日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 21:35:09 | 居酒屋
全国どこへ行ってもあるような雑然とした松本駅前の繁華街に対して、俄然風情があるのは女鳥羽川と松本城にはさまれた古くからの呑み屋街です。中でもとりわけよかったのが「山女や」で、二年前この店に出会った時には、松本で行きつけにするならこの店が一番だろうと思ったものでした。ところが、不思議と縁のない店というのは稀にあるもので、その後一度再訪したのを最後に、過去二回は満席と臨時休業で立て続けに振られてしまいました。そして今回も見事なまでの返り討ちにorz
シャッターが下りていて臨時休業の張り紙はなく、なおかつ窓から明かりが漏れていることからすると、かなりの早じまいをしたのでしょうか。いずれにしてもこれでは手の打ちようがないため、気分を切り替え前回に続いて「よゝぎ」を訪ねます。

酒はともかく肴の貧弱さは相変わらずで、ざっと品書きを眺めれば、注文してもよいと思うのは前回も食した玉葱の田楽と、山うどの酢味噌和え、それに唯一の目玉といってもよい手打ちそばがせいぜいです。過去に何度か訪ねた時は、春なら山菜、秋ならそばと茸があって、一見すると貧弱ながらもそれなりの季節感はあったものです。その点、早春の今はまさに端境期ということなのでしょう。これが日本海側なら、百花繚乱の海の幸で彩られるところ、冬の山国には何もないのだという、ある意味当たり前の事実を認識させられます。
しかし、この何もない品書きもまた季節感の表れだと思えば、それはそれで悪くありません。もとよりこの店へ行くのは肴を目当てにしてのことではなく、どこか山小屋風の落ち着ける店内であったり、通好みのする地酒であったり、飄々とした店主との語らいであったり、肴以外のものに真価があるからで、要は居心地よく酒を呑むためなのです。選んだ酒はどれも冷やしておいしいフルボディの純米酒で、嫌みのない蘊蓄にも店主の人柄が表れています。

よゝぎ
松本市 大手4-10-6
090-4159-5484
1730PM-2330PM(日曜定休)

琥珀ヱビス
佐久乃花・戸隠・美寿々
お通し三品(ブロッコリー・大根と昆布の煮物・白身魚とたらの芽の胡麻和え)
玉葱まるごと田楽
山うど酢味噌和え
手打十割そば
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 21:12:22 | 甲信越
時間が押してきたため、岡谷からは長野道を飛ばして松本に着きました。塩尻から松本にかけての県道から眺める夜景がよく、本来ならばこちらを選びたかったのですが残念ですorz
もっとも、それより深刻な問題があります。三脚の取り付け穴がまたしてもおかしくなってしまったことです。先月活動中につぶれてしまい、二台で三万以上も払って直したばかりだというのに、あろうことか実質一日使っただけでこうなるとは、当然ながら予想だにしていませんでした。こうなると俄然怪しいのは三脚です。よくよく考えると、前回のトラブルは三脚を買い換えた直後のことで、その間東北で三日間活動しただけでした。要は、前回も今回もほんのわずかな期間で取り付け穴を潰してしまっているということで、修理が雑だったのではなく三脚がおかしいという可能性が浮上してくるわけです。ただ、そうはいっても、今日三脚を使ったのは夕暮れ時の短時間だけで、どう多く見積もっても着脱したのは10回以下ですから、それでつぶれてしまうのはあまりに釈然としません。一体どうなっているのでしょうか。
犯人捜しはともかくとして、何より深刻なのは、修理に出すなら丸一週間かかってしまうということです。つまり、修理するなら週末が一回犠牲になるということです。先月ならともかく、これから桜を追って列島を毎週末北上することを考えると、まさに最悪の時期に不具合が出たということになります。起きてしまったことは仕方ないので、デジタルカメラとフィルムカメラを一週ずらして修理に出し、その間は片肺飛行で乗り切るしかないのでしょう。三脚が原因になっている可能性も否定できないため、大事をとって雲台も違うものを買った方がよさそうです。あのとき三脚をなくしたのがここまで禍根を残すとは思いませんでしたorz
ともかく、今日はもう撮影にならないので、機材を持たず手ぶらで呑み屋街に繰り出します。それでは後ほどお会いしましょう…
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 19:51:08 | 温泉
20号線を延々走って下諏訪に着きました。高速料金を惜しんだのかというと必ずしもそうではありません。茅野でも諏訪でもバイパスは一切なく、これが二桁国道の本道かと思うほどの貧弱な道ではありましたが、この雰囲気が20号線らしくてよいのです。
さて、本日訪ねるのは一年ぶりの再訪となる「菅野温泉」です。未踏の公衆浴場もいくつか残っている中、あえて新規開拓ではなく再訪を選んだ直接の理由は、一般道の走行で時間を消費した結果、経路上のロスがなく勝手も分かったこの温泉が最適だったからです。しかし、これはこれで悪くこありません。中山道と甲州街道が合流する交差点のすぐそばに建つ、火の見櫓を建てた公民館と棟続きになった意表を突く立地であるとか、ニス塗りの古めかしい番台回りであるとか、細かいタイルで縁取られた楕円の大きな浴槽であるとか、一つ一つのものがひなびた宿場町の公衆浴場の風情に満ちているからです。下諏訪で心惹かれる公衆浴場は他にもいくつかあるとはいえ、もし初見の人を案内するなら、私は迷うことなくここを選ぶでしょう。

