春霞(はるかすみ) 流るるなへに 青柳(あをやぎ)の
枝くひ持ちて うぐひす鳴くも
=巻10-1821 作者未詳=
春霞が流れるようにたなびく季節には、青柳の枝をくわえてうぐいすが鳴くなあ。 という意味。
「なへに」=同時に、につれての意。「くひ持ちて」=くわえての意。
一瞬の情景を客観的に描写した歌で、現在にも通じる感性である。
古代から鳳凰や鶴などのめでたい鳥が、花枝や松の枝などをくわえた姿を「花喰鳥」と呼び、いろいろな装飾に描かれている。鶯を見て花喰鳥を連想したのには、作者は何かおめでたいことがあったのかもしれない。
この万葉歌碑は千曲市戸倉の千曲市役所戸倉支所前の歩道に全部で4基置かれているうちのひとつ。