「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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菅直人に、なぜ原発のことがきちんと伝わらないのか

2011-04-05 00:50:55 | 福島第一原発と放射能

 ぼくはきょう報じられている事柄のうち、気になるのは浪江町の累積線量が、11日間で10.3ミリになったそうです。簡単な計算なので計算します。一年では、341.7ミリの累積被曝線量になります。これは外部被曝のみです。もちろん24時間外に居る場合ですから、僕の推定で外に居るのが三分の一程度と考えると、年間113ミリシーベルト外部被曝で浴びる可能性があります。さらに内部被曝を以前推計で示したとおり、四倍で換算すると、外部被曝と内部被曝の総計で、569ミリシーベルトになります。今回の作業員の緊急で引き上げた被曝限度が250ミリシーベルトですから、年間で楽々と突破いたします。すいません。このレベルで住民の皆様を長期間現地に置くメリットが、私個人には何も理解できません。「政府がウソをついているという類の陰謀史観をもっている木下黄太」と非難されているレベルの僕が言っている戯言にすぎないと聞いていただいても良いのですが(僕は官邸にも複数情報ソースはありますし、今も繋がりがかりありいろんなことを話しています。官邸の見立ては甘いと何回も断言しますが、ウソの数字を発表しているような陰謀史観は表明していませんが)、発表されているデータだけ考えても、とても大丈夫とは思えないと言うことです。僕が再三避難地域を拡大するべきだと話しているのは、まさにこういうデータから考えているだけです。避難地域の拡大は急務です。少なくとも五十キロエリアまでは早急な判断が求められると、改めて僕は思いました。本来は、迷うことなく、その判断をなされるはずなのになぜこうならないのか、それには理由があります。僕はその根幹的な理由の一つが菅直人総理のパーソナリティーにあると断言します。総理が最高決定権を有しているはずならば、総理の意向と判断で最後はいかようにでもできるはずです。それが、この現状であるのは、彼のパーソナリティに帰着することが大きいのです。

福島県浪江町、放射線量の11日間積算増大(読売新聞) - goo ニュース

 僕は20年以上前から、菅直人氏はよく知っています。前も書きましたが、あることで、公道上で彼に理不尽な振る舞いと言動をされることがあり、許せないと思いました。その日の夜に二人でサシで居酒屋で話しましたが、最初は偉そうにくだを巻いていたのですが、こちらがなぜあなたのいいぶんがおかしいのかと、理路整然と詰め続けたところ、最後は豹変して僕にあやまってきました。当時二十代前半の若造だった僕は、気鋭の市民型政治家の実像にいささかあきれました。次の日、「木下君と飲んで喧嘩して仲良くなった」と嬉しそうに彼が話していると聞いた瞬間、気分が悪くなりました。その後、僕の身近でいろんなつながりが、菅氏の周辺にあり、なんとなくの関係はありましたが、僕自身ご本人とは極力接触しないようにしていました。なんというのか心底、嫌な人に思えたのです。これが、僕個人の感覚だけなら、どうのこうの言うことではありませんが、いろんなところで同じような話を聞きます。もともと菅と最も親しい人と、次に親しい人と、三人で話したときにも「とにかく菅は俺たちの話も聞かない」「言うだけムダ」「あいつと一緒に酒を飲むとまずなるから飲みたくない」なとどと言う台詞が連発されます。菅に遠い人ならばよくわかりますが、菅に最も近いと考えられているような人々の中でも、常識としてこういう話がされます。

 さらに、よく言われる「イラ菅」というのは、、当たり前の事柄で、とにかく気に入らないことがあると叱り飛ばして、相手を威圧するのが彼の手口です。というか、彼は基本これしかやりません。特に内部に対して、この「イラ菅」振りを発揮するのが、彼の日常です。彼に近い人々でさえ、そういう風に彼を見ているわけですから、官僚となると本当に大変です。別に官僚のえこひいをするつもりもありませんが、報告に言ったら、少し何か気に入らないとイラつかれるのが日常です。そうした場合にあなたが官僚だったら、どう考えると思いますか?官僚と言うのは良くも悪くも優秀です、そして為政者に気に入られようとするのが、官僚の本質です。この菅という人に気に入られるためには、ある種の気に入られるような報告をしなければならなくなるのが、今の官僚の立ち位置ではと、僕は推察します。官僚の中にはこのままではまずいから、どういう感じで接していくべきか悩んでいる人さえいるかもしれません。僕が知る限り、菅総理の周りはこんな感じです。そうすると、本当に彼の耳に入れなければならない情報が、特に耳障りの悪い情報が、彼の耳に届きやすい構造になっているとは、僕には全く思えません。

