メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

近況…

2018-11-21 07:24:05 | 整備

つい先日の話ですが…

いつものように自分の車で出勤途中にコンビニに寄りコーヒー買って再出発後、最初の信号が赤だったので減速の為ブレーキをゆっくり踏み込んだら…














スコーっとペダルが奥まで抜ける…‼︎







当然、ブレーキは効きません。
慌ててパーキングブレーキを踏み込み減速、たまたま速度が出てなかったのでなんとか止まれましたが…
危うく前の車にオカマ掘るところでした…


ぶつからなくてよかったぁ…と胸を撫で下ろしつつ、会社の近くだった為そのままノロノロ運転でなんとか到着。
会社に到着後ブレーキペダルを何回かペダリングすると踏みしろも戻り、ブレーキテスターでの制動力にも問題なし。

症状が回復した事に少々?がありますが…

どちらにしてもブレーキの不具合は怖くて走れないので急遽、自分の車を点検させてもらう事に…




まずブレーキオイル…

ちゃんと入ってる…


ブレーキパイプやホース、キャリパー、ABSユニットやマスターシリンダーなどを目視で点検するも漏れてるような形跡はナシ。





パッドの残量もまだまだある…





となるとまさかの…











ベーパーロック現象…⁉︎



まあ正直、お恥ずかしい話ではありますが自分の車のメンテナンスって結構いい加減なものでした…
整備士だったらマイカーのメンテナンスはバッチリと思われがちですが…

職業上、人様の車は神経質に扱いますが自分の車となると乗りっぱなし…なんて事はよくある話です…

よく考えたら新車で購入してから一度もブレーキオイルの圧送交換をしてませんでした…

現在の走行距離は10万キロをちょっと越えたあたりで、ブレーキパッドは前後共2回交換してますがその時はキャリパーのピストンを押し戻す時にブリーダーからオイルを抜き、減った分をリザーバーに補充するという適当な整備。

自分の車という事もあり手抜き整備でした。


ただ通常ベーパーロックってブレーキのオーバーヒートから起こる事が多いですがオイルが劣化してるとはいえ特にハードなブレーキングをした訳でも無く通常走行で起きた事に少々ビックリ…

過去に峠道の下りでブレーキの多用からベーパーロックを経験した事もあり…
結果的にぶつからずに止まれましたが、あの時はマジで死んだ…と思いましたが。

今回は朝家を出て渋滞にハマりながら5km程走行してコンビニに…
その間ブレーキに違和感はありませんでした。
で、コンビニでコーヒー買って動き出し、最初の信号でペダルがスコっと抜けました…

今までは今回の走行条件から考えるとベーパーロックが起きるような状況では無いと思ってたんですが、点検の結果ブレーキ系統はどこにも不具合は無し…
マスターシリンダーのシールがイカれたなら制動力が回復するなんて事はあり得ないだろうし…

またABSユニットの不具合ならチェックランプの点灯があるだろうし、そもそも不具合が起きた時のフェイルセーフもありますからね…

そういった状況や症状から考えると原因はベーパーロックとなる訳で…

メンテナンスを怠った為にブレーキオイルが劣化…水分を多く含んだブレーキオイルが沸騰、気泡が発生しペダルを踏んでもブレーキが効かない…と言った状態になったと推測。


という事でブレーキオイルは圧送交換する事に…



ブレーキオイルはそれなりに汚れてましたが、真っ黒という訳ではありませんでした…


全てキレイに圧送交換して完了…



で、ブレーキオイル交換後に試運転にて確認すると…

ペダルの踏みしろは明らかに良くなり、ペダルが抜ける前の状態と比べてもペダルフィーリングは格段に良くなりました。

ここまで変わるとやっぱりブレーキオイルの劣化
によるペダルフィーリングの低下が起きてたんでしょうね…
徐々に劣化するものに対しては日頃乗ってる車でも分かりづらいって事でしょうか…



