それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

サカナクション「NFパンチ」と「魚図鑑」

2018-04-02 10:49:59 | テレビとラジオ
 サカナクションのベストアルバム「魚図鑑」が発売されて、予約していたものが家に届いた。

 サカナクションを知ったのは、留学先のことで、そこで友人がその良さを沢山教えてくれた。

 当時のサカナクションには、すごく北海道っぽさがあって、それが具体的に何かはうまく言えないんだけど、

 あの独特な自然のなかにいた人たちの「違和感」が楽曲のそこかしこに散らばっていた、そんな気がしていた。



 以降、ずっとサカナクションは聴いていたんだけど、

 徐々に距離ができていて、それはなんていうか、サカナクションが当初持っていた違和感みたいなものが

 かなり薄らいできたなあ、という印象があったからだと思う。

 アルバム「kikUUiki」までは、楽曲が明らかに歪(いびつ)で、どこか不器用な印象すらあって、それがすごく温かかった。

 その後は、楽曲の完成度がますます上がって、信じられないレベルに進んだのだけど、

 その分、自分が親しんできた歪さが無くなってしまった。



 だけど、やっぱりサカナクションは時代の空気を創っているのであって、

 山口一郎氏の葛藤や創造力は、あいかわらず、自分の研究をすごく刺激してくれている。

 だからこそ、私は今回のベストアルバムを聴いてみて、色々考えてみたかったんだと思う。

 サカナクションがどう変わってきたのか、また、自分がどう変化してきたのか。



 ベストアルバムを聴いて分かったのは、サカナクションがとても沢山のライトモチーフを最初から一貫して持っていて、

 しかもそれが結構沢山で、しかも現在まで継続している、ということ。

 北海道で培った沢山のエネルギーや感覚で、ものすごく沢山の音楽をつくってきたんだなと思った。

 インプットできる時間が減って、オリジナル・アルバムの制作がめちゃくちゃ遅くなってきた理由がすごく分かった気がした。



 サカナクションのことが気になりすぎて、いつの間にか、山口一郎が企画・出演しているスペシャの「NFパンチ」も見るようになってしまった。

 前回、前々回は「サカナ屋」(ミヤネ屋のパロディ)と題し、アーティストや音楽関係者を読んで、芸能ニュースを語り合っていた。

 そして、今回がラスト。

 すごく面白かった。

 アーティストの生身の人間としての大変さ(「ファン」らしき人間に殴られた、とか)など、この番組でしか知ることができない情報が沢山あった。

 山口一郎はキュートだ。そして、どこかすごく脆いように思えて、心配になる。



 なんでこんなにサカナクションにこだわっているんだろうと考えてみると、

 結局、自分にとってサカナクションは、北海道の人が東京で生きる面白さや難しさの象徴そのものなんだよな。

 この数日で、そのことを改めて思い出して、

 ますます私はサカナクションの次のオリジナル・アルバムが楽しみになった。

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