 実は、僕の知る複数の官邸スタッフが、今回の原発災害に関して、菅にとっては、耳障りの悪い話を入れ続ける努力を継続してやっています。彼らは、最悪の事態を想定して、否そればかりか、現在の問題のある状態を認識して、菅総理に情報をあげているのですが、その話を切り出すたびに、イライラされ、さらに「原子力は自分が一番」的なワードを持ち出されて、むかつくような対応をうけることばかりなのだそうです。それでも彼らが僕にこぼすのは「もう、本当にこんなところ辞めようと思うけどさあ、木下君。俺が言わなくなったら、菅には誰も話をあげなくて、事態が最悪の状況になったら、俺は残りの人生をずっと後悔する。少しでも国民のために俺は明日も菅に言うからさあ、君も手伝ってくれ」と。僕も菅のことは嫌いですが、自分が嫌いだからといって、あきらめたくはないので、そうした人達の手伝いも、このブログ以外に続けているのです。最新の情報では、今の凪のムードを反映して、菅は耳障りの悪い話に対する反応が極めて悪いそうです。「話すとイラつかれて本当に気分が悪いんだよ」とこぼされます。自分が「原子力は一番」的な思い込みも、邪魔しているのかもしれません。こうしたことが、今回の政府の甘い見通しに反映していると、僕は思っています。

 理解したくない人々に理解してもらうことは大変に難しいです。危険が有るのか無いのかは、最後はその人、個人個人の判断になります。僕はいつも自分が、そうした判断をぎりぎりの感覚で決断することにしています。どんなに「頭がおかしい」と罵られても、危険があるのなら、危険だと言い続けるのが僕の役割になっていると自覚しています。そして、為政者も同じように、危険が有るのなら、民を導くのが為政者の役割です。大きく強く深い決断が必要となります。そうし決断が、菅直人氏に可能であるのかどうかを僕たちは冷静にみていくしかありません。自分の安全のために。

 このブログは木下黄太が、個人の責任で書いています。何かご質問がある方は、メールにお名前と電話番号を明記してください。必要があれば連絡しますので、連絡下さいと明記してください。可能な限り対応します。

 「追記」

 今日のニュースで東京電力の福島での会見と思いますが、放射能を含んだ水を海に垂れ流すことを説明しているとき、ほとんど泣いていました。このニュースの中で本当に実は奇妙な光景でした。ただ、なぜ、泣くのか、よくわかります。僕はあの泣き顔は演技ではなく、あの人の良心だと強く思っています。つまり、事態がどういう状況であるのか、あの人の泣き顔でも分かることは多いと思います。こうしたことは、テレビニュースにほんのわずかですが、映し出されることがあります。テレビを流している側が自覚していなくても、テレビを見ている人には、思わぬ真実が伝わることがあります。映像というのは、恐ろしいものです。ある意味すごいものです。この、緊迫した状況ですから、みなさん我慢して、ニュースで、確認し続けて下さい。そうしたことによって、何かが皆さんに伝わることで、今回の事態で、皆さんの安全について、寄与する場合もあると、僕は思います。映像と言うのは当事者や伝え手の意向を、簡単に飛び越えて、視聴者である皆さんに、思わぬ真実をもたらすことがあるのだということを、忘れないでいただきたいと思います。原稿の中身やスーパーされている文言に皆さんの信頼がない場合でも、映し出された一瞬の映像には、真実があるということ。これは、新聞や雑誌、ラジオにはないテレビ映像の強みであると、僕は、自分が今の立ち位置であっても、そう考え続けています。


