メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

最近の作業…39

2021-05-27 09:29:00 | 整備
まずは2PG系のプロフィアA09CのEGRクーラーの交換作業…
2PG系A09のEGRクーラー初めて作業しましたが少々面倒くさい造りになっちゃいましたね…


インテークパイプやサーモケース外さないとEGRクーラー外れてきません…


クーラー内部でパンクして冷却水が減る事例で内部にはクーラント漏れた跡がクッキリあります…




新品のEGRクーラーを組み付けて冷却水も交換して完了。







お次はこちらも2PG系レンジャーのターボ&エンジンハーネス交換作業。
現行モデルになってからというもの、この手のチェックランプが点くと音声やアラームがうるさいのなんの…



これがツインターボだったらスケジュール的に厳しかったけど、シングルターボで一安心…笑

指の関節がもう一個あればと思う箇所もありましたがそれ以外はさほど苦労する事もありませんでした。










今回はエンジンハーネスも交換。
ターボかハーネスのどちらかが原因でコントローラを壊しちゃう事例のようです…


ターボ、ハーネス、コントローラを交換して故障コード消去&テストして完了。










洗浄でお預かりしたプロフィアのDPF…
案の定スタッドボルトは折れ込みフランジは腐食して使い物にならないので修理するんですが…


工具当てて少し緩めようとする段階で嫌な予感はプンプンしてましたが、案の定センサーがポッキリと折れました…
酸素で炙っても折れる時は折れます…


場所にもよりますがDPFの温度センサーが折れ込んだ場合、熱害の影響でエキストラクターでは抜けないレベルの固着がほとんどです…
そんな場合はドリルでギリギリまで削り…




残ったネジ山部分だけをクルクル抜き取ります。


あとはタップをたてて完了。


洗浄では大量のアッシュが…

洗浄&再生させて完了。



他にもチェックランプ点灯してエンジンが吹けないというレンジャー。
故障コードはサプライポンプの電磁弁…


SCVかな?と思ったけど、データ見ると電流目標値が0なので…
SCV単体の抵抗値測定すると約8Ωで正常。


ここから先は見事に写真撮り忘れたけど…結果、エンジンハーネスが途中で擦れて断線してました…
切り繋いでチェックランプも消え修理完了。
根本原因はハーネスクランプのツメが折れ、エンジンの振動でハーネスが擦れる事例。
よくハーネスのクランプ付け忘れてたり、ツメが馬鹿になってる車両見かけますが地味だけど重要な部分ですね…




車検&エアコン不調のコンドル。
エアコンが効いたり効かなかったりという事で預かった時には症状は確認出来ず…
とりあえずコンデンサーモーター古そうなのでモーター交換して一旦納車…


結果、症状がまだ出るという事で再度お預かり…
今回は電源来てるのにコンプレッサー回ってない事を確認出来たのでコンプレッサーとレシーバーも交換。
二度手間になりご迷惑をおかけしました…


リビルトコンプレッサー。


届いたリビルトコンプレッサー、コネクターのロック忘れてます…
確認不足ですね。


キチンとロックするとこうなります。


配管内のリフレッシュとガスチャージして完了。

どうでもいいけど、ウチのA/CマシーンもDST仕様になって頂きました。笑




車検のデュトロ。
1年間ほとんど使用していないという事でキャリパーのスライドピンが固着。
キャリパー共にオーバーホール…


あまり使わないからとメンテがいらないと勘違いしてる方も多いですが、使わない車には使わない車なりのメンテナンスが必要です…




他にもスタビリンカー持ち込みでブッシュ交換依頼のギガ。
半割れのタイプなので圧縮した状態からの圧入なのでSSTが必要です…
今回のも含め今まではφ65のブッシュだったんですが、ある年式からφ70っていうブッシュサイズになってます…
そのたった5mmの差のせいで同タイプのSSTがもう一個必要になります。
こういう仕様変更は嫌がらせですかね…笑


ガイド入れて…


プレスで圧入。




完成。


あとは引き取り待ちです…



最後は6Wでは定番のオイル漏れ修理…


タイミングギヤケース付近の漏れです。


コレね、間違いなくフランジシール剤が悪いと思いますよ…


パッキンも滲み始めているのでついでに交換します…








ケース側は幸いにも漏れていないのでノータッチ。




シールは問答無用で交換。




それ以降の写真ありませんでしたが、あとは水廻りも少し修理して完了です…




いつのまにか洗浄待ちのDPFがこんなに…
そろそろ溜まってきたDPFを洗って在庫しておかないと急なトラブルに対応出来なくなる…


しかしポスト新長期規制のレンジャーはチェックランプ点いてDPF降ろすと8割破損してますね…


TKG系のレンジャーはチェックランプ点いてからでは手遅れです。
破損する前に予防洗浄をお勧めします…





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クオン…インジェクター交換。その2

2021-05-06 20:51:00 | UD
前回の記事とは別のクオン…
ゴールデンウィーク前に立て続けに重なったエンジン不調の修理…

チェックランプが点灯してエンジンがバラついているという事で入庫。

エラーコードを見てみると現在故障で1番と3番の電流低下or断線のエラー、過去履歴には2番も同内容の履歴が残っています…



前回記事にしたクオンは初期診断こそしていませんが、同じ1、3番だったのでもしかしたらよくある事例なのかもしれませんね…
エラーコードを消去してもすぐに再入力されるような状態。
一度段取りを組むために出庫してもらう時にはチェックランプも消えていたりとランダムに症状が出ていました…

