飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
「リンクメニュー」(分類別目次)機能付。

万葉アルバム(奈良):奈良、白毫寺

2009年04月04日 | 万葉アルバム(奈良)

高円(たかまと)の野辺(のべ)の秋萩いたづらに
咲きか散るらむ見る人無しに
   =巻2-231 笠金村=


 高円山の野のほとりの秋萩は、空しく咲いて散っているらしい。もう見る人もいないのに、という意味。

「梓弓(あづさゆみ) 手に取り持ちて・・」と葬列のたいまつの送り火を切々と歌う野辺送りの長歌(巻2-232)につづく反歌で、万葉集を代表する晩歌のひとつである。
霊亀(れいき)元年(715)に志貴皇子が亡くなったのを悲しんで詠んだ歌の一つ。

白毫寺は志貴皇子の屋敷があったところとみられ、石段わきに咲きこぼれる秋萩は見事だ。
現代の萩の寺の名所のひとつである。