飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(奈良):奈良、東大寺

2010年06月10日 | 万葉アルバム(奈良)

わが背子と 二人見ませば 幾許(いくばく)か
この降る雪の うれしからまし
   =巻8-1658 光明皇后=


 わが夫の君と、もし二人で見るのなら、どんなにか、いま降っているこの雪が喜ばしく満足に思われることであろう。という意味。

光明皇后(こうみょうこうごう)が、聖武天皇に贈った歌。
光明皇后は聖武天皇と同じ年に生まれ、その皇太子の時に数え年16で妃、即位の時に大夫人となり、そして長屋王の変を経て、天平元年(729)に皇后となった。
756年(天平勝宝8年)に聖武天皇崩御し、その遺愛のかずかずが光明皇太后から大仏に献じられた。すなわち、今日の正倉院宝物の中心となっている。その中に皇后の自筆、「藤三娘」の自署ものこり、その臨書の中には、「雲霏雪白」、雪の日に炉辺で一緒にお酒を飲みたい、と故旧を偲ぶ手紙の手本もあったようで、この歌と重なるところが興味深い。