メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

重整備。

2020-10-31 11:45:00 | 整備
車検、点検、細かい一般整備に加え続く時は続く重整備…

当然重整備となると長いこと居座るわけで…
場所に余裕があれば全然問題ないですが、ウチの工場と駐車場の広さから考えると長期預かりは非常に悩ましい問題で…
限られた時間とスペースと人員の中では隙を見て多少無理をしてでもこなす必要が出てきます。




まずはディーラーさん経由で依頼されたダイナ。

事前情報ではオーバーランしてエンジンから異音がしてるのでエンジンを載せ換えて欲しいとの事。

現状エンジンはかかってはいるもののカンカンと音がしており…
オーバーランという事なのでバルブが軽く当たってんのかな?くらいの感覚で作業開始。


車両が入庫して間もなくデッカい木箱も届きました。

エンジンASSY…ではなくベアエンジン。


当然、ベアなので補機類は全て付け替える必要があります…
まあ承知の上で受けた仕事ですが…



まずは車両を定位置にセットして作業開始。



エンジンを降ろす為に細々したものを外していきます…










ツインコンデンサーの為、フロントタイヤ前方に加えラジエータとインタークーラーの間にもう一個コンデンサーがありエアコンラインを切らずにエンジンを降ろそうとすると非常に面倒くさいですが、今はエアコンマシンがあるので迷わずガス回収してエアコンのラインは切り離します…笑



で、ラジエータ、コンデンサー、インタークーラーをセットで取り外しゴソゴソしてエンジンを降ろします…







降ろしたエンジンは補機類の付け替えで作業性も考えてアングル材でN04専用⁉︎のエンジンスタンドを製作…
キャスターも付けて自由に移動出来るようにしました。



コレ作るのに2時間ほど費やしてる…(そんな事やってるから遅れるんだよな…)
ベアと降ろしたエンジンを横並びにさせて補機類の付け替え作業へ…



補機という補機は何も付いておらず、インジェクターすら付いていません…
でも何故かバキュームポンプだけは付いてるんだよな…



付け替えていく中で支給された部品にちょいちょい足りない部品があり困った…



オイルクーラー周りのガスケットが皆無のため追加で発注。
以前のN04Cならここはボンドでしたがあまりに漏れるためかシートガスケットに変更されてます。



部品支給でも構わないんですけど選定だけはコッチでやりたいですね…笑
だって足りない部品があるとその都度作業が止まっちゃうし…

で、なんだかんだ補機類の付け替え作業も終わり…


クラッチディスクはズルズルの為交換。





組み替え終わったエンジンを車載する準備を…



吊り上げ…






ドッキング。





ゴソゴソして完成。
コレ以降の写真が無かった…笑


無事に旅立って行きました。


その後暇な時間を見つけて問題のエンジンを分解。(そもそもそんな時間的余裕はないんですけどね…)
だって中がどうなってるのか気になるじゃないですか…笑

分解の結果…
結論から言うと2番のクランクメタルにガタがありピストンとシリンダーヘッドが接触してました。

その事実を知った時点で思ったのは…

コレ、オーバーランが原因なのか⁉︎という疑問。




メタルがガタガタということは当然クランクシャフトも傷だらけ。




メタルはペラペラ…


他のクランク部分は問題なさそう…



2番のシリンダーヘッド下面にはピストンと当たっていた跡がクッキリと。



他には当然ありません…




それから気になった事…
クランクシャフトを取り外すと、ジャーナル部分のメタルの当たりがすこぶる悪い。






更にスラストメタルにもジャーナル部分のメタルが剥離して噛み込んだ形跡もありました…





ジャーナル部のメタルは全体的に当たりが悪いです…
クランクシャフトの曲がりは今度時間がある時に測定してみたいと思いますが…




原因としてはクランクシャフトの曲がりかメタルの材質不良かクリアランス不良といったとこでしょうか…
はたまたブロックの加工精度の問題かもしれません。

登録から3年で走行距離も1万数千キロだし、エンジン内部含めカムジャーナルやコンロッド小端メタルには全くの問題がない所を見るとオイル管理の問題でもなさそうですしね…

