「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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官邸のホームページをみて、驚きました。

2011-04-17 00:06:56 | 福島第一原発と放射能

まず、下記を読んでください。

官邸のホームページの引用です。

 

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チェルノブイリ事故との比較
平成23年4月15日

チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO,
IAEA
など8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、
25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これら
の国際機関の発表と福島原発事故を比較する。

原発内で被ばくした方
*チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3
週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が
亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
*福島では、原発作業者に急性放射線傷害はゼロ、あるいは、
足の皮膚障害が1名。

事故後、清掃作業に従事した方
*チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシ
ーベルトで、健康に影響はなかった。
*福島では、この部分はまだ該当者なし。

周辺住民
*チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーヘ
゛ルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベル
トの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められ
ない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に
飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡
くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100
)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キロ
グラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。

*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト
以下になっているので、放射線の影響は起こらない。

一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、
広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響
(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に
検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は
明らかである。

長瀧重信 長崎大学名誉教授
    (元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療
協会名誉会長)
佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事
     (前 放射線医学総合研究所 理事長) 

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この官邸のホームページに記載されたペーパーは福島は実質チェルノブイリレベルではなく、チェルノブイリも直接の被害はたいしたことがないというお話だと思います。きょうも官邸のスタッフと話しましたが、官邸の中は、とにかく、危険を指摘する話を聞かないことが、正しい状態とされているといいます。細野補佐官が原発情報をまとめていて、彼が総合的に判断して大丈夫だというと、総理以下、大丈夫と追認する状況で、危機につながる発言をする人間が、ほとんどペシミストよりもおかしい人として扱われていると聞きました。同じように危機を訴える僕も、世間からまともに相手されていないレベルの人間ですから、二人で俺たちが本当におかしくなってしまったのかどうかだなと、半分笑いながら話しました。まあ、実体の背景がこうだから大丈夫という整然とした話があるようではなくて、一時のような混乱もないし、水は入れているから大丈夫だという説明をして、それが全体のコンセンサスになっている感じのようです。深く考えている様子はないし、いろんな危機意識を有している感じは、今の官邸の中にはほとんどない感じがするということなんです。

 こうしたことも踏まえて、九州大学の吉岡先生に、このホームページの中身を伝えたところ、「チェルノブイリの本当の実体は、あの時代背景のソ連できちんとトレースされていないの歴史的な常識だろう」と言葉を失っていました。「僕はこんな話を平然と官邸がホームページに載せるとは思わなかった。原子炉の推進側の学者がある程度きちんと反省をはじめているのに、まさかこんな話をはじめるなんて。原子炉の学者よりも、こういう人たちの方が何の実像もきちんと確認せずに話をしてきているのは、僕には常識ですよ。信じがたい」と。危険が本当に回避できている状況も不十分な中での不確かな発言。「三号機も一号機もどのくらいもつかどうかが、相変わらずぎりぎりの状況なのに、原子炉のことだけでもわかっている学者の方が、まだましだよ」とまで、言われます。「木下君、君と話すたびに絶望が深まるよ」と言われ、「いや、まあこういうのが今の日本社会だからしょうがないよなあ」と。さらに先生は「僕は楽観主義者で、まあ、もしも爆発しても、近い場所でなければ時間はあると思うよ。最短なら六時間くらいだけど、この前の感覚なら、一日か二日くらい都内でも時間があるんじゃない。それから逃げても間に合うと思うよ。殆どの人は、危機感が無いから、パニックもおこらないし、渋滞にもならないんじゃないかなあ。逃げる体制さえ、自分が整えておけば大丈夫なんじゃない。危機感が本当にある人は、たぶんほとんどいない。ほんとに、ごくごく少数。しかも決断ができる人はさらに少ない」ともおっしゃいます。