となるとハーネスも疑わしい訳でその辺りも含めて一度ハーネスだけ交換してみるか検討していましたが、インジェクターのエア噛みの症状も出始めている…という事だったので今回はインジェクターとハーネスの交換作業をする事に。


部品を手配して後日再入庫していただき作業を開始…
まずはインジェクター交換を先に済ませておきます…
ここは前回と同様の作業なのでサラっと。




前回も書きましたがロッカーシャフトASSYが重たいので1人でも安全&確実に脱着するために治具を考案中…(製作する時間があるかどうかは謎…)


純正SSTがあるようですがどうせ高いので値段すら聞いてません…


で、リビルトインジェクターを組み付け。





バルブクリアランスとプレリフトの調整時に各シリンダの上死点を出す必要がありますが、GH系のエンジンはクランキング用のサービスホールがクラッチハウジングの真下にあります…
つまり調整時には下に潜ってクランクシャフトを回しては今度は上に登ってカムシャフトの合マークを確認という作業を繰り返す訳ですが…
これが意外と面倒で時間かかるんです…
なので今後の事も考えてクランキングツールを購入しました。


調整も終わり残るはインジェクターハーネスの交換。
古いハーネスを取り外していきます…



問題のインジェクターハーネスは硬化してあちこちで被覆が破れておりました…






いつどこでショートしていてもおかしくない状態ですが…
故障コード自体はショートではなく断線系のコードだったので原因はハーネスなのかどうかはなんとも言えませんね…


で、このインジェクターハーネス…
元々はインジェクターハーネスだけの単品供給設定がなくエンジンハーネスごと交換が必要だったらしいのですが、あまりにトラブルが多いためか現在ではインジェクターハーネスのみの供給があります…

が、元々のエンジンハーネスの設計が一体物で作ってあり当然中継コネクターなど無いため、供給されるハーネスはECUの集中コネクターのピン部から差し換える必要があります…


まあこれは完全に設計当時のミスですね。
ハーネスのシリンダヘッド貫通部をコネクタ接続にしておけばよかっただけの話だし、この方式を採用するんだったらもう少し被覆の材質を考えるべきでしょうね。


各インジェクターとVCB駆動用のソレノイドに入るハーネスをコネクタから抜いて…


コルゲートから引き抜きますが、見事に全部同じ色なんですよね…
これではトラブルシューティング時も困るよなぁ。


で、新品のハーネスを無理のないように通します…




供給されるハーネスも見事に全部同じ色なので事前にどの配線を何番のピンに挿すか印を付けておきました。



各配線を挿してアースも接続したら…


ハーネスキットに含まれるカバー類を取り付けて完了。


ヘッドカバーやら補機類を取り付け。



エラーコードが無いことを確認して…


インジェクターのID書き換え。


エンジンを始動して各データを見ながら暖機。




インジェクターの補正値も良好。


ついでにDPFも強制再生…


温度やデータも特に気になる所も無さそう…


最後にもう一度エラーがないか確認して

最終の試運転も問題ナシ。
これで全ての作業が完了。


試運転時に感じた事…
LKG系も含め現行の2PG系もそうですが運転していて思うのは良い車なんですよね…
乗りやすいし、エンジンとエスコットとの相性も良いし…
故障やトラブルは別として運転手さんからの評判も酷評は聞きませんから…

つまり何が言いたいか…
ボルボトラックが親会社になってからのUDは徹底した情報制限で顧客囲い込みを計りましたが結果はどうでしょう?
あるデータを見れば一目瞭然で、日本国内で言えばそのマーケティングは上手くいっておらず、ブランド力は低下しています。
結局近年はボルボにとってもUDを傘下に収めておくメリットも無くなり、そんな時にちょうど業務提携の話をしていたいすゞに買収を持ちかけた訳です…

一度下がったブランド力を取り戻すのは簡単な事ではありませんが、少なくともベースとなる車両は決して悪い車ではないので、あとは売り方やアフターサービス次第で顧客の満足度や信頼は必ず上がると思うんですけどねぇ…

