「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

日本と世界のリアル状況確認と僕の思索を書き留めるブログ。
重要なことはメルマガで展開していますので、ご購読下さい。

健康被害を訴えるお母さんに、風評被害を助長するので発言を控えてと言う京都市の施設整備課・渡辺課長。

2012-06-24 03:52:30 | 福島第一原発と放射能
ガレキ問題などの担当の京都市の課長が、放射能問題で避難したお母さんたちに対して、発言した内容について、下記のメールが届きました。そのままご紹介します。
「そのようなことを言われると、風評被害を助長することになるので、発言されるのは控えられたほうがよろしいと思います」という発言をしたそうです。
=====================================================
 
 
1.4月以来京都市議会の全会派の議員の方々を個別に訪問し、がれき広域処理について、環境省の説明がかならずしも事実ではないこと、あるいは科学的根拠がないことを、資料や数字を示しながら議員ひとりひとりに説明する活動をしています。2ヶ月弱で、約50名ほどの市会議員のうち、4割(約20名)の議員さんたちとの面会を終えたところです。全員に説明することを目標に、今後も活動を継続するつもりです。
 なぜこのような活動を始めたかというと、3月27日の京都市議会の決議と、同日否決された共産党提出の決議案を読んで、市会議員の方々は環境省の宣伝する内容しかしらないまま決議に賛成したのだろうと推測できたからです。

2.ところで、議員さんたちとは別に、京都市施設整備課の課長さんと面会する機会を得たので、お母さんたち数人といっしょに6月21日の午後の会談に参加しました。施設整備課は、がれき受け入れについての京都市の専門家会議の事務局の役割も担当している部署です。私といっしょに面会に参加されたお母さんのひとりは、もともと東京の杉並区にお住まいでしたが、昨年3月15日(東京にプルームが到達したと考えられている日)の直後からお子さんたちの健康が突然悪化したので、昨年秋についにご主人が勤務先に転勤願いを出され、関西に避難してこられた方です。

3.施設整備課との会談で、その避難されてきたお母さんが、お子さんたちの血液検査やエコー検査の結果を示されながら、昨年3月15日のお子さんたちの行動とその後お子さんたちの健康にどのような症状が現れているのかを、もの静かにお話しされました。そのお母さんは、放射能障害の非特異性ということをよくご存知なので、お子さんたちの健康悪化が放射能のせいだなどと声だかに主張されたわけではありません。逆に「放射能の影響だとは科学的にはわからないと思いますと」前置きされた上で、お子さんたちにどんな症状が出たのか(そして現在も続いているのか)だけを淡々とをお話しされました。母さんは机の上にお子さんたちの診断書を出されましたが、出席されていた市の職員の方々は、書類を遠くから一瞥されただけで、手に取ることはなく、そこに何が書かれていたのか見ようともしないように私には思えました。

4.お母さんの説明が終わった時、出席されていた市の職員の方から、次のような発言がありました。
「放射性セシウムは、筋肉だけに蓄積します。甲状腺の機能低下は放射性ヨウ素だけによるもので、放射性セシウムとは何の関係もありません」
 お母さんは、放射性セシウムだとか放射性ヨウ素だとかということを、ひと言も口にしたわけではありません。にもかかわらず、この職員の方は、お母さんが「こどもの健康悪化は放射性セシウムによるものだ」と主張していて、お母さんのお話を全面否定する、あたかもそれが作り話だといわんばかり、会談の文脈からはそういう趣旨の発言だと私はそういう印象を受けました。
 そこで、私の方から「放射性セシウムが筋肉だけに蓄積する」と断言された根拠を尋ねましたが、職員の方は「いろいろな意見があるから・・」とことばを濁されただけで、どういう根拠でそう断言されたのかは、答えられませんでした。この話題は、ここで打ち切りになりました。