それからちょっと気になったメタルの緑色のコーティング。
これ何コーティングなんだろう…
初めて見た。






次は車検で入庫したKL-のビッグサム。





下回りは錆が酷く、ブレーキパイプも塩カルで腐食してオイルが漏れていました…

漏れているパイプだけ換えたところで年式からもこの先のイタチごっこは目に見えてるので…

怪しいと思われるパイプは全て交換する事になったんですが、この年式だとパイプ系は恐らくほとんど製廃だろうな…という懸念が。


ところが意外や意外にも交換予定の半分位はメーカー在庫がありました。

全部製作してたらとんでもない時間がかかるところだったので少しホッとしましたねぇ…笑

車検整備と並行してブレーキパイプの交換。
在庫のあった部分は気にせず取り外し。


腐食進行中のパイプ。



これは滲んできてます…




これは完全にブレーキオイル漏れてるパイプ



他にも架装物のボルトがパイプと接触⁉︎してる部分も…



よく穴開きませんでしたね…
ここのパイプも作り直してボルトを避けるように逃げ加工を施します。



そして製廃のパイプは地道に製作。
コレが本当に地味に大変…笑
向き、長さ、曲げ角度に曲げ方向…
ちょっと曲げては確認の繰り返し。




もちろんエンド加工はダブルフレア加工です。

ブレーキパイプ製作で巻きの銅パイプでしかもシングルフレアなんてあくまで応急ですからね…

加工は大変ですが耐久性も間違いない純正同等のストレートパイプを加工します…


こういう所の加工も地味に大変…
先に曲げちゃうとフレアナット入れてからフレアリングツールが入らなくなるし、かといって先にフレア加工すればベンダーが入らないし…


ここはアイデアを膨らませて加工します…笑
たいしたアイデアではありませんが。


で、末端にはダブルフレア加工…



こんな事を夜な夜な作業していました。

写真だとあっという間ですが車検整備と合わせて1週間くらいラインに止まってました…

その後車検も無事に合格して納車…


他にも色々とネタになりそうな修理もあったんですが写真を撮っていなかった為に断念…笑



業務的な部分ではこちらの事情で遅れていた損保の代理店登録もようやく済んだので、これからは保険の販売にも力を入れていこうと思いますが…

覚えなきゃいけない事がたくさんあり過ぎる…




コメント (10)

最近の作業…36

2020-10-21 02:59:00 | 整備
たまにはブログを更新しないとな…

なんて考えてはいたものの日々の仕事に追われなんだかんだ更新出来ずにいました…

最近では1つの作業を集中して出来る事が少なく、常にいくつかの仕事を同時進行で進めているので写真も端的な物が多く記事を書くのにも少し困りますが最近の作業をサラッと。

まずは燃料漏れのビッグサム⁉︎だったかな…
燃料タンクの腐食による漏れなので新品交換します。


地味にサイドバンパーが邪魔ですが…



交換して燃料の入れ替え…
燃料タンク換えるっていうのに燃料満タンなんだから困っちゃいます…




入れ替えも終わり完成。




お次はサプライポンプ交換のJ07レンジャー。


インテークダクト外せば作業性は悪くないです…









SSTという名の単なるボルトで位置合わせ。



新品の取り付け…


あとは元通りに組み付けて完了。


他にも現行型のレンジャーA05Cのサプライポンプ交換も…





地味に手間がかかります…


取り外したサプライポンプのカップリング類の付け替え…




今までのレンジャーはサプライポンプもサクションコントロールタイプでしたが、現行型からはプレッシャーコントロールタイプに変わってます…



それから相変わらずDPFの洗浄はコンスタントに入ってきます…
ADG-のプロフィアのDPF洗浄…


フィルターの取り外しは非常に簡単…



しかし実際に洗浄すると汚れが半端ない…






凝集させると案の定軽油の着色料で真っ黄色…
これはエンジン側から流れてきた未燃焼燃料がDPFに付着する為で、ここまでくるとインジェクターも洗浄もしくは交換した方がいいレベルです…




こちらはEXD52ギガのDPFですが、フィルターが飛び出してしまっていますが…
基本的にはスス抜けと内部溶損が無ければプレスで適正位置まで押し戻して洗浄は可能です。



プレスで慎重に押し戻し。





押し戻したら洗浄。




更にレンジャーのDPF…


こちらは残念ながらスス抜けが酷い為に洗浄は不可能でした…




こうなると交換しか選択肢は無くなりますが、どうせ交換するなら今後の事も考えてスタッドタイプではなく対策品のボルトナットタイプに変更します…


フランジ取り付けがボルトナットに変更されているのでスタッドのように折れ込む心配は今後はありません…




それからオイル漏れ修理で入庫したEXD52ギガのちょっと納得いかない修理。
コレ↓はブローバイのジャバラホースですが、よくホースが破れてオイルが漏れるんです…


応急的に破れ箇所をビニールテープでぐるぐる巻きにしてもしばらくするとオイルでしっとりしてきます…
そんな事もあり正攻法でいけば交換するのがベターなんですが…


現行品は対策品になりプラ製のジャバラホースから厚手のゴムホースに変更されているところまではいいんですが…


何故か頼んでいないはずのインテークダクトが同時に配達されており、間違って配達されたんだな…的な感覚でいたのですが、対策品のホースを取り付けようとしてもどう取り回しても寸足らずの状態。
まさかね…と配達されたダクトと現物を見比べてみると…





