ちょい不良ゴーシュの豪酒録

何年やってもビギナーチェリストの日記

福井大学フィルハーモニー管弦楽団第57回定期演奏会

2009年12月25日 19時07分00秒 | 演奏会
12月23日(水・祝)にハーモニーホール福井にて行われた第57回福井大学フィルハーモニー管弦楽団の定演を聴きに行きました.

          

秋から冬にかけて,学生オケの演奏会がシーズンを迎えている.
学生オケは,プロオケに比べると,実力の差は歴然としている.
けれど,どの団体も音楽に対するひたむきな姿勢がいい.
クライマックスになると,「これでもかぁ~」と思うほど,力一杯盛り上げってくれるところがいい.
そして,客席でオケを見守る友人たちの暖かいまなざしがいい.

それに加えて今回は,ピアノ協奏曲のソリストがいい.
アンドレイ・イエーメッツ.
先月,信州大学交響楽団第84回定期演奏会でラフマニノフのコンチェルトを弾き,圧倒的なパワーとテクニックをみせつけた若手ピアニスト.
あの「アンドレ~イ」君がスクリャービンの協奏曲を弾くのだ.
これだけでも,金沢から福井まで出かける価値が充分にあり.

まず,チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」から演奏会が始まった.
何と言っても,この曲のいいところは,ロメオとジュリエットの愛のテーマ(第2主題).
特に後半,弦楽器全員がユニゾンで愛のテーマを奏でるところは鳥肌もの.
弦楽器の柔らかさや暖かさが存分に発揮できるメロディーで,何度聴いても思わずウルウルしちゃうくらい美しい.
うっとり陶酔して別世界へ舞い上がるような気持ちになる.
今日の弦楽器のメンバーも「これでもかぁ~」と思わせるくらい,たっぷりと歌い上げていました.
なかなか素敵な演奏でした.

次に,いよいよ「アンドレ~イ」が登場.
スラリとした長身の26歳.
長い金髪を後ろで束ね,ちょっとはにかみ気味で登場.
やっぱ,今日も格好いい.

先日のラフマニノフの2番協奏曲に比べて,スクリャービンのピアノ協奏曲はピアノパートもオーケストラパートも薄く,ぐちゃぐちゃと音が込み入っていない.
物憂げで叙情的な旋律が流れるが,シンプルなラインで書かれ表現の濃淡が薄く,演奏者泣かせかも?
「アンドレ~イ」の鮮明で力強いピアノは健在だったが,ラフ2で見せつけたテクニックを存分に発揮するような場面も少なく,なんとなく曲が進行していったような印象.
第2楽章のバリエーションの色彩の違いを,ピアノが最も鮮明に表現していたような印象を受けたところが,さすが「アンドレ~イ」.
オケも終楽章では「これでもかぁ~」という勢いで曲を閉めていました.

そして,「アンドレ~イ」のアンコール.
ステージの照明が落ちる.
ピアノだけがスポットライトに照らされて,暗闇の中から浮かび上がる.
力強くて雄弁な英雄ポロネーズが始まった.

これ,やっぱり凄い.
恐れを知らないパワー.
目がくらむほどのキラメキ.
何ものにも動じない落ち着き.
全てを一気に炸裂させていた.
もう圧倒的過ぎる.
ピアノを一番近くで聴いていたステージ上のオケのメンバーが,一番喜んでいたような気がした.

最後に,チャイコフスキーの交響曲第2番.
冒頭,ちょいとハラハラさせる部分があった.
でも,その後は怒涛の勢いで「これでもかぁ~」と完全燃焼.

ところで,プログラムに「挑戦の軌跡」という言葉があった.
本日の曲目は作曲家の若き日の「挑戦の軌跡」であり,そこに自分達の姿を投影して練習してきたという内容.
この言葉には,実感がこもっているなあ,とつくづく感心.

          

「挑戦の軌跡」は一生続く.
このことを,自分も肝に銘じていこうと思った.


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