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13 コメント

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Unknown (ふなびん)
2011-04-05 01:19:26
【天子不徳の致すところ】
トップの不得が多くの災いをもたらす。

この言葉は今の日本の現状を象徴してると思います。
 
菅総理だから震災が起きたとは言いませんが、
震災前の迷走ぶり、それに拍車をかけた震災後の混乱ぶり。
菅総理が、引き金になっている災いは確かに発生してると思います。
後2年、このまま菅政権が続く可能性が高いというのだから、
福島の現状と合わせて、悲しくなる一方です。
せめて、地震の発生があと数日遅かったら・・・
献金問題が後数日早く進んでいたら・・・
別の体制下で、違う今日があったかもしれません。
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Unknown (正しい情報を知りたい人)
2011-04-05 01:32:35
私は民主党支持者でもないですが、菅さんであっても誰であっても結果はかわらないと思います。
今、自民党は政権に参加するチャンスはあります。でも手を上げないのは誰もこの問題に自信を持って対処できる人がいないんです。

個人攻撃してても仕方ないと思います。
木下さんだって西にまっさきに避難したという点で残った人からみれば臆病で無責任な人ですよ。
でも私は今、木下氏の情報が一番信用できると思っていますし、ある意味、社会的地位を捨ててまで情報発信していることは違った意味で勇気のいることだと思ってます。

国民が今後どうすればいいのかの判断材料になる木下氏の分析などが頂けたらと思っています。
私は誰がなんと言おうとあなたは戦うジャーナリストの1タイプだと思っています。
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いよいよ最終段階に近づいた (あさたかし)
2011-04-05 01:50:20
専門的なことは分かりませんが、50キロの避難は妥当かなという気もします。

なぜなら、マスコミ各社は取材者に線量計を持たせ一定の値が出ると撤収を指示しているからです。

その範囲は50キロどころではありません。実は、マスコミの危機管理と報道内容は全く基準が違うのです。それが本当のところなのです。

さてー
さっきニュースで汚染水の流出で東電は「海洋モニタリングをし、可能な限り汚染を抑える」という趣旨のコメントを出していたようです。

なんですかこれは?

流出をどうにも出来なくて海に流しているのに「可能な限り」とか「汚染を抑える」とかただの空念仏を唱えているだけ。
勝ち目のない戦いを「精神力と言葉」で何とかしたいのでしょうか。
。いよいよ前の大戦末期に似てきました。

だから木下氏の戦いは正しい。私は支持したい。

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Unknown (なんだかな)
2011-04-05 02:03:29
私は、あなたの情報開示の姿勢に賛同しますが
、一般の方々はあなたの姿勢に従いたくても
、もしくは賛同したくても日々の事柄が許してくれません。それは悲しくも日本人だから。
あなたのように何もかも捨て、ある意味ジャーナリスト?として活動できる人々は別ですね。
これからもあなたの発信して下さる情報も参考にしていきたいと思っております。
私は子供がおらず、夫と二人で暮らしています。友人から避難を助言されましたが、いつも一緒にいたいと思い決断しました。
これからも正しい情報に基づく報道をと心から願うばかりです。
日本全国の人々は早く普通に戻れますようにと
思っているのですから。
もし、希望のもてる情報がありましたら
お知らせください。この春を希望の春にしたいですから。それがジャーナリストの役目ですよね。悲しくも

