いつはりの はてに見てしは まぼろしの たかどのにすむ ひとならぬ影
*前々から言っていることですが、この時代、人間を落ちてしまった人間が本当にたくさん出ました。
本当の自分を嫌がり、嘘とずるで全く違う自分を作り、それでいい目を見ようとした馬鹿な人間が、一斉に人間を落ちたのです。
本当の自分がわからなくなるまで、自分というものを嘘で作りすぎたのです。
人から徳分を盗み、派手で豊かで夢のようにすごい人間になろうとした。スーパースターで、金持ちで、美形で、人格も高い、そんな人間になろうとした。その結果、豪奢な邸宅に住んではいるが、中身は猿のように暗いという人間が多数出たのです。
もう人間の感性も進化しましたから、容易にそういう人は見わけがつく。何か異様に形は整っているが、気色が悪い。目を見たら、何か異様な感じがする。考えていることが、きつい。
普通の人間ならそんなことは考えないということを、考えている。それが突出した美形であったり、世界的に有名な紳士であったりするのです。
普通の人は見るだけでぞっとして、はなれていく。
なぜそうなってしまったのか。嘘ばっかりついて、本当の自分とは違う自分ばかりを生きてきた結果、自分の中にあった、大切なものが壊れてしまったからです。
本当の自分が、わからなくなった。それゆえにその人は、人間の形をしていながら、動物とも言えない動物になってしまったのです。
動物的なことをやるが、動物にはない人間的な知恵を持っている。それはもはや人間ではないのです。
肉体の形はなんとかなっているが、霊魂の姿は非常に醜く、恐ろしく小さくなっています。それが目の中からなんとなくわかる。自分の中の大切なものとは何なのか。それはまだわからなくてよい。ただ、人間の心を作る何かが壊れてしまったのだということは教えておきましょう。
嘘ばかりついて生きていると、いずれはそうなってしまうということは、覚えておいてください。そうなればもう、人間にはなれない。全く別のものになるべく、違う世界に赴き、そこで何かをやりはじめねばならない。
その道は、人間としての道よりも、はるかに難しい道なのです。
自分というものを嫌がる。それだけで人間は、この大切な自分を壊してしまい、取り返しのつかない結果を招いてしまうのです。