられた。これは明らかに日本が核武装すべ

きだ、という意味であろう。とんでもない話しである。日本は

世界初の核被爆国である。その悲惨な体験から、教訓として

「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という非核三原則

を世界に発信してきた。国際的な紛争を解決する手段として

の戦争を放棄した平和憲法とともに、世界の模範となっている。

それでは、なぜ反対かという答えは、もしも他国と核戦争をす

れば両者ともに滅亡するからである。維新の会は、短絡的であ

る。核武装を提唱するような政党は危険な思考集団といわれて

も仕方がないであろう。石原前都知事が尖閣諸島を買い取ると

主張したのを支持したのは、平和的な手段だったからである。

また、自民党は憲法を改正して、自衛隊を「国防軍」にするとい

っている。これにも反対である。竹島に関して韓国と、尖閣諸島に

関して中国と領土問題が発生している。この両者ともに、歴史的

に見れば、日本に部があると信じている。しかし、即武力で解決する

ことには反対である。そのためにも国連がある。平和的手段で解決す

べきであると考える。自民党も性急すぎる。日本が主張すべきは主張

するべきである。自民党と維新の会が政権をとったら、徴兵制が復活

するのであろうか。

  このような危険思想の政権には反対である。平和を目指す政党に

政権をとってもらいたいものである。何より平和が大切だからである。


「未来の党」に期待 !

2012-11-28 09:26:05 | 幸福の追求

  全原発の廃炉を目指す「卒原発」を掲げる新党「未来の党」が

27日に結党された。党首は滋賀県知事の嘉田由紀子氏である。

代表代行に環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が就く。

飯田氏は脱原発の旗手の一人である。嘉田氏の本気度を証明

するものといえよう。

 同党の基本政策には卒原発の時期を明記していない。「卒業す

るにはカリキュラムを作らなければならない」、との嘉田氏の意向

があるようだ。この点については、三つの観点がある。

①即廃止案。IEA(国際エネルギー機関)は、3.11後に、日本は

 全原発を停止させても現在のエネルギーでやっていけるだけの

  施設をもっていると発表している。水力、火力などで十分対応で

  きるという内容である。事実、3.11以降は原発なしでもやって

  きたではないか。大飯原発の再稼動があったにしても、原発が

  なくてもやっていけることは確実である。今後、毎年、太陽光、

  風力などの設備が拡大することに間違いはない。したがって、

  今すぐに脱原発、卒原発になっても困ることはないはずである。

  さらに地熱発電も増設される流れになっている。したがって、完

  全な卒原発になるまでは、ガスなどの火力発電に頼らざるを得

  ない。国内でもガス田の開発が進んでおり、心配のない状態と

  いえよう。これが現状である。

②火力などの施設で故障などがあった場合、大変なことになる、と

  いう理由から即時原発全廃できないという主張がある。しかし、

  実際には①のように心配がないのが実情である。さらに、原発

  を止めれば、電気料金が高くなり、産業に多大なマイナス要因

  になる、という主張がある。しかし、電源三法による交付金や、原

  発賠償法による国家賠償の合計金額を削減すれば、、電気料金

  はこれまでと同じですむはずである。むしろ電気料金は安くなる

  はずである。それらを廃止すれば済む話である。官僚の天下り

  先の特Aクラスは電力会社であろう。官僚も電力会社も原発は

  好都合なだけの話しに過ぎない。原発維持派は、国民の心身の

  安全を無視した言動は非難されてしかるべきである。

    また、「2030年に原発を全廃する」と主張する政党は、実質、

  原発推進派、容認派といえよう。原発を全廃する意思がないとい

  わざるを得ない。無責任である。

③「卒原発」のカリキュラムといっても、せいぜい2020年までに全廃

  するのが限度であろう。あと7年余りしかない。

 今回の衆議院選挙の最大の争点の一つは脱原発問題であろう。各

党の本気度や、建前論や、欺瞞性などを喝破して投票すべきであろう。

日本全国の子や孫などを守り、歴史の宝庫である関西地区を原発事

故から守る真の政党のように「未来の党」が見えるのは、野僧の気の

せいであろうか。

 


NHKは森本アナを謹慎処分に!