 ここ数日、「逃げる」ことについてブログの読者や知り合いからたずねられます。財務省のあるキャリアが尋ねてきたのには少し驚きました。「あなたのラインなら、自分で官邸に確認すれば分かるでしょう。僕なんかに聞かなくても」と言うと、「そんなことないよ。今の官邸から意味ある話が具体的にこないなんてお前もわかるだろう。俺の立場でも判断できる材料が無いから、お前のブログを見て、お前の判断が聞きたいんだよ」とも言われました。もちろん、現場の技術者たちにも正確な見通しは難しいでしょうから、そういう心情になる政府側の人間がいるのも分かる気がしますし、聞いてくる人の本音は、自分よりも、家族を守りたいという想いですから、物理的に可能な範囲では、誠実に答えるしかありません。それは、もちろん皆さんにここでお伝えしていることと、基本的には同じ事で、次に爆発事象が起きた場合にどうするのかということと、近隣のモニタリングポストが数マイクロに、突然上がりはじめるかどうかと言う事につきます。僕はこの場合は、自分の判断に迷いはありません。自分や家族を大切に思うなら、福島第一原発より遠くに逃げることしか、基本的な方法はありません。僕の信念は「人は放射能には勝てない」ということです。

 僕のような判断をしている人間は、異端でしょうし、昔なら非国民扱いされる人間であることは間違いないと思います(今でもそうかもしれません)。さらに、僕の恐れているようなほどの危機にならず、結果的に官邸の言うとおりに、ある程度の放射性物質の拡散でとどまり、原子炉全てが数ヶ月で収束することも、もちろん考えられます(この場合でも完全に封印するまでには数十年に近い単位にはなると思いますが)。こうした場合でも、内部被曝による晩発性障害が、一定以上は、出てくると僕は思っています。現在の政府の立ち位置ですと、これを認めるまでにも、長い年月がかかる事は言うまでもないでしょう。こうした状況の中でも、危険を言うことができるかどうかは、僕には問われていると思っています。言った事により、昔なら、殺害される可能性もありますから、そういう時代ではない中で、自分が言い続けることは、自分にとっては大切なことだと思っていますし、自分が関わってきた社会に対しての責任の果たし方だとは思っています。



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54 コメント

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そうなんです。 (のんのん)
2011-04-17 00:26:27
たぶん、決断できない中の1人です…
目に見えない(放射能)というのは…
見ないことにできてしまう。
頭では危ないとか、怖いとか思っているのに
どこかで「まさか…」って思ってしまう…
きっと、そのほうが楽だから…
色々、情報をありがとうございます。
自分の力では知ることのできない情報をいただいています。
その中で自分はどうするのか?考えなければいけないと思っています。

日本はどうなってしまうんだろぅ!?と考えれば考えるほど…
このままでいたくて
そっとしておきたくて
…見ないようにしてしまっている気がします…
でも…
ただごとじゃないんですよね…今、おきていること。
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本当に… (茨城ママ)
2011-04-17 00:35:38
初めまして。
この国の報道は一体どうなったのかと思っていましたが、木下さんのように警鐘を鳴らして下さる方がいらっしゃると、逆にホッとします。

本当に官邸のHPにそんなことが…。これをまた真に受ける純粋なのか事なかれ主義なのか見ざる聞かざる言わざるなのか、決断も行動もしない大人達によって子供達の健康が失われるのがとても悔しいです。

行政に問い合わせても、自分達で判断しようとは全く考えていないようで、我が子を守れるのは私しかいないのだと改めて孤立感を深めていました。

警鐘ならし、それが杞憂だったらそれにこしたことはないのに、自分が周りから浮くのを怖がる風潮が日本人の悪い所。戦争の犠牲から何も学んでいない、公害薬害様々な国に対する訴訟から何も学んでいない。

一人訴えていても周りのママ達から浮きまくり、歯痒くてしょうがないです。

そんな中、木下さんのブログに出会えたのは希望です。

しかし…お話が本当なら、『危機感を持った上でパニックを怖がり発表しないだけの政府』ではなく、『危機感さえ持たないお気楽政府』ならば、子供達を救えない絶望を感じます…

少数派意見を言う人を叩くことが多い日本で、声を上げつづけるのは並大抵のことではないと思います。心から応援しています。

私も幼い子供達の母として、周囲の楽観に負けず、危険と子供達を守ることを伝えていきます。
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国が原発推進を至上命題としていれば納得の内容です (福島県在住)
2011-04-17 00:35:52
ようするに国は原発を辞めるつもりもないし放射線で多少のガン患者が出ても構わないという事ですね
よく考えると当然かも知れませんね
今の有力政治家に日本の将来を考える人間はいませんもの

