口上の後がこれです。
所化さん、浄瑠璃、唄、三味線、鳴り物・・・とにかく出演者総出の舞台。
ハデですねえ。にぎやかですねえ。可笑しいですねえ。素敵ですねえ~。
三、奴道成寺
白拍子花子 実は狂言師左近:愛之助
所化:當十郎、鴈之助、扇之丞、松之亟、千壽郎、りき彌、當史弥、鷹祥、
松四朗、横山光一
花四天:翫之、音之助、千志郎、千次郎、松次郎、鷹大、當吉郎、翫政
後見:千蔵、松之
ここでビギナーズ・チェック。
「奴道成寺」は去年、三津五郎さんの舞台を観たハズなんだけど。
愛之助さんが口上で「今回は道行をやります」とおっしゃってたのは・・・・・・
『京鹿子娘道成寺』では花子が鐘に対する恨みを語る<道行>の場面。
『奴道成寺』では設定が違うので、本来、道行はないってことですよね、たぶん。
だったら、これが見られてラッキーでした。(以下、かなり偏りレポ)
「聞いたか、聞いたか」「聞いたぞ、聞いたぞ」と、花道から所化たちが登場。
寺の鐘に隠してある宝鏡を狙う者がいるので、男は絶対に近づけるな、とのこと。
舞尽くしは千壽郎さんでした。
花道から愛之助さんの花子が登場。見た感じ、能を意識した拵えなのかな。
花道近くにいたので、出てくるなりドキドキ。いつもよりぐんと低い位置、すごく
近いところを歩いてるよ、ああ、通りすぎるよ・・・と思いきや、と、止まった。
愛之助さん、はんなりと優しい笑みを浮かべています。花道でゆっくり静かに舞う
姿に、ただ見入ってしまいますぅぅぅ。
伏し目にしてくるっとその場で回る時、視線が合ってしまったような・・・きっと
誰もがそう思ったことでしょう(笑)。足音もすぐそこ。この位置関係、新鮮♪
こんなドキドキ感はきっと芝居小屋ならでは。
道行の唄は、鐘への恨みを唄ったのか、鐘楼に隠した宝鏡のことを語ったのか?
花子が鐘に焦点を定め、扇で鐘の方向を指している。
(あ~、とうとう。行ってらっしゃ~い。)
(↓ 突然思い出したので追記しました。)
花道途中で止まった花子。鐘のほうに目線を送り、気にしている素振り。
花道の内側ギリギリまで来て、片足に体重をかけ、まるで鐘に引っ張られるように
そっちをのぞきこみます。少し歩いて止まり、また片足を前に出して鐘に引っ張ら
れるように鐘をぐっと見ます。それを何度か繰り返したのを思い出しました。
これが娘道成寺なら鐘への恨みをこめた所作になりますが、宝鏡を狙っている男な
らお宝を気にしていることに(笑)。ア~ン、語りはどっちだったっけ?
以上、8/8追記。
鐘を拝ませてもらう代わりに、舞を踊ることになった花子。
顔をあげて目をつむった瞬間に、暑さのせいで目の下にたまっていた汗がツーと
流れ、まるで花子が涙をひと筋流したかのようできれいでござった。(アホ!)
男とバレてからは、狂言師左近としてイロイロ踊ります。
どんどん衣装を脱いで、その場で引き抜きや早替えをするのを見て、さっきまで
花子がエライ着ぶくれ、もとい、重ね着していたことが判明!
そりゃアツかろうて。
手ぬぐいや扇を使った踊りがあって、毬つきのところで所化さんたちもいっしょ
に遊び出します。(手ぬぐい撒きでは、松四朗さんからしっかりキャッチ。)
秀太郎さんと壱太郎さんの所化さんツーショットも可愛らしかった~。
見せ場は傾城(おかめ)、客(お大尽)、太鼓持ち(ひょっとこ)の三つのお面
を使い分けながら、郭の様子を踊りで見せるところ。お面を取り替えるタイミン
グがだんだん早くなり、ここまでも素晴しい後見ぶりだった千蔵さんと、さらに
さらに呼吸を合わせて演じ分けます。うーん、楽しい!!
客席からも笑いと拍手で大盛り上がり。
花道いっぱいに並んだ花四天たちも、とう尽くしで盛り上げます。
山尽くしの曲が聞こえてきて、左近が鞨鼓を打ちながら踊っていると、花四天た
ちが捕えにきて立ち回りに。
左近、ぶっかえりで袂には炎(? )、引き抜きでついにウロコも表れました。
花四天たちを花道で追い払い、本舞台に戻って鐘に隠した宝鏡を奪う左近。
台の上で見得がキマって、幕。
こけら落としならではの高揚感と熱気。
熱い、アツ~い、暑い、あつ~い、出石永楽館の舞台。舞台と客席でアツさを共
有して、いっそう歌舞伎が身近に感じられたひとときでした。
この芝居小屋に私もまた、帰って来られますように・・・。
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ついにパート4まで来ましたねぇ。
座頭に寄り添う秀太郎さんと年長の父を気遣う愛之助さんの様子がとってもよく伝わってきました。
採算が取れるのかしらと心配になるくらい三味線や鳴り物などの方々がいらっしゃったそうですね。柿落とし公演だったから、赤字覚悟で豪華になさったのでしょうね。
奴道成寺も道行き付きというレアものが観られて本当によかったですねぇ。
よかったです~。
今回は現地に行けない方が多かったと思いますので、
感想というよりも、内容ができるだけわかるようにレポしてみました。
間違ってる部分も多々あると思いますが、雰囲気優先で♪
実は私、行く前にニュース番組で花道のシーンを見てたので、
奴道成寺にも道行があるものだと勘違いしてて(恥)。
あれは特別なんだと知って、ウヒッ! でした。
たしかに、あの小さな舞台によくあれだけの人が出演できたと
思います。とってもゴ~ジャスでございました♪
熱く長いレポもお疲れさまでした、楽しかった想いが
ひしひしと伝わってきましたよ(涙)
ホントに楽しかったですね!
出石と言ったら地元の方もおっしゃってましたが、
「皿そば」しか思い浮かばなかったけれど、これからは
「永楽館」もあるし、なにより地元の方の温かい心に触れ
また訪れたくなりましたよ♪
永楽館の楽しさは、やっぱり役者さんに近いってこと
ですかねー。普通の劇場では味わえない独特の一体感、
なごやかさ、親しみやすさがありましたね。
ほんと、楽しかった~♪
私もちょっとしたトラブルがあって、そのおかげで
出石の人々の温かさに触れることができました。
おたがいにいい観劇旅になってヨカッタね~♪