逢はずして行かば惜しけむ麻久良我(まくらが)の
許我(こが)漕ぐ船に君も逢はぬかも
=巻14-3558 作者未詳=
逢わないで行ったら惜しい、古河を漕ぐ舟の中でせめてあなたは逢ってはくれないものか、という意味。
茨城県古河市には渡良瀬川が流れ、渡良瀬遊水地が近くに見える。
万葉学者中西進氏は渡し場近傍の遊女集団の歌ではないかとみている。
人が集まる渡し場周辺には遊女屋があり,そこで遊ぶことが旅の楽しみの一つであったようだ。
古河の名がある万葉歌は、この3558と3555の2種あり、ともに恋愛の歌である。
麻久良我は許我の枕詞で、古河は「まくらがの里」として地域起しがさかんで、古河総合公園の桃花は大変な人気を博している。