2012-11-18 05:37:42 | 宗教と罪悪感

 15日、NHKの森本アナ(47)が強制わいせつ容疑で逮捕

された。同日、昼ごろまで勤務したあと、同僚と食事をしたとい

う。相当に泥酔していたようである。帰宅途中の車内の女性

(23)の胸を触ったということである。

 男性から女性を見ると、魅力的な存在である。特に泥酔して

いるときは、なおさらそう感ずるものである。被害にあわれた女

性は、さぞかし美人だったのであろう。しかし、泥酔していたと

はいえ森本アナの行為は許されないことである。迷惑をかけた

女性に、真摯に森本アナは謝罪すべきである。

 仏教の罪悪感は、誰もが犯罪者になる可能性を説いている。

人間には10の精神的なレベルがある。①地獄(殺人などを悪

と思わない心)、②餓鬼(食物や名誉などを追い求める心)、

③畜生(本能だけで行動する心)、④修羅(自分のエゴから出た

争う心)、⑤人間(あまり悪いこともしないが、特別に良いこともし

ない人並みの心)、⑥天上(てんじょう。人生の成功者の心)、

⑦声聞(しょうもん。現実的な価値観から精神的に一歩抜き出

た人の心)、⑧縁覚(一人で悟りを開いたが、人に説こうとしな

い心)、⑨菩薩(自分のことよりも、他人のためになろうとする心)、

⑩仏(最高の精神段階に達した人の心)のことである。この10

の心は誰もが持っている。したがって、どの心がいつ、どこで出

るのかわからないと説かれている。さらに二つ、三つの心がミッ

クスされて出る場合がある。普段、おとなしい人でも、突如として

殺人鬼になる場合もある。また、凶暴な性格の人でも、自分の子

供にだけは仏のように接する人もいる。いずれにしても、人間は

すべて十重人格者なのである。まさに、人は山頂を歩いている

ようなものである。風の吹く方向しだいでどこにころがり落ちるか

わからないのである。このように、いかなる人でも弱い存在なの

だ、とブッダは説いている。

  森本アナは酒によって畜生の心が出たのであろう。森本アナ

も普通の弱い人なのである。

 森本アナはさわやかな語り口と容姿で、NHKの中でも人気アナ

の一人であろう。「ニュースキャスター」、「昼のプレゼント」など経

験豊富な一番充成熟したアナウンサーである。今ここで森本アナ

を失うのは、あまりにも残念なことである。

 NHKは、森本アナを局内務めとして一年間は謹慎させるべきで

はなかろうか。

 森本アナは、どんな宗教、宗派かわからないが、野僧からいわせ

ていただければ、耐えられなくなったとき、御題目を心の中で唱え、

罪障消滅を祈念すべきだと考える。それは宗教、宗派に関係ない

ことである。それと同時に被害女性に真摯に謝罪すべきである。

 NHKに対しては、寛大な処置をしていただくことを、お願いしたい。 


田中発言は「お笑い文化」の延長だ!

