脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

自閉症スペクトラム・二次障害。

2010年12月04日 11時57分47秒 | 発達障害
今週、精神科の診察で軽い無気力感等を訴えたら、主治医から初めて、
発達障害(自閉症)の二次障害という見立てでの診断を得た。
主治医によると、うつ病を訴える患者のかなりの人々に、「発達」の
問題が関わっているそうである。

発達障害の二次障害は、ハッペという学者が「心の理論の過活動」と
いう言葉で説明をしている。この説明は以前にブログにも書いたが、
私なりの言葉で言い換えてみたい。

自閉症者は、障害の程度で差はあるが、外界の状況に超然として自己
完結しているので、周囲の空気を読まない傾向があり、そのために
他人の内心を察知するという自然な能力が発達しにくい。
そのせいで、対人関係に齟齬や摩擦が生じ易く、自分を対他的な外界
に馴染ませようと、対人関係の理解を、特殊な推理や想像力で補って
いたりする。

しかし、人間関係は理詰めではないので、対人関係の距離、間合いの
取り方がギクシャクしたり、見当ハズレだったりと、うまくいかず、
他者の内心を察知出来ないだけに、周囲の人間に疑心暗鬼や不信感を
抱いたり、うつ症状や妄想のような状態にさえ陥ってしまうというも
のである。

これが自閉症のスペクトラムの中等度~軽度に位置する人が被り易い
二次障害というものである。自閉症の重度者では、自己完結の度合い
が強度なので、かえって二次障害には陥りにくいとも考えられている。


今回初めて、私の精神科主治医は、私を自閉症スペクトラムに位置す
る二次障害・精神病者という見立てを示してくれて、私はようやく、
自分の主張が認められたという思いで、嬉しく感じた。

今年に認可発売された新薬で「サインバルタ」というSNRI(セロ
トニン・ノルアドレナリン再吸収阻害剤)を処方された。
(勿論、これは発達障害に効く薬ではない。そのような薬は、ある種
の対症療法のための処方薬はあるが、基本的には存在しない。)


私は、軽度自閉症や発達障害者の問題は、薬では解決しないと思う。
社会的な認知を拡げる為の、啓蒙活動が何よりも必要である。

発達障害という、見えにくい軽度な脳障害をもつ人々は、実は大勢
存在しているのである。人口当たり6.3%という数字さえある。
そのような人々のほとんどが、生来の生きづらさを抱え、かなりの
高率で差別やいじめ等を経験しているようである。

法務省等が唱導している「人権」や「人権週間」というものがある
が、これとは別に「発達障害者週間」というものを定めて、この問
題の枠組みへの理解の促進や、概念の普及・啓蒙に力を入れて貰い
たい。




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