そんな事よりやっぱりメンテナンスって大切ですねぇ…笑


皆さん、車検時には必ずブレーキオイルの交換はするようにしましょうね…
本当に怖い思いをする事になりますから…

もちろんウチではお客様の車検時には無条件で交換してますけど…笑



にしてもリフトアップして下廻りを点検してたら、色々と不具合予備軍を見つけました。

ロアアームのブッシュが…


ブレーキローターにも小キズが沢山…


新車で購入して早8年。
まだまだ乗り続ける予定なのでキチンとメンテナンスしなければ…





それから私事ですが…

以前よりこのブログ内ではちょくちょくお話はしておりましたが…

現在の会社を年内一杯で退職する事が正式に決まりました。
今の会社には10年在籍しましたが、来年からは新しい環境でチャレンジする事になります。

色々な意見もありましたが、自分が真剣に考えて出した結論です。
誰かのせいにするつもりも無ければ、後悔もしません…

勿論、不安が全く無いと言えばウソになりますが、それ以上にこれから自分の置かれる環境の方が自分を成長させてくれる可能性を感じており、ワクワクした感情の方が圧倒的に強いです…

それからこの選択をサポートしてくれている方々には本当に感謝しています。
その方々の為にも頑張らなくては…という身の引き締まる思いです。

『感謝、努力、挑戦』

少々早いですが来年の抱負はコレでいきます…笑


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最近の作業…25

2018-11-13 08:44:47 | 整備


まずは縁石を跨ごうとして下廻りをぶつけ、何やらオイルが垂れてきた…との事で入庫したHA36Sアルト…


話を聞く限りだとどこか損傷があるのは間違い無いんでしょうけど…


その前に…


何で縁石を跨ごうとするかね…笑


ゴリゴリの四駆でもない軽自動車で縁石を…


越えられると思ったのかな…?



車を運転するのにも空間認識能力は大切ですね…




早速、調べる為にリフトアップ。


フロントバンパー下部に既に損傷あり…


この時点でギリギリ越えられなかった訳では無い事が分かります…笑

更に下廻りを覗き込むと…


オイルパンに擦った跡があり、アルミ製のオイルパンが割れてそこからオイルが漏れちゃってます。


こうなると要交換ですね…


という事で部品を手配してそのまま作業を開始。

邪魔なエキパイを取り外し…
このエキパイにも若干ダメージがありますね…



クランク角センサーも取り外して…



オイルパンの取り外し。

アルミ製ですからね…
この程度の接触でも割れちゃいます。







こちらが新品のオイルパン。


ブロック側をキレイに掃除&脱脂したら新品オイルパンにボンドを塗って取り付け…
各ボルトを規定トルクで順番に締め付けます。




後はボンドが乾くのを待ってオイルを注入後、漏れの確認をして完成です。



で、損傷したオイルパン…


ただポイするなんて勿体ないので…


再生修理の実験台になってもらいます。笑


割れた箇所をよく見ても分かる通り、ホント少しの事なんだけどなぁ…


材質上、粘りが無いので割れちゃうんですよね…

これはオイルパンに限らず多くのアルミダイキャスト製品で同じ事が言えると思います…


今回のように部品が直ぐに入手出来れば特に問題もないんでしょうが時には在庫が無いなんて事もあり得ます…
そんな時は応急的に修理する必要があるのでその実験台となってもらう訳です…


まず割れた箇所に肉盛りする為に表面を軽く削って…


溶接にて肉盛りします…


4,5,6000番台と数種類の溶接棒で試しましたが5000番系が1番溶け込みがいいように感じました…
元の材質番手は分かりませんが無難なのはやっぱ5000番台あたりでしょうか…

肉盛りした後に表面を慣らして再生形。


で、取付面の面精度の確認。
この程度の溶接なら歪みが出る事も無いので応急での修理も十分可能ですね…



損傷が広範囲だったり溶接する箇所によっては溶接時の熱で取付面が歪んじゃいますからね…
こういう交換後の部品も捨ててしまえばただのゴミですが、こうやって色々と試す事でどの程度までの損傷なら再生が可能か色々と検証出来る訳です…

ただ捨てるなんて勿体ない!笑

他にも試したい事はあるのでまだ捨てませんよ…

という事でアルトは完了。



お次はタンクトレーラーのトラブルシュート。


走行中などに荷物を積んで無いのにリフトアクスルが勝手に降下したり、上昇したりを繰り返す…という症状で入庫していたらしく…
他のメカニックがトラブルシュートをしてレベリングバルブなどを交換したが改善されず…
ギブアップという事でヘルプの依頼が入りました。

現車は車高調整を機械式のレベリングバルブで行いリフトアクスル制御はEBSコントローラが行うTEBSタイプのトレーラー。
診断機を繋いで過去故障コードを確認すると色々と入っておりますが、現在コードは無し。


