北陸本線の残像を413系に求めたつもりが、不愉快な現実を見せつけられてしまいました。列車を待つ乗客で溢れかえったホームを見て、一時は乗車を取り止めようとさえ思いました。それでも結局乗車したのは、ホームが混んでいた割に車内がそれほど混まなかったことによるところが一つ。そして何より、高岡に年中無休の名酒場が控えているからに他なりません。駅前の「たかまさ」で一献傾けます。
富山駅と同様に路面電車の乗り場と一体化され、面目を一新したかに見える高岡駅ですが、それは表の顔に過ぎません。駅周辺にはもぬけの殻になったビルが点在し、新幹線に素通りされた高岡市街の寂れようを無言のうちに物語っています。日曜の晩だけに呑み屋街の明かりもほとんどなく、それが余計にうらぶれて感じられる理由でもあるのでしょう。そのような中、唯一気を吐く人気店がここです。
五時過ぎという時間帯ながら、カウンターの両端にはそれぞれ二人組の先客が。奥の座敷にも家族連れがいて、大人数のお客は二階席へと上がっていきます。
先週訪ねた「葉牡丹」は別格としても、市街のうらぶれようを考えれば相当な賑わいです。廃れた市街と賑わう店内の対比は和歌山の「千里十里」を彷彿とさせるものがあります。
前回ここを訪ねたのは、新幹線の開業を間近に控えた去年の
二月でした。暦こそ立春を過ぎたとはいえ、帰りの「北越」が強風のため運転見合わせに追い込まれるなど、春は名のみで冬の名残を色濃く感じる時期でした。そのような時期だけに日本海の幸も豊富で、彩り豊かで一手間かかった刺身の盛り合わせに感服させられたものです。その後季節は巡って再び冬が訪れ、この店の品書きも本領発揮の様相を呈してきました。目の前のガラスケースも目移りするようなネタで埋め尽くされています。その結果今回も必然的に盛り合わせを注文。今が走りである氷見の鰤はさすがに入らなかったものの、本鮪のトロを筆頭に〆鯖、サス、カンパチ、アオリイカ、さらには昆布〆を加えた六点盛りです。野菜や味噌を使った飛騨の素朴な品々にもあれはあれでよさがあるとはいえ、華やかさに関してはこちらが断然勝っています。まだ初冬と呼ぶべき時期ではありますが、酒場の品書きは早くも最盛期にさしかかった感があります。来月の福井も楽しみです。
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居酒屋たかまさ
高岡市末広町42
0766-24-5745
1500PM-2400PM(日祝日 -2200PM)
正月休業
成政・苗加屋
突き出し(梅貝)
造り盛合せ
おでん二品
ガメエビ唐揚
味噌汁