mitakeつれづれなる抄

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交通工学から考えた道路の最高速度の意味

2015年04月06日 | 道路交通安全の考え
 今回の記事、「自動車は走らせるべき」という方は、カチンと来る内容ですので、どうかブラウザを閉じてください。

 道路交通における制限最高速度は、一般道路で、車両ごとの最高速度である(法定速度)60km/hとそれより低くする場合に別に「制限速度」として、定められています。

 普通に通れる一般道で、法定速度60km/hで通行できる部分は今は少なく、ほぼ、制限速度の指定が行われています。

 自動車の性能向上で、「速度制限を撤廃、もしくは引き上げるべき」という意見があります。まことしやかに言われていて、それだけ聞くとなるほど、とも思いますが、道路交通における自動車の速度は、自動車の持つ「加速性能」に基づくものではありません。
 そこで交通工学からの考え方ですが、鉄道で、あんな100km/hで走れるのに、自動車はエンジンの性能が良いのでそのくらい走れるだろうと言われます。
 しかし、鉄道と一般道とは大きな違い。鉄道は「進路保障」の考えがあります。
どういうことかと言うと、列車は、その前途の進路が定められて保障されている(開通といいます)のに対して、一般道はその進路保障がありません。あくまで障害が発生した場合に直ちに止まれる速度で通行することになります。
自動車は直ぐに止まれないことは、運転諸氏もよく御存知ですね。
それ故、道路交通法に明示されていない運転士同志の暗黙の考えで、「流れに乗る」という思想があります。
流れに乗っていれば、衝突も追突も防げられるというもの。

 しかし、先に書いた通り、一般道路はいろんな通行があります。「いろいろな通行」とは自動車以外の車両、歩行者のことで、平面交差する道路もあり、自動車走行の前途保障あありません。
 その点は、路面電車に近いものがあります。路面電車のような軌道線は、正面衝突を防止する保安装置はありますが、追突を防止する「閉塞(へいそく)」の考えはありません。
 路面電車は45km/hが最高速度で、見通し不良区間では、見通し距離に応じて10km/hまで速度制限があります。
 つまり「目で見て障害があれば停まる」という思想に基づくもの。

 これが鉄道では、目で見て障害があれば停まりますが、その障害が無いことを前提に組み立てられています。

 さて道路交通の自動車。高速自動車国道、或は自動車専用道路では、自動車のみが通行する空間で、この進路保障の思想があると言えばあります。
 しかし一般道では、あくまで「止まれる速度」で通行するものと考えます。

 こうやって、こんな文章を書いている外では、制限30km/hなのに、平均60km/hで自動車が走っていきます。
 自動車は走るのが命、とのお考えなのでしょう。

 愛知県は当分、交通事故は減りそうもありません。