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責任 (事務局①)
2011-04-05 02:09:00
「ミャンマー軍による長井さん殺害に抗議する会」の事務局担当者です。私は20年前から数年前までの間、菅直人氏の、いわゆる「側近」の1人でした(秘書ではありません)。ある意味、菅直人という人物の本質を、最もよく理解している人間の1人でもあります。その立場から言うのですが、菅直人という人は、あらゆる局面において「最終的に自分が責任を負わなければならなくなる可能性をすべて排除すること」が、政治家としての最大の危機管理だと考えている人物です。この考え方は、一議員として政治生命を長らえるためには、非常に有益なものですが、今回のような、非常時におけるリーダーとしては、全く以て、大きな障害であると言う外ありません。この際、「すべての責任を負う」ことだけが、菅直人氏の政治生命を長らえさせる道だということに、早く気づいてもらいたいと願うばかりです。木下黄太氏は、20年前より菅直人氏のことを心から嫌っていますが、現在、あらゆるルートを使って、なんとか菅直人氏が危機感を持ってくれるよう、必死の努力を続けてくれています。
なお、私は、マスコミでもジャーナリストでもなく、現在仕事の都合で、原発銀座の敦賀市に泊まり込んでいます。日本原電の敦賀原発や、関西電力の美浜原発、高速増殖炉もんじゅから、いずれも15km圏内のホテルで、このコメントを書いています。敦賀の人たちは、福島第一原発事故の顛末を、固唾を呑んで見つめています。
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Unknown (なんとなく)
2011-04-05 02:09:54
あなたがもし、東京圏内にいてくれたら
もしかしたら、違うムーブメントがあったかもしれませんね。これから考えてみてはいかがですか?なんとなくですけど。。。
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外部被曝と内部被曝の総計 (50のおじん)
2011-04-05 03:22:11
「直ちに健康に影響が出る数値ではない。」枝野官房長官や御用学者達が、エンドレステープのように繰り返してきた言葉です。急性障害に限れば殆ど影響はないレベルであり、番発障害に関しては、厳密な科学的証明は不可能だから、影響が出たことにはならない。意図的に番発障害を無視しているからこそ、このような台詞が吐けるのです。このような立場からすれば、避難地域の拡大など必要ない。だから、「現状ではそうした状況ではない」(枝野官房長官)となるのです。

ところで、28日、美浜の会の公開質問書に対して、厚生労働省は、外部被曝及び呼吸・食事に伴う内部被曝全体についてはどこが管理しているのか「分からない」と答えています。

31日午後の記者会見では、原子力安全委員会の代谷誠治委員が、「日本は空間線量率や浮遊物の呼気による吸入、飲食物の摂取などを勘案し、土壌ではなく人が受ける放射線レベルで退避などの防災基準を判断している」と述べています。

以上の二つの事実から、人が受ける被曝の全体量に関しては、大気汚染・食品の安全・土壌汚染を管轄する厚生労働省が全く関与せず、原子力安全委員会若しくは他の政府機関が独自に調査していることになります。

この辺りの事情について、木下さんはご存知でしょうか。できれば、お教えください。よろしくお願いします。
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なんだかなさんと50のおじんさんへ (木下黄太)
2011-04-05 03:49:28
なんだかなさんへ

勿論、良い情報が有ればお伝えします!有るといいのですが。

50のおじんさんへ

僕も美浜の会の方とも話しましたが、厚生労働省ではありません。原子力安全委員会と思われますが、確認できればしておきます。というか、本当はきちんとしていないと思います。特に内部被曝は曖昧ですし、室内での外部被曝も極めて少なく見積もります。木造室内での外部被曝も今中先生の調査だと屋外の40パーセントくらいはあるようですし。
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責任を取らない (miki)
2011-04-05 07:42:57
報道によればベントを官邸が指示した。
東電、保安院が指示にしたがわなったのでベントが遅れた。
とありますが、これは責任を取らない総理というイメージ化ら外れるのですが。
ここら辺はどうなっているのでしょう
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Unknown (宮城県民)
2011-04-05 08:33:18
事故は仕方ないです。

でも事故の結果、おろかな指導者によって殺されるのは嫌です。

個人攻撃をやめろと言われる方がいますが、競争社会では能力のない人間は振り落とされますが、妥協的選択と永田町の論理で決まった能力のない人間が今の首相です。
それは国民の選択の結果でもありますが、それこそそんなこと言っても仕方がありません。
この事件の被害者が表に出る頃にはこの内閣はありません。だからこそ早く辞めてもらうしかありません。被害者を少しでも少なくする為に。
私も会社の経営をやっていますがあの年の人が変わるということはもう不可能に近いです。ましてやこの状況下で何も変わらないのだから絶対無理といってもいいでしょう。
一刻も早く職を辞して欲しい。それだけです。
事務局を始め多くのみなさまの努力に感謝するとともに、状況が打開されることを願っています。
このままじゃ日本人というだけで海外で石を投げられる事態になりますよ・・・。
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