 *注:かつては、放射性セシウムは筋肉に集積すると考えられていましたが、その他の器官にも集積するという研究がいくつも発表されています。まだよく分からないことが多い問題ではありますが、ICRPですら、放射性核種の体内摂取に伴う線量評価モデルとして、『筋肉は他の部位に比べセシウム濃度が高くなる報告があるものの,その差は小さい。したがって,線量評価の目的においてはセシウムは全身均一分布と仮定する。』としています(ICRP Publication 67)。 これを簡単にまとめた物として、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会放射性物質対策部会資料 (平成23年5月13日) 「国際放射線防護委員会(ICRP)の 放射性核種の体内摂取に伴う線量評価モデル について」

5.この職員の方の発言も少々驚きましたが、もっと驚いたのはその後です。施設整備課長さんは、我が子の健康障害を話されたお母さんに対して、次のような発言をされました。出席者全員が、耳を疑いました。

「そのようなことを言われると、風評被害を助長することになるので、発言されるのは控えられたほうがよろしいと思います」

そして、課長さんは、こういう物も読んでくださいとおっしゃって、いくつかの資料を私たちに配られました(注:資料中の下線は私が引いたものです)。

<資料1>
 

 
<資料2>
 

 
<資料3>

 

 資料の内容については、ひとつひとつ批判するのもバカバカしいような、「誰かがこう言ってる」というだけの雑誌記事・メルマガ記事・新聞記事にすぎません。「専門家ですら見解の分かれている問題」(←このことを課長さんと職員の方は会談中なんども口にされました)について、市民に対して「だれかがこう言っている」というだけの雑文を配布するとは、あいた口が塞がりませんでした。

 見解が分かれている問題だという認識があるなら、市の担当部局・専門家会議の事務局としての立場は、両方の見解とその根拠をきちんと示して、専門家会議や市民じしんの判断にゆだねるべきで、根拠も示さず一方の見解だけを断言する、根拠もしめさない意見だけが掲載された雑文を配布するなどということは、あるまじき態度だと思います。これでは、政府のプロパガンダの片棒を担いでいるだけです。お母さんにたいする侮辱であることは、論をまちません。

 市の職員や議会の議員の方々は、面会にこられた市民の方々から感情的な発言を投げかけられたり、根拠の無い素頓狂な主張を聞かされると言われます。その点はわたしも同感で、そのために私たちの議員訪問活動も当初は極度に警戒され、なかなか面会していただけなかった時期もあります(現在はちがいます)。しかしながら、それとおなじことを、市の設備整備課には言いたいと思います。行政の事務方がこのような立場で政府の宣伝の片棒だけを担ぐなら、市民の信頼はとうてい得られないでしょう。

*配られた資料をひとつづつ批判するのは、ここでの目的ではないのですが、ひとつだけ指摘しておきます。年100mSV以下であれば健康への影響はない(資料3)という主張は、BEIR-VII の報告書を引用するまでもなく、既に国じしんが昨年10月26日づけで「正しくありません」と修正し、HPでも発表しているような内容です。
原子力安全委員会資料「放射線防護の線量の基準の考え方」(平成23年10月26日 事務局による追記) http://www.nsc.go.jp/info/20110411_2.pdf
(URLをチェックしたところ、見当たらなかったので、魚拓を添付しておきます) 

 


 <追記>京都市・施設整備課の電話番号は、075-212-8500 渡辺課長

 
 

=========================================================

来週土曜日の品川講演。午前&午後で1000席のうち、八割近くは予約済みのようです。午前と午後の残席100席まで追加募集だそうです。

【6/30(土)木下黄太講演 in 品川 首都圏の今!!】

 

6月30日(土) 品川区荏原文化センター(大ホール)

主催 「品川区の子どもたちを守る会」

場所 品川区荏原文化センター


午前の部 開場10:00 開演10:30~12:00(木下講演)
先着100席  チケット・お一人1200円(未就学児無料)

午後の部 開場13:00 開演13:30~16:00
(午後の部「チェルノブイリハート」を上映+木下講演)
先着100席  チケット・お一人1800円(未就学児無料)

お申し込み期間 6月22日~6月27日まで


詳しい詳細はこちらまで↓

6/30(土) 木下黄太 in 品川 「首都圏の今」講演会追加チケット予約受付決定

 

