「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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もし何かがおきたときの被害想定を考える

2011-03-22 18:10:52 | 福島第一原発と放射能

木下黄太です。この記事も、僕、一個人として書いております。何かお話がある方は、電話番号を明記したメールをいただければ、お電話します。

もし万が一の(私個人は万が一という低い確率とは考えておりませんが)事態が起きたときにどう考えればよいのでしょうか。こうした際に被害という見地からある専門家に聞いてみました。もちろん、その専門家も「絶対にこうなります」と断言することはできません。それでも自らの知見の中で、出来うる限りのことをするしかないと考えています。彼は、かって東海村の臨界被曝事故の際に住民やJCO職員の被爆によるDNA破損を調べたこともあり、近年、被爆という問題についてはかなりビビットな専門家です。僕自身は、もちろん原発専門のジャーナリストではありませんが、東海村の臨界被曝事故の際には、発生直後に現場近くに向かい、役場で中継対応などもしましたし、中性子線がおそらく出ていることがわかり、一旦、東海村役場を退避したものの、結局その後二週間ほど東海村で現場キャップをやり続けた経験があり(おそらく最後までいたのはNHK地元デスクと僕だけでした)、自分の被爆量に関しても厳密にチェックした記憶があります。国が算出する被爆量は少なめで、おそらく反原発グループとの間に七倍近く開きがあったことがあります。このため、国以外の専門家にも自分の被爆による影響を調べるために色んなことをしてみたのですが、まだ学問的には厳密に正しいかどうかははっきりはしていないものの、一応目安になるものとして、DNAの破損をある方式で調べてみたことがあります。こうしたことも踏まえている専門家の話です。

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連鎖爆発はあるが、瞬時に連鎖的におこるのは使用済み核燃料のみ。
破壊レベルの爆風のレベルは首都圏までは及ばない。
ただし、爆発の規模があのくらいの使用済み燃料の量で実際どのようにどうなるのかはわからないが。いずれにしてもむき出しの使用済みの核燃料が極めて危険。
格納容器の中のものは一定時間はともかくはもつけれども(一定時間ですけど)、
むき出しのものは連鎖して爆発する。爆風のレベルはたいしたことが無くても、
高濃度の放射性物質となって大気中に放散される。粉塵。このところの
風の方向から見て、首都圏か太平洋の海側に流れるかどちらかの可能性が高い。
海側に流れれば被害は少なくなる。最良のシナリオ。そういうこともあるのか、CNNは最近福島近辺の風の方向を細かく報じている。
首都圏方向へは場合、特に福島→栃木→埼玉→東京と旋回しながら動く風の可能性が割合に多いこともあるようだ。この場合は首都圏は高濃度放射性物質で蝕まれる可能性が極めて高くなる。
しかも、粉塵暴露は人体には長い時間かけて蝕まれていく。
発ガンリスクは高い。

幼児、子供、妊婦はできれば早く遠方に逃げた方が良い。妊娠可能な未婚女性がそれに続く。

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ちなみに、さっき見つけたのですが、北里大学で緊急時も含めてどうするのかを書いたサイトがあります。

http://csnw.ahs.kitasato-u.ac.jp/_ts/quake/

これも参考として読んでください。勿論一般公開したものなので、とりあえずは楽観的な見地から書いています。特に大規模爆発は起きないという想定だと。しかし、何かが起きた場合に、どう逃げられるのか、あるいはどう逃げられないのかを詳しく書いているのを、どう考えるのかだということです。僕は文脈の読める人に対して、実は書いていると思っています。どういう状況だと逃げやすくて、どういう状況だと逃げにくいのでしょうか。