★菅野温泉
諏訪郡下諏訪町3239-2
0266-27-6095
500AM-2130PM
入浴料220円
泉質 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 18:48:23 | 甲信越
20号線を下って白州に着きました。道の駅でお待ちかねの湧水を汲みます。しかし、春の陽気で汗ばんだところへほうとうで再び大汗をかき、一刻も早く湧水をがぶ飲みしたいと思っていたはずが、気付けばすっかり冷え込んで、湧水よりも温泉で身体を温めたくなってきました。それでいながら気温は今も10度を超えており、甲府にいた午前中より高いというのですから、今日の気温と体感温度の違いには終始首を傾げずにはいられません。
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2013-03-16 17:56:14 | 甲信越
甲斐駒ヶ岳が茜色から紫色に変わるのを見届けて昼の部は終了。この後は一風呂浴びて松本へ向かいます。現在の気温は12度、しかし一桁だった午前中よりはるかに体感温度は低く、半袖シャツ一枚から再び長袖二枚に着替えました。最新の予報によると、今夜の松本の最低気温は氷点下2度、それが明日は再び18度まで上がると予想されています。都会ではまず考えられない寒暖の差が内陸ならではです。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 16:56:45 | 甲信越
残念ながら西の空に雲が出て日が陰りがちになってしまったため、少し早めに昼の部を切り上げ松本へ向かうことにしました。
そんなくだりを考えつつ車を停めて振り返ると、そこには感嘆するような絶景が。釜無川の流れの向こうに甲斐駒ヶ岳が屹立し、雲間から差した夕日が後光のように降り注いでいたのです。雲が流れて日が傾くごとに少しずつ見え方も変わるため、下手な快晴よりも絵になります。これは西の空に適度な雲が出て、なおかつ夕日が甲斐駒ヶ岳の山頂と重なる時期しか見られない光景で、事前情報もなくこの光景に出くわしたのは僥倖以外の何物でもありません。今年旅した場所に関する限り、この眺めは三保の松原の夕景に次ぐ絶景といってもよいでしょう。幸か不幸か今から欲張っても行ける場所には限りがあるため、この場所で日没まで影絵の世界を眺めて、下諏訪あたりで一風呂浴びてから松本へ向かうことにします。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 15:57:14 | 甲信越
釜無川の河原から富士山を遠望します。手前の山々に隠れて山頂だけが顔を出し、あえていうなら中途半端な見え方だった甲府市街からの眺めに対して、広々した河原から望む姿は様になり、冬晴れならばどれほど見事かと想像させられます。同じ場所から振り向けば上流には八ヶ岳が。その八ヶ岳の方角からは冷たい風が吹き下りて、さすがの自分も半袖では少々肌寒くなってきました。しかし気温は17度と、甲府市街を出るときよりもはるかに上がっています。甲府ではわずか8度であれほど暖かく感じ、その一方で17度がこれほど寒く感じられるとは、全くもって不思議な話です。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 15:24:33 | 甲信越
甲府盆地で足踏みし、時間も徐々に押してきましたが、腹ごしらえを済ませてようやく移動を再開します。市街を出るやいなや右手には八ヶ岳が姿を現して、富士山と南アルプスを合わせた三役が揃い踏みする見事な眺望が広がっています。時節柄ややかすみがちとはいえ、この絶景を二年ぶりに拝めただけでも、旅に出た甲斐はあったといってよいでしょう。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 15:16:09 | B級グルメ
頃よく腹が空いたところでお昼の時間となりました。この時間にこの場所ということで選択肢は必然的に絞られ、「小作」のほうとうをいただきます。あまりに月並みな選択肢とはいえ、過去の記録をひもとく限り、最後にほうとうを食したのは五年前の今頃が最後です。信州の行き帰りに通るだけのことが多く、甲州に腰を据えて滞在する機会が少ないだけに、これほどご無沙汰したのも仕方のないことではあります。
猪肉や茸を盛り込んだ目移りするほどの品書きがあっても、五年ぶりということになれば迷いはなく、一番簡素な「かぼちゃほうとう」を注文。根菜野菜をふんだんに使った品は山国らしく、鍋一つで腹も心も満たされる、安くておいしい郷土料理の白眉だと私は思います。そんな一品を座敷の囲炉裏端でいただけば、身も心も温まってくるようです。
唯一惜しむらくは、気候があまりに暖かく、熱いほうとうで体と心を温めるといった時期ではなくなってしまったことです。深い鉄鍋いっぱいに詰め込まれた麺と野菜と汁はどれも熱持ちがよく、先ほど風呂に入ったのも帳消しになるほどの大汗をかいてしまいます。八ヶ岳の冷たい水がなおさら待ち遠しくなってきました。