2012-11-09 22:03:59 | 政治家の資質

  田中文科相(文部科学相)の4年制大学の許可申請に対する

不認可発言は、お笑い芸人の感覚だ、といわれても仕方ないで

あろう。第一、許認可に対する国権のシステムを何ら理解してい

ない。官庁は原則として申請に対して認可するというのが原則と

なっている。但し、法に適合しないものは不認可というのも原則で

ある。

 たとえば、今回の3申請のうちの札幌保険医療大学申請の場合、

相当に厳しい行政指導がある。それに適合しない間は絶対に認可

されることはない。同大学の場合、文科省と札幌市の建設課と消防

等の行政指導を満たさなければならない。このため、あっちに行っ

たり、こっちに行ったり大変である。何十篇も足を運ばなければな

らない。その下打ち合わせの後で、ようやく建築許可が下りるので

ある。勿論、文科省も内諾していなければ、建設許可はおりない。

文科省でも、本気で申請しているのか、書面だけかを識別する必要

がある。したがって、施設の内容を文科省は点検、確認することは

絶対条件である。これらの長時間の作業が完了して、はじめて認可

されるのである。プランだけで認可されることは少ないのである。

 今回は、認可直前になって田中文科相の不認可発言が飛び出した、

というのが実情であろう。すなわち田中氏はその国権のシステムが

全然わかっていなかった、といわざるを得ない。また、岡田副総理も

認可されていないうちから、キャンパスを建築するのはおかしいでは

ないか、という意味の発言をしている。これもトンチンカンな発言であ

る。すなわち、国権の現実をしらない国会議員がいかに多いか、とい

う問題が表面化したといえよう。このような現実を知らない大臣や議

員が「仕分け」などできるはずがない。すなわち、自分で許可申請し

た経験がない議員諸侯が多いということであろう。

 田中真紀子氏は頭の良い人である。一を聞いて十を知るタイプであ

る。故田中角栄氏もそうであった。両氏の違いは、政治に対する真剣さ

である。角栄氏は法的に矛盾はないか、こう発言したら、どういう反応

があるか、ということを熟慮した上で発言し、行動した政治家だった。

法律にも詳しかった。真紀子氏は、国民受けすることが先行している気

がする。いわゆるお笑い芸人感覚が多すぎるのではなかろうか。石原

慎太郎前都知事が国会へ進出することを表明した時も、すかさず「暴走

老人」発言を発している。自分も68才の老人であることを忘れているよ

うな発言はいただけない。また、「不認可」から、「認可」へと変更した時、

「良い宣伝。4、5年はブームになるかも知れない」、と発言している。自

分の発言と行動をお笑いで帳消しにしようという感覚である。

  故田中角栄氏の思い出として一つだけある。角栄氏が靖国神社に

参拝したことがある。その時、野僧は「田中万歳、靖国反対」という電報

を田中事務所に実名で送ったことがある。そうしたら翌日、野僧の寺の

総代が飛んできた。田中事務所から電話があったらしい。そのぐらい反

応が早かったのである。それからまもなく、反靖国の人たちに対して、

角栄氏が激怒している姿がテレビで放映されるのを見た。効果があった

のか、なかったのか、わからないが。10年前まで野僧は新潟の寺の住

職だったが、隣町まで角栄氏の選挙区だったからである。その総代は、

角栄氏が衆議院選に最初に出た時からの幹部だったのである。最初の

頃は、リヤカーに角栄氏を乗せて選挙運動をしたという思い出話を聞い

たものである。

 田中真紀子氏は、もっと慎重な言動をすべきである。


ハリケーン「サンディ」は、まだまだ序の口!

2012-11-02 13:02:44 | 環境劣化と人類延命の智慧

  ニューヨークなどを襲ったサンディは74人の死者と地下鉄など

への浸水による大被害を出した。さらに大停電は首都ワシントン

を含む820万世帯に及んでいる。しかし、今回のハリケーンの規

模は、まだまだ大きくなるのは確実な状況といえよう。したがって被

害も、だんだん大きくなることを意味している。本欄で何度も指摘し

ているように、最終的には竜巻規模の風速による被害発生が心配

されている。これまでの竜巻は線の状態で大被害を出したが、ハリ

ケーンは面の規模で大被害を出すことになるだろう。被害地を見て

も竜巻によるものか、ハリケーンによるものか判断できないほどの状

況になるだろう。

  また、世界各国の首都は半数以上が海岸部に位置している。津

波と高潮の大被害が心配されている。いずれにしても、自分の命は

自分で守る以外に方法はない。したがって各人が常日頃から防災意

識をもつだけでなく、具体的な防災対策を実行する必要がある。

  野僧の粗書「ブッダの予言と最期の自然災害 『大災害を生き延び

る方法』」(知道出版)がもうすぐ発刊されるので、参考にしていただけ

れば幸甚である。