 僕が考える一例ですが、高層ビルの場合は特にむずかしいかもしれません。離れることが許されない業務を進行することを会社から強制される場合、数千人単位でビルの中にいると脱出はきわめて難しくなりくます。粉塵がくるまで、おそらく、数時間の余裕があっても、脱出手段が用意されることは考えにくいです。水道水が飲めず、空調が止まり、その中でビルの中に数千人の人間がいると、ペットボトルとカンパンくらいなら2,3日しかもちません。ガラス張りのビルだと空調無しでの温度調節も厳しいです。人数が少なければ何とかなることも、人数が多ければ大変です。高濃度の中を命懸けで脱出するのか、ビルの中で凄惨な状況を迎えるのか、二つに一つの選択肢しかない場合も想定できると僕は思います。
 今回のことが何が難しいのかというと、本当にどのような事態になるのかをわかっている人は専門家にも一人もいないということです。経験値が無いことを人間はいったいどういう風に考えて生きていけるのかということです。僕個人は、「妄想が強い臆病者」と言われるレベルの人間ですので、世の皆さんと違って十二分な知見があるとはいいません。それでも、自分が近年起きた東海村のケースも遭遇していることやその後原子力という問題について、ずっと疑問を感じていたこと。たまたま現政権、総理大臣菅直人氏をはじめ官邸内部に、取材を介してではなく、直接知っている人物が複数いることで、ある程度の状況が直接わかること。菅氏本人の人間としての能力、こうした非常時における決断力や情報の精査を適正に行えるのかどうかという能力に、僕個人として、大きな疑問を持っていること(菅氏とあることで二十年ほど前に飲み屋でサシで長時間議論したことなどからの判断です)。いろんな状況を見て、これ以上は何もおこらないという幸福な結末に至ると、僕は、現在、強くは思えていないということです。

緊急時が起きた場合にどうするのかということは、個人個人に求められる判断です。その人が自分の生き方をどうするのか、どう考えるのかということです。これは誰も決めてくれません。あなた個人が決めることです。津波の映像でびっくりしたのは、一目散に逃げる人ばかりでなく、迫り来る波を暢気に見ていた人もいたことです。こうなってくると、人間というものは不思議なものですし、リスクということを目前に突きつけられても、見たくない人々が大多数であるのが、実は現実なのだとも思います。もちろん、リスクはリスクですから、常に悪い事態にはなるとは限りませんが、それでも襲ってくるものは襲ってきます。世というのは、そういうものです。

 



       


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3 コメント

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被爆 (通りすがり)
2011-03-28 14:27:06
被爆についてですが、戦後の世界的に実施された核実験時では地球規模で相当ヤられており、何を今更という感じではないのかと思うのですが、どうでしょうか。いまだに当時拡散されたヨウ素やセシウムが大気中に存在しているとのことです。
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過小評価するか?慎重になるか? (meglalala)
2013-03-06 19:01:20
この被曝(通りすがり)さんは、当時、過去の戦後の核実験と比べて相当楽観してるご様子ですね。
そして今もなお、Twitterでは、私に過去のデータが見れるサイトを投げてよこし、過去の核実験のストロンチウム90のデータが今のものとそうは変わっていないように感じるなどとメンションをよこす人が先週いました。
しかし、過去のデータの中にはストロンチウム89がありませんでした。

過小評価して、今を楽しんで、丸で福島原発放射能事故がなかったかのように、今までと変わらない生活を強いたいのは政府です。しかしそれを敢えて受け入れたい国民も居るようにも最近は感じます。

あなたはこの事故を過小評価して、この後我が子や家族の身の上に何が起こっても後悔しないと言えますか?
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西へ (三児の)
2013-03-07 07:00:06
木下さんの活動を参考にさせていただいて、子供を西の大学に進学させました。
学校でも周囲でも何故そんな所へと必ず問われます。皆さんほとんどが関東圏への進学が多数の地域だからです。同級生もほとんどが関東へ進学します。
放射能や原発について話ができる友人は数えるほどです。私たち家族だけが、気にしすぎなのかと迷いが生じても、木下さんの講演やこちらのサイトを確認して意識を高めています。
子供も進学後は、海外に出られるように勉強をすると言ってくれています。お金など限られていますので、これからの生活に不安はありますが、子供の命が優先です。
体調不良など周りでも確実におかしな事がおきています。後悔しないためにも多くの方が早く西に避難してくれることを願います。私たち夫婦も西への移住を意識しながら生活していきます。
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