=========================================================

 

申し訳ありません。様々な理由でバンダジェフスキー博士日本最終講演のDVDが遅れています。

もう少しかかりますが、価格2000円程度でどの程度の方がほしいのか、事前に確認をしたいと思います。

DVDをご希望の方は、下記アドレスに、お名前と希望枚数のみメールください。

これは、事前予約でなく、ほしい人がどの程度の人数なのかを、調べているだけですが、

こちらも予算がない中での作業ですので、メールを頂いてほしい枚数が全体でどのくらいかわかりたいです。

DVDの希望者の受付メールアドレスは dvdbandazhevsky@gmail.comになります。

メールのタイトルは「DVD希望( )枚」 ← ( )は数字を入れてください。

本文はあなたさまのフルネームのみお書きください。

正式に出した時点でお知らせメールも致しますので。よろしくご協力ください。

======================================================

 

次のアドレスが僕の連絡先です。いろんな形でのご依頼やご相談はまずメールでお願いします。nagaikenji20070927@yahoo.co.jp

「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。他の皆さんも極力移住してください。被曝から一年が経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響がさらに危険です。食物、飲料のみならず、吸気による被曝も軽視できません。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命が何よりも大切です。一刻も早く移住してください。」

 「健康被害と思われる事象が顕著にあらわれている方は、僕までメール下さい。事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。nagaikenji20070927@yahoo.co.jp

====================================================

http://www.kinositakouta.com/lecture


 


最新の画像もっと見る

32 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たお)
2012-06-24 07:05:13
放射性セシウムと職員の方が口にしたという事は、その職員が危険に気づいている事のあらわれだという気がします。
環境省の京都市への圧力があるのか、京都市の上の指示が今回のような対応をせよというものだからかは知りませんが、職員は仕事としてこういう対応したけれど、真の部分では放射性セシウムの怖さに気づいている気がします。
がれきもですが、がれきを行う行政機関には普通実行する前に調べるだろという事が抜け落ちている気がします。
本当は全国の行政の方が一番危険を感じとっていそうな気がします。
ただ、まともな心配をしているお母さん達が傷つけられるのはやってられないですよね。
返信する
橋下市長のコメント (かめ)
2012-06-24 08:13:44
先日読売tv の夕方の市長の生出演のコメントから。
大飯の再稼働を認めたのは、電気が止まった場合、病院、施設が麻痺をして死人が出るかもしれない危惧から。◆まだ福島からは一人も死人は出ていないが、電気不足では死人はあり得る事だと言い放ったのです。爆弾発言です!
突然死などですでにあちこちで死者が出ている事も、原発作業員の死亡も全く理解していません。知りません。
木下さん、勉強していない市長と是非面談してほしいのです。彼の攻撃的な返しは今から予測つきますが、放射能被害が現実に起きている事実を市長に理解してほしいのです。私達も諦めないで抗議していきます。どこの御用が付いているのか判りませんがかなり洗脳されていると思います。この洗脳が解けない限りは無理です。逆に云えば事実を知ることで判断が変わる事もあります。彼に限りませんが正しい情報が必要です。瓦礫問題も秒読みですがまだやれる事はないかと踏ん張ります。
返信する
地震予知 (Unknown)
2012-06-24 08:49:22
ここのHPの地震予知ですが、昨年11月から拝見しておりますが、結構当たっています。

有志の方々が運営しているものとなりますが、公共のものよりも我々に役立つ情報だと思います。なお、このHPの運営の地震予知及び公開の趣旨は皆さまの防災に役立たせるためのものらしいです。

//quote//
地震の被害を少しでも少なくしたいという気持ちと、予想に基づいて防災の強化が図れればという気持ちです。地震の予想をあてるという目的ではありません。防災が強化されればという願いだけです。
真意をご理解いただき、無断転載や単なるデマなどを飛ばさないように、お願いいたします。
//unquote//