★小作 双葉バイパス店
甲斐市下今井3001
0551-28-2820
1100AM-2200PM
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 14:13:05 | 温泉
軽く汗ばんだところで遅い朝風呂ならぬ昼風呂を浴びます。訪ねるのは南甲府駅にほど近い「湯王温泉」です。見た目は寂れた温泉旅館、中身は紛うことなき銭湯という評判を聞いて訪ねてみたところ、意外なほど旅館然としているというのが個人的な印象です。建物の外観と、フロントで料金を支払うところは紛れもなく旅館の日帰り入浴で、脱衣所と浴場の雰囲気は津軽によくある宿泊施設併設の温泉によく似ています。料金を払った後で現れる下駄箱だけはたしかに銭湯そのもので、その唐突さが世間の評判につながっているのでしょうか。
正方形の浴槽が中央に大小二つ設えられ、それらと窓に接する形で長方形の浴槽がもう一つ置かれるというのが浴場の造りです。手前にある正方形の浴槽には加熱した源泉が、奥にある長方形の浴槽には温めの源泉がそのまま注がれ、中間にある正方形の浴槽が適温になるという演出が凝っています。お湯はわずかに褐色でほのかに油臭を帯びており、温い湯ではその特徴がより明確に現れているようです。

湯王温泉
甲府市住吉5-10-18
055-235-2885
600AM-2200PM(無休)
入浴料400円
泉質 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
泉温 48度
pH 8.0
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 12:28:34 | 甲信越
定点観測で南甲府駅を訪ねます。広い間口の中央と左右に看板建築風のファサードを張り出させた二階建ての堂々たる洋風建築は、何度眺めても見事というほかありません。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 11:48:38 | 甲信越
ほんの少し立ち寄るつもりが、延々二時間半滞在してようやく終了です。決して広くはない園内とはいえ、一時間で数十mなどという亀の歩みでは、この程度の時間を消費するのも当然の結果ではありました。去年などは偕楽園に日がな一日滞在したわけですから、それを思えば大したことはありません。しかし、こんな時間の使い方も一人だからこそできることで、仮に同行者がいたとすれば、後ろ髪を引かれながらも先へ進んで消化不良を起こすか、マイペースで歩き続けた挙げ句にいさかいを起こすかのどちらかが関の山でしょう。観梅と花見は一人で行くに限ります。
それにしても、今日の暖かさはかなりのもので、8度という気温が何かの間違いかと思えるほどです。ここからは半袖シャツに着替えての活動となります。軽く汗ばむほどの陽気で喉も渇いてきました。こんな日に八ヶ岳の湧水で喉をうるおせば最高ではないでしょうか。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 11:07:07 | 甲信越
お立ち台から甲府市街と南アルプスを望みます。左の荒川岳に始まり、中央に間ノ岳、右に甲斐駒ヶ岳と屏風のように連なった南アルプスの山並みが、日本晴れの青空に映えます。梅だけであったり、この眺めだけであったとすれば話は別ながら、これらが両方見られるならば、500円の入園料はけっして高くありません。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 10:36:15 | 甲信越
入園から一時間を超えて、いまだ100m少々しか進んでいません。一本一本の梅が個性的なのもさることながら、園内が起伏に富み、富士山に南アルプスという見事な点景も揃っているため、どうしても先へ進まないのです。木々も地形も変化に富んで、さらにはよい点景まで揃っているという点では、桜の名所でいうなら赤湯の烏帽子山公園に似ています。
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春まだ浅い信濃路へ 2013Part2

2013-03-16 10:25:14 | 甲信越
枝振りが高遠の桜に似ているとはいっても、それはもののたとえにすぎません。梅の木立に何本か混じった桜の木は、高さ、枝振りともに全くの別物で、あくまで梅は梅、桜は桜と実感させられます。梅が満開から散り際へさしかかろうとする中、桜の蕾はここでも緑に色づいてきました。今の時点でこれなら、開花までにはどう長く見積もっても二週間はかからないでしょう。そうだとすれば、この桜が見頃を迎えるのは四月最初の週末になるでしょうか。去年なら同じ時期には都内の桜が満開で、甲州の花盛りはさらに一週後でした。しかし、梅の開花に関する限り、一週前の時点でさほどの違いはなかったのですから、そこから後の変化がいかに劇的だったかが分かります。
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