まあ怪しい故障コードもありますが…
ほとんどがホイールセンサ系の故障コードなので今回のようなリフトアクスルが勝手に下降上昇を繰り返す症状とは直接関係は無さそうです。


で、下廻りを確認すると…


レベリングバルブは左右共新品に変わってますが…




TEBSタイプのエアサスのレベリングバルブは機械式なのでリフトアクスルの制御には直接関係ありません…
あくまでも車高を機械的に調整してるだけです…

また車体がなんらかの理由で(ベローズのヘタリやリンクのガタなど…)傾くとそれを戻そうとエアを排出したり吸入したりするのでそれをエア漏れや故障と判断するメカニックもいますが…
実際にはレベリングバルブは悪くないなんて事も少なくありません。

このリフトアクスルの制御は接地軸のベローズ圧力をコンピュータがモニターしており、その圧力に応じて車軸を上げるか下げるかを判断してます。
またリフトアクスル制御に何かしらの異常があると判定されると強制的に車軸を下げる事もします…

今回の症状は走行中に車軸が勝手に下がったり上がったり、また常に症状が発生する訳ではなく出たり出なかったりという事なので可能性としては圧力センサの一時的なバグや特性ズレなどが考えられます…

で、その圧力センサの良否を判定する為にパラメータを少々変更します。




コンピュータが車軸を下げる判断をする基準となる数値を少々甘く設定し直して、実ベローズ圧とセンサの数値を見比べながら実際に作動圧が変化するか?を確認します…

これをする事でセンサの信頼性が判断出来ます。

ところが試運転の結果、作動圧や症状は変わらず…

また試運転時に圧力センサのデータを見ているとセンサの数値が一瞬0に落ちたりしてるので圧力センサの不良でほぼ間違いないでしょう。


問題はこのタイプのベローズ圧力センサは単体ではなくEBSコントローラに内蔵されており、基本的にはEBSコントローラASSYでの交換が必要となります…

元々作業をしていたメカには…
EBSコントローラの交換とパラメータの設定、更には設定後スタートアップを行う必要があるなど、一通り説明して再度、作業を引き継いでもらいました。

作業後は無事に症状も改善しました…
という事でトレーラーも終了。



それから先日、赤信号で停まっていた所に隣に停車したレクサス…



LSかぁ…なんて見てたら…



ナンバーが…


31A…⁉︎


もう数字だけじゃ番号足りないんでしょうね…


にしても初めて見た…笑





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工具…

2018-11-04 18:17:11 | 工具
とうとうネタ切れ感が否めないので…
今回は工具ネタです…笑


実は以前から『使用している工具を見せてもらえませんか?』とか、『工具の紹介をお願いします…』とかコメントやメッセージでリクエストがあったんです…

勿論、そういった要望に全て応えられる訳ではありませんが、最近はネタに困り気味なので記事にしてみようかと、少しずつ自分の工具の写真を撮り貯めてました…


まあ人の工具箱の中身を見てみたいと思う気持ちも分からなくもないですからね…

言わば究極のマイワールドな訳です…笑

使ってる工具や箱、更には中身の状態を見ればその人の拘り、また仕事や工具に対する姿勢が表れます…


で、そんな整備士の工具にも会社が支給してる物を使っている人と自前の工具を使用している人の2パターンあると思います…

私は後者の方で工具箱も含め中身の工具も全て自分で買い揃えた物です…

まあこれはどちらが良いとか悪いとかではなく、あくまでも個人の考え方によって大きく変わる部分でもありますが、私の場合、使い慣れた工具が1番使いやすいと思うタイプなので自前の工具を揃えてます。

