☆Tokyo Sonata(トウキョウソナタ) 08.09.29. 13:55 クレール丸の内2
結局、ホラーだったのね?
スイートホームをリメイクしたかったのか?
"家族ゲーム"の終わりのような始まり。なんか伊丹十三の亡霊に憑りつかれているような。
キョンキョンが普通におばさんなのは、なかなか感慨深いねぇ。家族ゲームなら由紀さおりの役どことなんだよな。
最初のうちは妙にリアルなんだ。あの退職勧告。
"あなたは会社に何を提供できますか?"
確かに、最近そういうことを言う会社が増えてる。特に成り上がりのIT企業に多い。
何をって言われても、例えばこの主人公のように総務一筋でやってきたような人に、何が求められると言うのか。営業だってそうだ。新卒で入った生え抜きでなければ会社の営業方針と一致しないことなぞざらだ。
そういう理不尽が罷り通っているのが最近日本だ。
アメリカでも、随分前から大卒で面接に来ている学生に"キャリアは何年?"なんて聞くバカな風潮が合ったりするのは、"The Secret of My Success"で描かれていたが、日本もそんな風になっていっているってことだ。
ただ、そこまで。
黒沢清はやはり社会人の経験がないから、そのあたりが現実を描けない限界なのかもしれない。
退職勧告を受けたその日に机の上の荷物を整理するなんて、アメリカ映画の観すぎだよ。現実には法律でも決められていることで、会社理由の解雇の場合、一ヶ月以上の猶予期間を持たなければならないし、この場合、自主退職を強制されてるんだろう(そのほうが会社に有利だから)が、普通の感覚の人間なら、やはり退職日は一ヶ月以上先に設定するし、そうしないと、たとえ総務であっても引き継ぎってものがあるはずだ。
映画ってのは細かい真実を積み重ねて、大きなウソをつくもので、小さなウソをついても仕方がない。
それにハローワークだって、あんなのはいったい何十年前の姿なのか、全く時代錯誤も甚だしい。それとも東京の職安は、岡山よりも30年遅れてるのか?少なくとも、あんなに階段で立って順番待ちなんかしやしない。
カリカチュアしてるんだろうけど、なんか違う。でもって、外国の映画祭で受賞したからって、あれを日本の現状と思われては困る。
失業保険にしても、出頭日に行かないからってもらえないんじゃなくて、その回は確かにもらえないけど、その分終了日が1ヶ月延びるだけだ。
同じドリーでパターン化するのも、どうなんだろ?
大手スーパーの清掃員の仕事で、ロッカールームもないってのは、これもおかしくないか?客から見えるようなところで着替えるなんてあるわけないではないか。
アメリカの軍隊が外国人も募集していると言うのは、後から本当にあると知ったが、グリーンカードが必要らしい。保護者の署名だけで入隊はできないそうだ。
それに、なぜ訓練も受けてないのに敬礼なんかすんの?
で、役所広司が出てきたあたりから、歯車がどんどん狂い始めるんだな。
現実なんか関係ないっすよ、てんで無視っす、てなぐあいで、物語りが破綻していく。
もともと、まじめにストーリーテリングする人じゃないから、そんなの関係ねぇってかんじっすか。
役所広司も、まるで舞台芝居みたいに
とにかくそっから先はなんの脈絡もない展開で、おとしどころも見つけようがない。
結局次男の中学入試というどうしようもないところで終わる羽目になって、
結局旦那の仕事はどうなったんやぃ?マイホームならローンもあるだろうに、子供を音大の付属に通わせるような甲斐性は、どこでできたんだ?たった4ヶ月で。
これが賞をとったなんて、信じられない。