まあ自分の身に危害がなければ100人に一人がガンになったって関係ないのでしょうね
政治家とはそういう人種なのですかね
返信する
信じられません (福島県二本松市 seino)
2011-04-17 01:41:04
「平和」にあぐらをかいた日本だということが今回の件ではっきりしてしまったのではないかと思います。

島国で外交には海を隔てるという状態がこういう国を作ってしまったのでしょうか…
いや、戦国時代や大戦中の例もありますから、もっと危機に敏感になることもできないはずはない?

ペリー来航・GHQの関与、大国より影響を受けた後に過剰な平和が訪れ、そして危機がやってくる。
形は若干違って見えますが、歴史は繰り返すのでしょうね。

日本の主体性のなさにはあきれました。
できることならアメリカに行きたい。
学歴もなく、英語などさっぱりできませんが、それでも移住したい。

いま私は原発より微妙な距離の福島県二本松市在住です。
すぐ隣の市町村は30キロ圏内であったり計画避難と発表になりました。

でも二本松市は…放射線値は市が独自に計測しているもののメディアに取り上げられることもなく、ですが市のデータでは計画避難区域とも変わらない数値が観測され続けている場所がいくつもあります。

現在の二本松市はまったくの放射線対策空白地帯です。

子供達も線量の高い学校へ通学し、ほぼ通常時の生活を強いられています。

こんな状況ですが、一般市民には政府からの号令なしにはそう簡単にどこかへ避難することなどできません。

せめて裕福ならば、間違いなく即時日本を捨ててアメリカを目指します。

そして、裕福ではない現在は…
絶対に裕福になってアメリカ移住を目指す!
と、心に決めました。

申し訳ありませんが、もう私は日本には居たくありません。。
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政府とはすごいものですね (miki)
2011-04-17 01:44:01
私もさっきこれを見て、政府は国民を見捨てるつもりなのかと唖然としました。
今時、晩発性障害を認めないなんて信じられぬ思いです。
権力とは人を狂わせてしまうものですね。これでは北朝鮮より悪い政府です。

「危機感が無い」というのは間違いだと思います。みんな心の中では、内心不安なのです。みんな不安だから、デパートとか観光地とか、極端に売り上げが落ちているのです。地震でこのように売り上げが落ちることは有りません。パニックはちょっとしたことで火がつきます。

ひなぎくさん
ーーーーーー
>実は、福島の場合は、爆発の事態に成りますと、数基がそれに一緒に巻き込まれ、その上、各基に置いてある、膨大な量の使用積み燃料も巻き込まれてしまうため、最悪チェルノブイリの10倍の放射能汚染になるそうです。
ーーーーーー

先に書いたように6機が一辺に爆発することはまずありません。
今までに放射性物質の10%が出たといいます。ではこれから出るものは、今までの9倍と考えてよいのではないでしょうか。
東京の今までの最高が0,12マイクロシーベルト/hくらいです。これの9倍なら1マイクロシーベルトくらいです。
これには理由があります。福島には神風(西風)が吹きます。拡散シュミレションを見れば分かるとおり、放射線物質のほとんどは太平洋に出て行ってます。
また最悪の事態といいますが、ほとんどの国民が対応できない程の事態を想定しても意味がありません。それこそ地球の裏側のブラジルにでも避難しなければならないなんてことを想定しても意味は無いでしょう。
あくまでもリスク対リスクという視点に立ち、最悪といっても、ほとんどの国民が対応できるまでが適切だと思います。

ーーーーーー
少し離れた第二も巻き込まれてしまう恐れがあり
ーーーーーー

考えすぎです。10キロ離れて放射線防護のついた建物にいられないような放射線量とはどのくらいのものでしょう。現在、あの危険な福島第一の構内で作業しているのですよ。

かがりさん
ーーーーーー
内部被曝を無視して正確って?)
ーーーーーー

内部被曝のことは知っています。現在、色々な説があり、時期によっても影響が違います。これを避難する指標とするのは適当では有りません。
空間線量率はあくまでも一般の人が避難しやすい指標として使っているだけですよ。確認するのもモニタリングポストで簡単に出来ます。内部被曝などを掲示している地域がありますか。

