飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(奈良):桜井、多武峰

2009年04月09日 | 万葉アルバム(奈良)

ふさ手折り多武の山霧繁みかも
細川の瀬に波の騒ける
   =巻9-1704 人麻呂歌集=


 多武の山の霧が深いからでしょうか、細川の瀬に波が騒いでいます、という意味。
細川は多武峰に端を発し飛鳥川に注ぐ小川だが、上流で雨が降れば直ぐ増水するような急斜面を流れている。

この歌からは、自然の変化を敏感に感じとって川の瀬音や波の様子を観察している様子がうかがえる。
遠くの山にかかる霧の変化と、すぐそばの川瀬の波模様という、奥行きのある風景をあざやかに歌に取り入れており、まさに遠近法による万葉歌である。