中麻奈(なかまな)に 浮き居(を)る舟の 漕(こ)ぎ出なば
逢(あ)ふことかたし 今日(けふ)にしあらずは
=巻14-3401 作者未詳=
千曲川に浮かんでいる船が漕ぎ出して行ってしまうのと同じように、もし行ってしまったら、逢うことが難しい。今日という日でなければ。という意味。
「中麻奈」についてはいくつかの説がある。ここでは(1)を採用した。
(1)「中麻奈」=千曲な、「な」は川に親愛をこめていう接尾語か。
「中」は「チグ」と訓まれた「沖」と同音である。したがって「中麻」=千曲。
(2)「中麻奈」=川の中州
千曲川万葉公園(南側)全景
この万葉歌碑は千曲市上山田温泉の千曲川堤にある千曲川万葉公園(万葉橋南側)に建っている。
この歌碑は万葉学者の犬養孝氏が揮毫した。
歌碑文は以下の万葉仮名が採用されている。
「中麻奈尓 宇伎乎流布祢能 許藝弓奈婆 安布許等可多思 家布尓思安良受波」