飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(奈良):桜井、安倍文殊院

2009年11月05日 | 万葉アルバム(奈良)

つのさはふ磐余(いはれ)も過ぎず泊瀬山(はつせやま)
いつかも越えむ夜は更けにつつ
   =巻3-282 春日老=


 まだ磐余をも過ぎていない、泊瀬山はいつ越えられるだろう、夜は更けていくばかりだ。という意味。

 飛鳥から磐余を過ぎ、泊瀬山を越える春日老(かすがのおゆ)の歌。「磐余」は古京があった地で、大津皇子が処刑された磐余池があった。「つのさはふ」は「いは」にかかる枕詞。
 当時の役人が藤原の宮都で勤務後、九キロメートル程もある初瀬地方にいる恋人のところへ通う心情を歌にしたと考えられる。簡単にして的確に描写しているなかに、いろいろな情景を連想させる。

この歌碑はノーベル賞を受賞された朝永振一郎先生のペン字書きを、原稿用紙の罫線そのままを拡大して碑にしたものだそうだ。安倍文殊院の特別史蹟西古墳東脇に建っている。
安倍文殊院は桜井市の磐余付近にあり日本三大文殊のひとつで、学業成就祈願が有名で受験生が多く訪れる。