今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

池上説に反論するーCOP21は何も決めていない!

2016-01-11 05:43:21 | 幸福の追求

 

 毎日新聞110日号8面に池上彰氏は「COP21は何を決めたの?」、「世界

中の国が温暖化対策を進める決意を示しました」というタイトルで書いている。

結論的には池上氏の温暖化の分析力と読解力は浅薄である。温暖化の問題点を何

も理解していない。温暖化のずぶの素人といわざるを得ない。それでは、問題点

を反論しょう。

 

 ①温暖化には二つの重大な問題点がある。一つは、これまでに人類が大気中に放出

  した炭酸ガスなどの温暖化の原因物質を抹消しなければならない。その方法、技

  術を開発できるのか、という問題点である。二つ目は、今後どれだけそれらのガ

  スの放出を規制できるか、ということである。この基本的な問題点を池上氏は何

  もわかっていない。同氏が云っているのは、第二点のことだけである。人類が生

  き延びるためにはこの二点を解決しなければ絶対に不可能である。第一点の解消

  方法の研究すらまったくなされてこなかった。この点については野僧の1998

  発行の「地球成仏」にはっきりと指摘している。その方法は不可能だろうと。そ

  の通りに推移している。

 

② 人類が生き延びるためには、産業革命以来の地球の平均気温の上昇が何度までな

  らOKなのか、という問題である。この点に関して、池上氏は「パリ協定では、

  産業革命からの気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げ、できれば1.5度未満に

  抑えることが望ましいという努力目標も示しました」と書いている。しかし、今

  回のパリ協定では目標を掲げただけで、具体的な数値目標の実行規定や規制、罰

  則等は何ら決めていない。単なる絵に描いた餅にすぎない。だから実質的には「

  何も決めなかった」というのである。

 

③ 次に「1.5度説」か「2度説」か、という問題である。野僧が「地球成仏」の中で

  1.5説を云ったのは、「地球村に生きる!」(船井幸雄・高木善之編著)を参考にして

  いる。1.5度説に納得できたからである。今回のパリ協定では島嶼諸国の1.5度説

  の主張を無視できなかったと報じられている。それらの国々は命のかかった深刻な

  問題であり、肌で感じている人々である。「地球成仏」の出版の時は0.9度平均気温

  が上昇していることが確認されている。それから17年たっている。温室効果ガスの

  排出国は中国が1位、米国が2位、インドが3位になった現在、排出量が加速されて

  いる。さらに加速されるのは目に見えている。すでに現在1度上昇しているだろう。

  そうすれば人類に残された上昇温度は0.5度しかないことになる。恐らく2050

  頃には1.5度に達するのは確実と思われる。もっと早くなる可能性もある。したが

  って温暖化が本格的に激化するのは2050年頃となるだろう。ましてや2度に上昇

  するのはさらに加速化されるはずである。最近までIPCCは今世紀末には4.8

  度上昇すると云っていた。今回のパリでは4.3度と云いなおしている。いずれに

  しても、2度であれ、4.3度であれ、4.8度であれ、それだけ平均気温が上昇した

  ら人類が生き延びることは不可能と云わざるを得ない。4度上昇しても生きられ

  ると公言する人の根拠は何なのであろうか。嘘は人類に対する重大な犯罪である。

  いずれにしても今世紀末までには4度以上上昇するのは確実なようである。50

  年頃になると秒速100mの台風や竜巻は常時襲ってくることになるだろう。人類

  絶滅が本格化するであろう。

 

④ 「温暖化の原因になる二酸化炭素などの増える量を今世紀後半にはゼロにすると

  いう目標で合意しました」と池上氏は云っているが、「人類が絶滅するだけの二

  酸化炭素が大気中に充満してから、排出量をゼロにしても、何の意味もない」。

  自己矛盾に気が付かないこと事態がずぶの素人と云わざるを得ない。安全の空売

  りはやめましょう。

 

⑤ 池上氏のテレビ等での活躍は一目おいて見ていたが博学なことは認めざるを得な

  いが、人類を救うメシアにはなれないであろう。


共産党の国会開会式への出席を歓迎!

2016-01-05 18:06:32 | 政治

 4日の参議院本会議場で行われた通常国会の開会式に、共産党が初めて出席した。

大歓迎である。現在の天皇は、太平洋戦争時代の反省から「象徴」として政治色を

出さない立場を確立した。その一方、災害見舞等で天皇をはじめとして皇族は激務

である。肉体的な苦痛を抱えたままで責務を果たしている状況と報じられている。

天皇の努力は尊敬に値する。時には熊の縫い包みを相手にしなければならない時も

ある。バカバカしいと思う反面、それも安らぎの一瞬なのかも知れない。

 いずれにしても、共産党が国会の開会式に出席したのは歓迎すべきものといえよ

う。今後も続けてもらいたい。そうすれば、保守的人々の「共産党ギライ」のイメ

―ジを和らげることができるであろう。

 次に、共産主義思想そのものが苔むしている。世界中で共産党が実質的に政権担

当している国はない。唯一の共産党政権の国は中国だけであるが、実態は資本主義

国そのものである。一方、現在の日本は単なる資本主義国家ではなく、社会主義の

一部を取り入れた国となっている。たとえば国民健康保険と社会保険の制度である。

この国民総保険制度は共産主義思想の一部を取り入れた理想国家といえなくもない。

 また、暴力革命による共産化という思想も、国民から賛同されることはありえな

いだろう。現実離れしている。

 さらに、共産主義思想も資本主義思想も、共に貨幣経済という基盤に立脚した共

通思想である。日本中のすべての政党もそうである。その意味では同じ穴のムジナ

といえよう。その一方で、温暖化の被害も年々巨大化する一方である。被害復旧費

1円も出ない時代は目前である。共産党は党名変更も自ら検討すべき時期に入っ

ていると思われる。

 いずれにしても、共産党が開会式に出席したのは歓迎すべきことといえよう。


謹賀新年

2016-01-01 12:19:40 | 幸福の追求

謹 賀 新 年

 

「殺すな、殺させるな」(法句経)

 

「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。自分の身にひき比べて、

殺してはならぬ、殺させてはならぬ」

 

「すべての者は暴力におびえる。すべての人にとって生命は愛しい。自分の身にひき

比べて、殺してはならぬ、殺させてはならぬ」

 

「生きとし生ける者は幸せを求めている。もしも暴力によって生き者を害するならば、

その人は自分の幸せを求めていても、死後には幸せが得られない」

 

「愚かな者は、悪い行いをしておきなが

ら気がつかない。浅はかな愚者は自分自

身のしたことによって悩まされる。火に

焼きこがされた人のように」

 

「手向かうことなく罪とがの人々に害を

加えるならば、次に挙げる10種のどれか

に速やかに出会うであろう。①激しい痛み、

②老衰、③身体の障害、④思い病、⑤乱心、

⑥国王からの災い、⑦恐ろしい告げ口、⑧親族の滅亡、⑨財産の損失、

⑩その人の家を火が焼く。この愚かな者は、身やぶれたのちに、地獄に

生まれる」

 

                                            平成28年元旦