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クオン…インジェクター交換。その1

2021-05-04 21:42:00 | UD
遠方よりエンジン不調&再生要求頻度が多いという事で相談を受けていたCG5クオン…


事の発端は…
地方を走行中チェックランプが点灯して最寄りのディーラーに入庫…
No1とNo3のインジェクターが不良と診断され、その時はチェックランプだけ消してもらい帰庫し地元の整備工場に修理を依頼したところ、1番と3番のインジェクターだけ、しかも中古のインジェクター(廃車になった同型のエンジンから取り外したものらしい…)に交換したらしくそれ以降エンジンの調子が悪くなり更にDPFの堆積メーターの溜まりが早くなった…との事。


まあインジェクターの部分交換なんて今時のディーゼルエンジンにそんな作業をする整備工場がある事にもビックリですが…

それよりも中古のインジェクターって何⁇
そんなものあるの!?って感じ。

仮に中古があったとして…(絶対使わないけど…)
1番と3番だけ交換する!?
おまけにIDコードも登録していないらしいく…

そりゃ調子も悪くなるわな…

修理後も不調のため再度持ち込んだら今度はDPFやら燃料添加弁やらEGRバルブなどを交換されて戻ってきたがエンジン不調は直らず…

最終的に…圧縮が抜けている可能性があるのでエンジンを載せ替える必要があると説明されたらしいです…

さすがにおかしくない!?と言う事で相談を受けていました。

色々と話を聞いてると、圧縮が抜けているかもしれないという結論に行き着くだけのエビデンスは何も無いんですよね…


とりあえず近くに来るタイミングで会社に寄ってもらい診断する事に。


診断機を繋げてみるも現在エラーはナシ。



インジェクターのバランスを見てみると…


分かりやすくグラフにするとこんな感じ。

全体的なバランスも良くないのは見ての通り、中古インジェクターとやらを使ったとされる1番と3番はガッツリ増量補正が入ってる…笑


どうやら1番と3番には本当に中古が使われているようです…

とりあえず書き換えられていない1、3番のIDコードを正規のコードに書き換えて様子を見るも、結果はあまり改善はしませんでした。




という事で、とりあえずインジェクターを交換しないと次に進めない状況なので…

見積もりを出してインジェクターを交換する事になりました。


基本的に高精度な制御がされている昨今の多段噴射インジェクターは交換する場合、全数同時交換が基本です…

結局は全体のバランスの問題なので、部分的に交換すればバランスが崩れるのは想像に難くないですよね。

ユニットインジェクターはリビルトでも高額なので修理費用を抑えたい気持ちは分かりますが、全数換えておかないと後々別のトラブルを起こすだけです…


という事でインジェクターの交換…

交換作業自体は至ってシンプルで特に苦労する事もありませんが…






1番の難点はロッカーシャフトASSYが重たい事くらい…


取り外したインジェクター




で、インジェクターを取り付けて…






ロッカーシャフトを乗っけたら…


バルブクリアランスとプレリフトの調整。





後はカバーや取り外した補機を組み付けたら、完了。


IDコードを書き換えて、燃料系統のエア抜きを行い…



エラーコードが無いことを確認したら…


エンジンを始動して暖気&各データを点検していきます。





暖気も終わったらインジェクターのバランスを確認。
良好です…

交換前はこんな状態でしたから。




新車のデータとか見てても思うのは±10%くらいまでなら特に気にする必要もないのかな…なんて考えてますが、このあたりは今後色んな車両データを見て検証していく予定。


で、圧縮が抜けている可能性があると言われていたエンジンですが…

簡易診断として診断機から車上テストが可能なので実施してみると…結果は問題ナシ。


このテストは各シリンダのクランキングスピードやクランクケース内圧などの変化から各シリンダの圧縮状態を簡易的に診断する機能だと思いますが…
ここで数字がおかしかったら物理的にコンプレッションを測定して下さいね…という位置付けなのであくまでも参考値ではありますが…

仮にこのテストで明らかにおかしな数値が出ていれば圧縮が抜けている可能性もゼロではないと思いますが…

実際にはグラフの通り問題ナシ。


その上で現状エンジンのかかり具合やアイドリングでの振動や走行中のエンジンフィーリングも含めて個人的には圧縮が抜けてるとは到底思えません…

まあそういう診断をしたのには"何か"理由があるのかもしれませんがお客さんの事を考えたらもう少し慎重に診断するべきだと思うんですけどねぇ…

堆積メーターの溜まりが早いという症状に関しては…
とりあえずデータ上の堆積演算値をモニターしながら100km程試運転してデータ取り。
一度お客様に車を返し、業務に使ってもらいながら更にデータを取る予定です。

どこの数字をアテに演算してるのか、まだ確信が持てていない所もあるのでこればっかりは現車で変化を見ていくほかありません…

結果的に時間と労力を使っても何も分からない可能性も十分あり得ますが、結果はどうあれこういうプロセスから得られる情報は非常にためになるんですよね…



















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