ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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柳家さん喬ひとり会~「時そば」最高

2010-12-21 23:17:00 | 江戸落語
柳家さん喬ひとり会・・・・・暮の噺をたっぷり三席とか。
芝浜・・文七元結・・掛取り・富久・・尻餅・・なんぞが聴けるのか。
また、涙ぐんでしまうのでは・・・楽しみですな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ゆったりめの満員御礼の100名のお客さま、着物姿の女性の方もちらほら。
年代層も高く、落ちついた雰囲気。


開口一番、笑福亭喬介・・・・・・・・・・・・・・・・・・「道具屋」

名びらに喬介さんの文字、大師匠の松喬さん繋がりで、開口一番を務める。
でてくるなり、「落語はじめます」と、いつものパターンで、「道具屋」をスタートするが、
やはり、東京の大看板の独演会。多少は上手く演らねばという思いが、
いつもの、ハジケタ、アイドル的愛らしいさが欠ける。

たまには、緊張感ある喬介さんを見るのも良いもんですな。

一、柳家さん喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「時そば」

初めての大阪でのひとり会、これだけ多くの方においでいただき、ありがとうございます。
「最初で、最後になるかも」と謙虚なお言葉、
結論から云うと、今回のお客様の満足度高く、必ず、第二回、三回と続きますな。

私の師匠は、五代目小さんですが、今は大名跡が次々継がれまして、小さん、文楽
円生はまだか。今の小さんあにさんにはとりあえず
「六代目のあにさん」と呼ぶのにも気を使うと・・・。

そして、師匠小さんとの、「食」に関する話から、「時そば」へ。
師匠の十八番だけに、直伝、期待をもって聴いたが、さすがの出来。

食べるしぐさが、リアリティ。一度に口にする量がリアリティ。
蕎麦の一本、一本までが見えてくるような、リアリティ。
特に、翌日、食べる、腰のないぐちゃぐちゃのそばの不味さ。

誇張が落語の基本と思いきや、自然体でも十分、笑いがとれる。
真打ちが演じる「時そば」、今日は、この一席でも価値あり・・・。


二、柳家さん喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「抜け雀」
「あまり、甘やかさないでくださいな」と、よっぽど暖かく好意的な良いお客さんに
囲まれたと思われたんでしょうな。・・・素直な感想を、ぽつり。

今、建築中のスカイツリーのハナシから、ご自分の実家もその近くで洋食屋を
やっているが、下町で、いたって欲が無く、周りの方々も、スカイツリーを
商売に結びつけようと気は一切ないみたい・・と親父のことをちらっと語りながら
「抜け雀」へ、結構、本題とマクラの関連性は、考えておられるみたい。

まあ、上方でもやる場合も、いたってかっちりと演られる方が多いだけに、
さん喬さんの「抜け雀」も、ふだんから聴いている感じ。

ただ、千両、二千両の音がついても、売らなかった宿屋の亭主が
「わしが戻るまで、決して売ってはならぬ」とおっしゃたのでと答える台詞。

こんな、些細な台詞の扱いが、細やかで心にくい。
サゲは「現に、親にカゴをカカセた。」


三、柳家さん喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「芝浜」

暮になると、クラッシク界では「第九」。江戸落語会では「芝浜」。お決まりか。

さん喬さん、三木助さんの夜明けの情景模写はあっさり。
「はぁ、いい色だなぁ・・・空色にもいろいろあらふぁな・・・
青色・・・橙色・・・白いところに・・どす黒いところ・・ああ、いい色だねぇ」
の紫色のグラデーションは一切なし、大明神とお天道様に手を合わせていると、
革財布、足に紐が絡むのではなく、見つけて手鉤でたぐりよせる。

ただ、芝の河岸は、朝夕の二回あったとか、。二回目に起こした時に、
風呂へ行って帰ってきて、ドンチャン騒ぎ。この説明で、
その日の時間の流が整理でき、納得。

一年後に、金坊という子供ができ、三年後の暮。
「おまえさん、怒らないで、最後まで、聞いておくれよ」で始まる山場。
大家から「そんなお金に手をつけたら、お前の亭主の手が後ろにまわるよ。
お金は私の方からお上の方へ・・・亭主には、どういうか、おまえが考えヨ」と、
「いっそ、夢であったら良かったのに・・・夢で・・・夢で」と女房の思いを話す。

あまり、しんみりなるのもかっこ悪いと、用心していたが、
今日は、さほど、ジーンとはこなかったので安心していたら
ありがとうのあとで、金坊をあやす、・・・グサリ、・・・さん喬さん
飛び道具の子供を使うなんてずるいですな。

今年は、夢の革財布もいれて、芝浜が、三人あっさり味の文太さんから、ほど良い生志さん、
そして、こってり味のさん喬さん、女房がどの程度、悩んでいたかで決まりますな。
亭主を更生させる、好きな男の為についた嘘、一年後に返ってきたお金を隠し、
大丈夫と見定めるまで・・・・三年長いでっせ。・・
私は、かわいさと未熟さの残る生志さんの女房が、一番好きですな。

これから、この「さん喬ひとり会」、年に数回、開催の予定。
今から、夏の噺・・・三席も楽しみですな。

柳家さん喬ひとり会
2010年12月21日(火)午後7:00開演
トリイホール

開口一番、笑福亭喬介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「道具屋」

一、柳家さん喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「時そば」
二、柳家さん喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「抜け雀」
三、柳家さん喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「芝浜」

10-61-270



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2 コメント

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さん喬 (辞書男)
2010-12-24 16:57:02
さん喬師、すきです。
わたしも芝浜ききました。

長短の、すそに火玉が入る所に感激しました。
http://sinmeikai.blog22.fc2.com/blog-entry-626.html

さん喬師、いつも300人くらいの会場が多いです。
100人くらいですとまたそれはそれでよい雰囲気なのではないでしょうか。
返信する
そうなんですよ (ごまめ)
2010-12-25 11:16:49
さん喬さんは、二年前の、「柳田格之進」で感動。
落語を聴いて、嗚咽した経験は初めてでした。

今回は、こじんまりとした会場で、良い雰囲気の会でおました。
これからも、上方にはない人情噺を聴きたいもんですな。
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