☆旅行者の朝食 ЗАВТРК ТУРИСТА(米原万里/文芸春秋2002.04.25)
米原万里の著には、外れがない。どれを読んでも、面白い。
カヴァーがずいぶんと草臥れていたので、けっこう前のリリースだと思ったら、02年とつい最近だった。
中々意地の悪い、いやいやウィットに富んだ文章は、"へぇ~、そんなことがあるのか"とひとしきり感心したあと、ページを繰るとどんでん返しが待っていたり、"AV OVO USQUE AD MALA(最初から最後まで)"、実に目が離せない、アドヴェンチャーだ。
ХАЛВАなるお菓子をめぐる冒険に至っては、いつか必ず自分もその甘さを味わって見せるぞ、と決意せずにはいられない。
それにしても、引用する本に文春文庫が多いなぁ、と思っていたら、この本自体が文藝春秋社から出ていた。
一つだけ、著者が本当に知らないのかはわからないが、間違いというか、訂正したくなる箇所があった。
"ちびくろサンボ"は、多くの人が勘違いしているが、舞台はアフリカではなく、インドである。
作者は、確か英国婦人で、夫とともにインドに駐留していたはずだ。
だから、ホットケーキ、パンケーキの類が英国や米国の食習慣で、アフリカにはそれがない、というところはさすがに鋭い賢察だが、決して英領のアフリカや米国支配下の中南米の話ではない。
絵本に描かれたアフリカ風の黒人とその名前が錯覚を生んでいるのだが、サンボ一家はインド人である。だから虎が出てきても不思議はないのである。
米原万里の著には、外れがない。どれを読んでも、面白い。
カヴァーがずいぶんと草臥れていたので、けっこう前のリリースだと思ったら、02年とつい最近だった。
中々意地の悪い、いやいやウィットに富んだ文章は、"へぇ~、そんなことがあるのか"とひとしきり感心したあと、ページを繰るとどんでん返しが待っていたり、"AV OVO USQUE AD MALA(最初から最後まで)"、実に目が離せない、アドヴェンチャーだ。
ХАЛВАなるお菓子をめぐる冒険に至っては、いつか必ず自分もその甘さを味わって見せるぞ、と決意せずにはいられない。
それにしても、引用する本に文春文庫が多いなぁ、と思っていたら、この本自体が文藝春秋社から出ていた。
一つだけ、著者が本当に知らないのかはわからないが、間違いというか、訂正したくなる箇所があった。
"ちびくろサンボ"は、多くの人が勘違いしているが、舞台はアフリカではなく、インドである。
作者は、確か英国婦人で、夫とともにインドに駐留していたはずだ。
だから、ホットケーキ、パンケーキの類が英国や米国の食習慣で、アフリカにはそれがない、というところはさすがに鋭い賢察だが、決して英領のアフリカや米国支配下の中南米の話ではない。
絵本に描かれたアフリカ風の黒人とその名前が錯覚を生んでいるのだが、サンボ一家はインド人である。だから虎が出てきても不思議はないのである。