ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

夢と見し世

2017-07-30 04:19:10 | 短歌





月失せて 影なき日々に 慣れゐつつ 夢と見し世も ふたたびもがな






*これはおととい紹介した歌と同じ作者による歌です。うまいですね。さすがに修行した人だ。

月が失せその光を見ることもできなくなった日々に慣れつつも、あの夢のように見ていた世界が再びくることはないだろうかと思う。

本人がこう思っているわけではない。ただ、こういう気持ちを胸に抱いている人間がたくさんいるだろうということを詠っているのです。すらすらと詠んでいるが、なかなかにこなれている。ほとんど推敲した跡が見えません。修行した魂というのは、霊魂の奥にいい仕組みができているものですから、自然にこういうものができてくるようになるものなのです。

麗しい歌です。このような人の作品なら、いくらでも読んでみたい。おもしろい作品が有ったらまた寄せてくださるでしょう。

それはさておき、ここでは歌集などというものに触れてみましょう。最近は出版が流行というか、それほど高い表現力を持っては居ない人でも、お金さえあれば気軽に本が出せる時代です。それ専門の出版社もある。

まあ、すべてを否定するわけではありませんがね、中にはこんなものを出してもいいのかという本があるので、お金を儲けることを主目的として本を出しているのだと疑われてもせんないような現実がありますね。

歌集などもたくさん出ているが、はっきり言って個人の歌集などというものは、西行か貫之くらいの人でなければ出してはいけませんよ。素人同然の人の歌集など読んでみましたが、とても読めなかった。ガラクタ同然の言葉が羅列している。それだけならいいが、おもしろいと思って低級な感情を泥ミミズのように並べているものさえある。

こんなものばかり世の中に出していては、本当にいいものが伸びて来ません。

出版社も考えたほうがいい。

わたしたちによるこの短歌や俳句の活動では、個人の歌集を出版するなどということはあまりお勧めしないつもりです。それよりは、みんなでよい作品を集めて、多人数による歌集などつくるのがいいでしょう。装丁など気取りすぎるとつらい。品の良いかわいらしい本にして、みなで楽しめるくらいのかわいいものがいい。

それぞれの自分にあった形を勧めるつもりです。

そういう見地から言えば、表題の歌の作者などは、それなりの個人歌集など出してもそん色ないと思われますね。修行した人ですから、かなり高い歌が詠める。読みたいと思う人も、たくさんいるでしょう。






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