さえさん

ーーーーーー
恐らく考えておられるより、ずっと深刻だと思います。
ーーーーーー

その通りですね。
原発推進の御大が16人も揃って国民に謝罪し、大量の放射線物質を閉じ込めるのは困難と、ギブアップ宣言見たいのをしました。
そして作業員の戦線離脱が5人10人と起きているという。これでは参謀が投げ出して兵士が戦線離脱しているようなものです。峠を越えたなどと言っているのは大本営だけです。

ーーーーー
パニック防止は、ひなぎくさんのおっしゃられれているように行政が考えなければならない事です。
ーーーーーー

この記事で木下さんが書いているように政府は責任放棄しています(放射性物質による晩発性障害を認めない)
すべてを行政に頼るのは危険かも知れません。
晩発性障害を心配しているものが、晩発性障害が無いと言っている行政を頼れますか。
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電波時計 (R259)
2011-04-17 01:47:43
14日午後より翌日まで自宅(埼玉県)の壁掛型電波時計2台が正常な時間を表示しなくなりました。
電波時計の電波塔は原子力発電所から17Kmとのことですが、電波が一時送受信できなくなるような出来事が有ったのか?。
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中部大の武田先生のブログ (Unknown)
2011-04-17 01:55:16
武田先生が原子力安全委員会の委員だった平成18年、原発の耐震指針を議論した時の議事録

http://takedanet.com/2011/04/1_d08f.html

1)大きい地震が起こったら「想定外」として良い。

2) 想定外の地震が起こると「大量の放射性物質」が放散される。

3) 公衆に対して放射線被ばくが起こる。

4) 地震で極めてまれに津波が発生する

ということを認識した上で、しょうがないという結論になったそうです。

武田先生は強く反対したそうですが、発言を封じられてしまったとのことです。
返信する
電波時計 (Unknown)
2011-04-17 02:00:43
福島の送信所は地震で壊れてますよ。
佐賀の電波しか出てません。
その電波をうまく受信できなかったのでしょう。
返信する
追記 (miki)
2011-04-17 02:04:28
今までに放射性物質の10%が出たといいます。ではこれから出るものは、今までの9倍と考えてよいのではないでしょうか。
東京の今までの最高が0,12マイクロシーベルト/hくらいです。これの9倍なら1マイクロシーベルトくらい
-------

↑これは間違いでした。
チェルノブイリの6倍出るとすれば、今まで出た量の60倍くらいでしょうか。
ということで、東京の空間線量0,12×60=7,2マイクロシーベルト/hということになります。
しかし6機が一度に爆発することはありえないでしょう。
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恐ろしい‥ (埼玉のママ)
2011-04-17 02:29:53
国民を見殺しにする政府‥
事実を伝えないマスコミ‥
指示通りにしか動かない、役人や役所‥

このような状況では、自分から情報を掴みにいかないと、事実を知るのは困難だ。

そして、その結果、情報弱者の人たちや、楽天的な人たちとの温度差がかなり広がっている。

子供を守るにはどうしたらよいのか‥
調べれば調べるほど、いま日本が置かれている状況が、どれほど危ないか、クラクラしてきます。
出来ることなら、海外や西日本へ逃げたい!
でも、現実的には難しい。

水や食料に気をつかうことや、外出を極力減らしたりすることや、マメに掃除をするぐらいしか、私には出来ない。

それでも、テレビ(政府)を信用する両親からは、気にしすぎと笑われ、近所の子供らは平気で土遊びをしている。

たまに、私の考え方がおかしいのかと思うときもある。
『みんなが大丈夫って言うし、きっと大丈夫!』って見て見ぬふりする方が楽なのかもしれない。

でも、事実は事実として受け止め、出来る限り家族を守るため、今後の記事もしっかり読まさせて貰い、嘘を見抜いていければと思います!

そして、いま、子供の寝顔を見ながら、1日でも早く、安心して暮らせる日本に戻って欲しいと、心から願わずにはいられません。
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