WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『祝祭と予感』(著者:恩田 陸)

2022-08-21 14:03:36 | 本と雑誌

7月の晴れた日曜、2年ぶりに開催された浅草フィル定演でシベリウスを聴いた。(浅草の天ぷら老舗「中清」でランチをいただき、おなかいっぱいになった直後だったのでついウトウトしたが、フィンランディアが特に良かった) その前にコンサートホールに行ったのが昨年6月でブラームスのチェロ。コロナ下での自粛もあり、それまで日常の中に組み込まれていたオーケストラをライブで聴くという習慣がすっかりなくなってしまった。

もちろん、こよなく愛するピアノは自分で弾く。レッスンに通うことは今は止めていて、自宅でプロの曲をじっと耳をすまして聴き、タッチや表現を考えながら少しずつ練習する。この本に出てくるディヌ・リパッティのピアノ協奏曲(シューマン)。もちろんまだ弾けないけれど、カラヤン指揮のオーケストラとの協奏がとにかく完璧に美しい。

ブログのどこかにも書いていると思うのだが、「蜜蜂と遠雷」を読んだときの衝撃はすごかった。たしか年初のうちに読んだところ、この年の最高傑作にめぐり逢ってしまった!と大興奮した記憶がある。映画も見た。コンテストの課題曲として出てくるピアノ作品を聴きまくった。そろそろ続編、でないかな・・と期待するファンのための、6つの小品とさまざまなエッセイを収めたこの本は、贅沢でお洒落なアンコールという感じ。

膨大な作品群から譜面を見て選定し、その曲を違うピアニストで何度も何度も繰り返し聴いてから、ひとつのシーンをコツコツ書くという気の遠くなるような作業。取材のため、浜松国際ピアノコンクールに4回も通ったという半端ないピアノ愛(このコンクール、3年に1回なのだ)などなど、「蜜蜂と遠雷」創作の舞台裏も楽しめる。続編は書かない(もう語るべきことは全て書ききった)という著者のひとことが潔くてカッコいい。でも魅力的なコンテスタントたちのプロとしての演奏家人生も、ものすごーく読みたくなる。やっぱり続編、でないかな・・・

この記事についてブログを書く
« 『モデルナはなぜ3日でワクチ... | トップ | 『F ショパンとリスト』(著... »

本と雑誌」カテゴリの最新記事