当然、自分の道具であれば例え勤務先が変わろうが会社が変わろうが何処へでも持っていけるというメリットがあります…

そのかわり修理や校正も全て自腹ですけどね…

ただ身銭を切って揃えた道具は大切に扱うし、決して間違った使い方や無理な使い方はしないものです。



前置きが長くなりましたが…



基本的にはsnap-onを好んで使ってますが、使い易さからKTCやTONEなど様々なメーカーも使ってます。
重要なのは品質と耐久性ですね…



で、まずロールキャブはsnap-onのKRA4813というタイプにトップチェストは同じくsnap-onのKRA4114というタイプ…



本当はもう一回りサイズの大きいマスターシリーズが欲しかったんですが工場の広さの関係と頻繁に移動させるのでこの組み合わせの選択になりました。

トップチェスト最上段はゴチャゴチャさせたくないのでトルクレンチだけ…
後は、中に0.5ミリ厚のステンレス板を敷いて一時的な工具置きスペースとして使ってます。


1番上のドロワーはコンビネーションレンチ、メガネレンチ、ショートコンビ、ミゼットコンビ、両口スパナなどなど…








2段目はストレートメガネ、ギヤレンチ、トルクスメガネ…






3段目はマルチメーターやサーキットテスタ、オシロスコープなどの電機関係…










これはトラブルシュート時などに使う自作のテストリード類…
使いやすいように色々と作ってあります。


4段目はロングプライヤー類やインパクトなどのよく使うエアツールに電動ツール…


左側はロングプライヤー類…


右側は電動ツールにエアツール…


因みに、電動ラチェット買ってからエアラチェは全く使わなくてなりました…笑


トップチェストは以上。


で下のロールキャブ…
1番上の幅広のドロワー…
ここは1番よく使うラチェットやソケット類です。







で、右バンク1段目はドライバー系…


2段目はプライヤー系…


3段目はご覧の通り…笑


4段目もちょっとしたSSTやノンスリップドライバーに、エアツール。


5段目はタップダイス類に各ボルトなど…


タップ&ダイスの各サイズに…


プーラーボルトやセットボルトにガイドボルト…


右バンク1番下は消耗品です…
置き場に困ったインパクトドライバーもありますが…笑


で、左バンクの1段目…
ここはちょっとした測定器類…
シックネスゲージ、デプスゲージ、ノギス、テンプメーター、マイクロメーターなどなど…


2段目は小物…
カッターやスクレッパー


3段目は特殊な小物…


4段目はエキストラクターに強化スクレッパー。


5段目は汎用のガスケットやOリング類に細々とした物…




集めたメクラカバー類…
これ結構役に立ちます。


更にスタッドボルトやグリスニップルやクリップ類…




1番下は今まで苦労して集めた各メーカーのマル秘情報…笑


紙ベースなので、これも本当はタブレットにデータとして入れたいんですけどね…(^_^;)
結構な量なのでいまだに重い腰が上がりません…笑

後はサイドにアクセサリーステーションを付けてケミカル関係やハンマー類はそちらに…






この工具箱に入ってる物は基本的な工具で他にもあまり使わない特殊工具類はまた別で保管してあります…

まあそちらは時間があればまたの機会にでも。


で、よく言われるのが『仕事で使う工具なんだから会社に買って貰えばいいじゃん!自分で買ってたらお金がもったいなくない⁉︎』なんて事…

もちろん大型の設備や個人で所有するにはデカすぎる工具などは会社に揃えてもらいますが、小手先の工具はほぼ自分で揃えてます…

まあこれには賛否両論あるのは承知ですが私の場合、会社の為にお金を使ってる訳じゃなくあくまで自分の技術や経験を上げる為の自己投資みたいなものです…


会社の場合、欲しい物をポンポン買ってくれるなんて事はあり得ないですからね…
必要な物でさえ金額によっては少なからず渋ります…
『儲かってる時じゃないと買えない』とか…
『それで元が取れるのか?』とか…
損得勘定で判断されがちです。

まあ会社なので設備投資した分の減価償却を考えればそれも当然かもしれませんが、現場としては無いと仕事にならない事も少なからずあります。
我々の仕事は設備が直接的な利益をもたらす訳じゃなく、その設備を使って人が利益を生み出すという事を忘れてほしくないですね…

道具が無くて仕事が出来ないというのはプロとしては情けないですから…
その為、自分自信で何とか出来るものなら…という考えで自己資金を投入してます。



そんな話の流れという訳ではありませんが…
会社に数年前から要望してた設備がようやくOKが出ました…


待望の小型車用の埋設式リフト…
今までは小型車は移動式のポータブルリフトで整備をしていました…
揚程も1m程度の軽作業用のものだったので…
まあ効率の悪い事…

数年前から事あるごとに設備を入れてくれ!と言い続け、あーだこーだ文句を言われながらもようやく実施に至り、先日から工事が始まりました。









小型車の作業効率は比べるまでもなく大幅に向上してますし、立ち姿勢で整備出来るのでメカニックの負担軽減効果も大きいです。


まあこれも小型を整備するなら当たり前の設備なんですが…
この設備を入れてもらうまでに長い事かかりました…笑



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