飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(奈良):吉野、象の小川

2009年07月19日 | 万葉アルバム(奈良)

昔見し象(きさ)の小川を今見れば
いよよさやけくなりにけるかも  
   =巻3-316 大伴旅人=


昔見た象の小川を今再び見ると、ますます冴え冴えと美しくなった。という意味。

聖武天皇が吉野に行幸した際、宮廷歌人である大伴旅人が作った歌である。
吉野山を水源に象山のふもと喜佐谷の杉木立のなかを流れる渓流で吉野川に流れ落ちる川が「象の小川」(喜佐谷川)である。

大伴旅人はこの歌を詠んだのち、大宰府の長官として赴任するため奈良を去っている。 赴任先で吉野を懐かしんで詠んだ歌がある。
「我が命も常にあらぬか昔見し象の小川を行きて見むため」(3-332)
(私の命も、いつまでもあってはくれないか。。。。。昔に見た象の小川を見に行くために。)
吉野に対する強い愛着が感じられる。