ホースの接続位置が変更されてる…





そりゃホースも付かないはずだわ…
ブローバイホースを換えるだけなのにインテークダクトまで同時に交換する必要があるなんて…

通常ホースの材質の問題だけなら接続位置まで変更する必要はない訳で、ダクトの接続位置まで変更されているという事は当初の設計に何かしらの問題があったんでしょうね。
とりあえず交換するしかないのでダクトも交換してホースも交換して完了…



こちらはBDGプロフィアのDPR洗浄ですが毎度毎度のスタッド折れの為、スタッド全交換作業。






それからコレは別のプロフィアのDPRなんですが、温度センサーが折れこんだので洗浄ついでに抜き取って下さいとの依頼。
非常に嫌な折れ込み方してる…


あの手この手を使いなんとか摘出。


温度センサーはアタリ面がテーパーなので非常に気を遣います…
逆に洗浄もスタッド交換も温度センサーが付いている状態でも全く問題ないので折れそうなら外さずにそのまま持ってきてくれた方が気が楽です…笑





コレはレッカーで運ばれてきた差圧100kPa超えのLKGプロフィアのDPRですが、飛び出し防止リング無しのDPRのため出るところまで出てしまい再使用不可能なDPR。


こちらは残念ながら交換です。




更にフォワードのインジェクター交換&DPF洗浄。




DPFはガン詰まりの状態…


触媒は通常の洗浄をして…



ガン詰まりのフィルターは特殊な溶剤でグツグツ煮込んでから洗浄します。




それからdenoxtronic1を積んだ6M70のスーパーグレート。
SCRのチェックランプが点灯したという事で診断の結果、そもそも通信が上手くいかない状態でコンピュータに何かしらの不具合がありそうだな…なんてモジュールを外して点検してみると…



開けてビックリ、モジュールの中が尿素水に浸かってました…


恐らくモジュール内で尿素水が漏れ出し浸水、内部の電装部分がショートしてコンピュータ含む電装品は全滅状態でした。








次はS05のインジェクター交換。







それから作業ではありませんが作業環境も少しづつアップデートしております…

車検も多い為にデフミッションのオイル交換を効率化する為にヤマダのルブリケータを購入。
やっと買いました…笑






他にもトルクセッターは買えないので1人でも楽にホイールナットのトルク締めが可能な三脚式トルクレンチ。
ホイールナットだけじゃなくアクスルナットやBPWのハブキャップにも役立ちます。



診断機も一機追加しました…
デュアルタブ…
その名の通り1つのタブレットで2つのインターフェースを使い分けます。






このちっこいのはnanoBTといってコレはまんまTPMと同じソフトです。
まあタブレットの分データ表示やモニタリングはTPM-Rより圧倒的に使いやすいです。



で、こっちがiSCAN eといってautoland製のソフトです…


こちらは小型や欧州車に強いです…
フェラーリやランボルギーニもイケます!
(ウチには入庫しないけど…)
トラックも一部だけですがコアな部分までサポートしてます…
ただトラックメインの当社としてはやっぱりG-SCANとDTは必要ですね。
今後順次導入したいと思います…

それから事務所も少しずつアップデート。
今まで家庭用の複合機を使ってましたが業務用の複合機と事務員用のノートパソコンを一台追加。
もちろんセキュリティーも同時に。


更にまだ設置までは至ってませんがビジネスフォンも導入しました。
電話機も今は家庭用の安物なので色々と使い勝手が悪いんです…
電話帳も10件しか登録出来ないし…笑
ビジネスフォンになれば電話帳も大量に登録出来るし、他にもしつこい勧誘電話も拒否出来る。←コレ大事

こんな感じで設備、環境に関してはまだまだ足りない部分も多いですが少しずつ効率化を進めています…

そしてあとはメカニックの増員が最大の課題…
早いところホームページを完成させてリクルート情報を載せる予定ですが、いかんせんこちらの都合で中々進まない…笑

まだまだ発展途上の会社ですが興味のある方が居たらメッセージからお問合せ下さい…




コメント (10)