萩(はぎ)の花 咲きたる野辺(のへ)に ひぐらしの
鳴くなるなへに 秋の風吹く
=巻10-2231 作者未詳=
萩の花の咲いた野辺にひぐらしが鳴くとともに、秋の風が吹く。という意味。
夏の暑さが過ぎ、萩や蜩や秋のさわやかな風に、まっさきに秋の気配を感じるのは、古代も現代も同じようだ。
万葉の感性が現代にそのまま通じ、古代の人の気持ちと共有できる一体感を、この歌から感じとることができる。
「~なるなへに」は、「~しているのと同時に」という意味。
「蜩(ひぐらし)」は夜明けや日暮れに時を決めて、かな、かな、かな、と鳴く。
巻10の秋雑歌のなかの”風を詠む”3首のうちのひとつ。
写真は千曲市役所戸倉支所の中庭、写真左手が歩道になっている
この万葉歌碑は千曲市戸倉の千曲市役所戸倉支所前の歩道に全部で4基置かれているうちのひとつ。