宮城県栄養士会 食のコラム

「食と健康」についての情報発信!!

ストレスに負けない身体づくり

2011年11月15日 | インポート

 震災後のストレスから身体の不調を訴える人が増えています。Sutoresu

ストレス解消に効果のある栄養素としては、たんぱく質、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウムなどがあります。
 たんぱく質は神経の働きを良くし、精神的に安定させます。肉・魚・卵・牛乳・豆類をバランス良く、毎食適量取り入れるのが理想的です。
 ビタミンCはストレスを受けると多量に消費してしまいます。ビタミンCが不足すると、免疫力、解毒力が弱まるので、風邪をひきやすくなります。新鮮な野菜や果物をたっぷりとりましょう。いも類のビタミンCは加熱しても損失が少ないのが特徴です。
 ビタミンB群は精神のビタミンといわれ、神経伝達物質をつくるのに必要です。多く含まれるものは、レバーや魚類ですが、玄米、雑穀や豆類にも多く含まれます。Hone

カルシウムは全体の99%が骨や歯に取り込まれますが、残りの1%が血液中や筋肉、神経などにあり、重要な役割をしています。不足すると骨からカルシウムを急いで放出させ、血液中のカルシウム濃度を一定にします。
 マグネシウムも精神を安定させる働きがあり、カルシウムの働きを調整しています。マグネシウムは、魚・豆類・未精製の穀類に多く、牛乳や肉類には少ないミネラルです。
 これらの栄養素は不足しがちなので、意識して摂るよう心がけましょう。


被災を通して思うこと ~ 食はコミュニケーションを促すもの ~

2011年11月01日 | インポート

 震災後のボランティア活動として、避難所や仮設住宅へ学生と共に出向き、エコノミークラス症候群予防のための運動指導を行いました。しかし、普段の住まいとは異なった場所に集まった方々ですので、元々のコミュニティとは違っており、互いに会話をしたことのない関係もめずらしくありません。そこで、皆さんに集まっていただくきっかけ作りとして、最初に「お茶飲み会」を行うことにしました。0tya

 ここで改めて、食は人と人とのコミュニケーションを促すものであることに気がつきました。海外では食の場は会話の場、社交の場として捉えられています。そのため、食事のテーブルには互いの顔が見え、話がはずむ円卓を用いる場合が多いのです。避難所での生活は食卓もありませんでした。被災直後はあらゆる物質が不足しましたが、それらが手に入った後は、人との関係が不足するのではないでしょうか。
 我々が「お茶菓子」として提供した物は漬物とデザートでした。東北人は塩辛い漬物が大好きですが、ちょうど栄養士会からも、避難所生活により塩分の過剰摂取が報告されたところでしたし、暑い夏でしたので食べやすくさっぱりとした、酢や辛子やにんにくの風味を効かせた即席漬けを、旬のきゅうりやなすで作りました。また、デザートにはビタミンCをたっぷりと含んだグレープフルーツゼリーや、カルシウム豊富な抹茶ミルク寒天など、エネルギーを抑えつつ、避難所生活で不足が心配された栄養素に配慮しました。
 そして何より、避難所生活を余儀なくされている方々のことを思いながら、毎回簡単であっても手作りしました。避難所の方々も漬物やデザートを楽しみにして集まって下さり、間接的に人とのつながりを実感した瞬間でした。さらに食べる楽しみと同時に作る楽しみも思い出していただきたく、毎回レシピを配布し、仮設住宅でも作っていただくよう工夫しました。
 我々被災地の生活は少しずつ平常を取り戻しつつあるものの、やはり個人の生活レベルとしては今までとは異なった環境がしばらくの間続くことになります。被災直後は地域のコミュニケーションが重要であったことにも気付かされました。仮設住宅だけでなく、転居した方も多くいらっしゃいます。今、改めて、食をきっかけにして、ご近所とのコミュニケーションを図ってみてはいかがでしょうか?