我が国(東大がメイン?)が行っている地震予知&研究よりもまともだと思われますので趣旨をご理解の上、閲覧されてはどうかと思います。

もし地震が発生したらと思うと、福島もそうですが、大飯も心配です。

地震列島に原発は危険すぎます。
返信する
木村真三さん (Unknown)
2012-06-24 09:03:17
「栃木県那須塩原市は『市民に放射能に対する知識を深めてもらい健康不安解消』につなげるため 木村真三・獨協医大准教授を招いて講演会を開催する」

NHKに取り上げられたことで「木村真三」という名前を信頼する人が多いが 私には木村真三さんのスタンスがわからない。

事故直後に飯舘村に入り汚染状況を発信した頃の木村さんと その後 獨協医大准教授 という肩書きと安定した生活を手に入れてからの木村さん。

部分的には福島以上の汚染が確認されている那須塩原市の「市役所主催」の講演会で木村さんが「市民の不安解消」のために何を語るのか?

28日に「いきいきセンター」という所で開催されるそうなので お近くの方は是非参加して どんな内容だったのかを このブログに投稿して頂きたい、お願いします。
返信する
肝心のメールが見えません (Kasumi)
2012-06-24 09:15:50
キャッシュになっていて読めないのですがこちらの問題でしょうか?
返信する
風評は便利な言葉 (マツダマツコ)
2012-06-24 10:07:19
 とてもつらい内容でした。まったく正反対の方向から聞いている人には、どんなに道理のある説明も響かない。悲しいのは相手が市民生活をまもるはずの行政職員だということ。
 民主党政府の絆、痛み分けプロジェクト推進が、ともに闘うべき放射能被害について国民を引き裂いてしまった。罪深いです。
 それにしても風評という言葉、被災者差別という言葉で、脅されていることが悔しくてなりません。考えてみれば私たち日本に住む者はみな被害者であるのに。なぜ発言を封じられなければならないのか。風評が起きてしまうのは、全量検査できない状況で生産加工流通をごり押ししているからなのに、消費者エゴに歪曲されてしまっている。たしか児玉教授は除染活動をする前の国会での訴えに、農産物の被ばくを出荷前に機器に通して検査できる技術はあります、というようなことをおっしゃっておられましたが、今現在、そんな技術を使って検査されて出荷されているなどという話は聞いていません。
 こんな状況で 予防原則に立ち家族を守ろうとすれば、当然産地にこだわり、たとえ安全かも知れなくても汚染地域の食材を手に取るなどできません。市民にはそれを測定できるすべなどないのです。全量検査できない行政に「風評」などという言葉は使ってほしくありませんね。
返信する
瓦礫を拡散する理由 (きもさわ)
2012-06-24 14:18:20
瓦礫の拡散は、当初は目先のカネが動くことが目的なのではないかと思っていたのですが、本当の目的は全国に放射能を拡散させることによって、放射能による疾患の増加が東北地方や北関東等と、他の汚染の低い地域とにおいて「有意な差が生じない」ようにするための処置ではないかと、思えるようになってきました。つまり全国に放射能をばらまけば、任意の年度の、疾患ごとの発生率自体は、地域ごとの差異は少なくなるでしょう。(当然、時系列は隠蔽)そして真の目的を理解しない、馬鹿な首長やマスコミたちが、目先のカネに目がくらんで後押しをしているのが今の状態だという事です。これは、あくまでも憶測なので、さらに検証をする必要はあるとは思いますが。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-06-24 15:44:20
木下さま
申し訳ありませんが
課長から提出された資料がまったく
見られません。ブルーの四角に白抜きの「?」
マークが出るだけです。パソコンの問題でしょうか。
お手数かけますが、ご確認いただけるとありがたいです。
返信する
画像ファイルが (50)
2012-06-24 15:57:11
画像ファイルが見えません。
×になっています。
返信する
感想 (Unknown)
2012-06-24 15:58:51
政府にしても瓦礫拡散の地方自治体にしても
「人体は放射能の最終処分処理場」
にしたいようですね。
もしくは、
「人体は放射能の最終処分処理場」
にする流れがつよいですね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。