雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

面目躍如

2024-03-12 18:46:14 | 日々これ好日

      『 面目躍如 』

    国際刑事裁判所の所長に 赤根智子さんが選出された
    同裁判所には 120カ国以上の国や地域が加盟しているが
    米国・ロシア・中国などが参加していない 難しい組織だ
    ご苦労が多いのだろうが 活躍が期待される
    その一方で 女性が働きにくい国とされるだけあって
    経団連の副会長の一部交代があったが 女性の新任はなく
    副会長20人のうち 女性は2人だけのまま
    海外の組織で要職に就いたとの報道と 実に対照的で
    面目躍如といったところだ どちらが ですか??

                      ☆☆☆ 
    

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不孝者の報い ・ 今昔物語 ( 20 - 31 )

2024-03-12 08:00:02 | 今昔物語拾い読み ・ その5

      『 不孝者の報い ・ 今昔物語 ( 20 - 31 ) 』


今は昔、
大和国添の上郡に住んでいる一人の男がいた。字(アザナ・通称)をミヤスという。
この男は、朝廷に仕える学生(ガクショウ・大学寮の学生。)である。日夜、漢籍を学んではいたが、物の道理の分らない心の持ち主であったのか、母に対して不孝者で、養おうとしなかった。

その母が、子のミヤスの稲を借りて使い、返済に充てる物がなかったので、返済しなかったが、ミヤスは厳しく返却しない事を責めて、母は地面にすわり、ミヤスは板敷きの上にいてうるさく責め立てたので、これを見ていた人がミヤスをなだめて、「あなたはどうして、母を責めるなど不孝な振る舞いをなさるのか。世間の人は、父母に孝養を尽くすために、寺を造り塔を建て、仏像を造り写経をして、僧を供養します。あなたは、家は豊かであるのに、どうして母が借りた稲を厳しく取り立てて、母を嘆かせるのです」と言った。
ミヤスは、この忠告を聞いても承知せず、なおも責めるので、これを見る人たちは見るに見かねて、その母が借りた稲をその数通りに弁済して、母を責めないようにしてやった。

すると、母は泣き悲しんで、ミヤスに言った。
「わたしは、お前を育てている間、日夜休む事がなかった。世間の人が親孝行しているのを見ては、『やがて自分も、あのようにしてもらえる』と思って、お前を心から頼りにしていたものだ。ところが、今、わたしに恥をかかせて、借りた稲を強引に取り立てるとは、本当に情けない。それならば、わたしも又、『お前に呑ませた乳の代価を取り立てよう』と思う。そして、今ここで母子の縁は切ろう。天道様、この事の是非をお決め下さい」と。
ミヤスは、母の言葉を聞いても、何も答える事なく、立ち上がって家の中に入った。

ところが、突然、ミヤスは気が狂ったようになり、心は錯乱し身は痛みだし、長年の間、人に稲や米を貸して利息を付けて返済させる証文を取り出して、庭の中で、自ら焼き捨ててしまった。
その後、ミヤスは髪を乱し、山に入って、あちらこちらと狂ったように走った。  三日たって、突然火事となり、ミヤスの内外の家も倉も、皆焼けてしまった。
その為、妻子は食べる物もなく、みな路頭に迷った。ミヤスも又食べ物がなく、遂に飢え死んでしまった。
不孝によって、現世で報いを受けるのは遠い先の事ではない。これを見聞きした人は、ミヤスを憎み謗(ソシ)ったのである。
されば、世の人は、心を込めて父母に孝養を尽くし、不孝の心を抱いてはならない、
となむ語り伝へたるとや。

      ☆   ☆   ☆

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