これは、象徴天皇制とはどういうものであるのかということを、現在の天皇陛下が述べるものと思います。
生前退位そのものについては述べずに、もっと大まかな意向を踏まえて対応を促すという話でしょう。
生前退位もそうですし、そもそも天皇という地位となることから、該当者には拒絶の自由すら与えられていません。
これは、基本的にはおかしい話です。
天皇にならない自由もなく、その血縁に生まれたら、強制的にその地位に就かせることは、本人のことは何にも考えず、他の国民の都合で強制させている話に他なりません。
ある種の強権です。
天皇制というシステムが、明治以降、さらには戦後、矛盾の塊となっていることも間違いありません。
「象徴天皇」という存在も突き詰めれば、現実の政治に形式上でも大きく関わらせることは、本来はおかしい話です。
せいぜい対外的儀礼や儀式のみに留めて、国事行為とされている大半の所為からは、そもそも免除すべきではないのかと思っています(当然ながらこれは憲法改正しないとなりませんが)。
戦前のように権力がある立場でもない(戦前も微妙ですが)天皇という存在を、このままの状態でよいのかということは、まともに一度向き合う話です。
戦前から続いた昭和天皇は、みずからの責任も含めて死ぬまで天皇を続ける道を選んでいました。
しかし、今上天皇が同じことを選ぶ必要はないと思いますし、彼はおそらく自分の孫子に関わる影響を考えているのだと思います。
このビデオを受けて、安倍総理もコメントする構図のようです。おそらくは安倍政権は天皇陛下の意向を尊重する対応を表明するのでしょう。そして、結果論的には安倍政権を強化することに繋がる状態になると思われます。そうした状況となることを踏まえて、このビデオは確認をする必要があると僕は思います。
なお、天皇陛下のビデオメッセージは東日本大震災以来の異例な話です。
原発事故から5年以上が経過して、日本社会の変動も大きくなってきている一つの顕れと僕は思います。
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『2016年 真夏の大放談(1)』
【「被曝は高齢者から蝕まれる」という状況の再確認、それでも最近に介護関係から聞こえてきた気になる話 】
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