WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『エリック・ホッファー自伝』(訳:中本 義彦)

2012-08-31 19:23:21 | 本と雑誌
エリック・ホッファー自伝―構想された真実 エリック・ホッファー自伝―構想された真実
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2002-06

夏休みどころではないと気を引き締めていても、暑い日が続き、体がだいぶへばってきたので、今日は急遽予定を調整して一日オフを取る。といっても会社に行かないだけで、iPadがあれば仕事をしてしまうのだが。昨晩、がーっと仕事を片付けて、残りのリストを書いていたら、まだ大判の付箋2枚びっしりだ。ボスの資料レビューや社長会議で鍛えられ、要修正点や必要なタスクはすべて頭の中に入れる習慣ができて以来はじめて、ここ最近、さすがにメモをとらないと覚えられないほどの大量の洪水である。


それでも夕方、ショパンを聴きながらゆったり読書の時間、それから、買ったばかりのミュールをはいて散歩。夏の最後の一日、たそがれから透明な空に満月が昇る。本や音楽や絵画や、美しい色々なことが、大事な部分をはぐくんでくれる。大人になっても成長する感性があるのだ。この本は素晴らしくて2回読みなおす。


『富士日記(上)』(著者:武田 百合子)

2012-08-25 19:00:53 | 本と雑誌
富士日記〈上〉 (中公文庫) 富士日記〈上〉 (中公文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:1997-04-18

著者は戦後のベストセラー作家、武田泰淳氏の奥さん。富士山麓の別荘で過ごした日々の日記、ゆったりした独特の雰囲気が何ともいえず、ここ最近、毎晩帰宅して寝る前に少しずつ読むのが日課になった。夜は、夏の暑さと一日の仕事を終えてくたくたになっている体に、明日することのアイディアでアドレナリンが血中を駆け巡って、神経が尖っている。シャワーを浴びて涼しくした部屋のベッドでこの本のページをめくっていると、だんだん気分が鎮まって、そのうち眠りがやってくる。


それにしてもようやく皮膚なおり、嬉しい。ひたいが珍しくチクチクしないなと思ったら、今まで、髪ひとすじかかってもかゆかったのだ。はりついた髪をつまむ指がしょっちゅう触れるので悪循環。手の甲は、毎晩、やけどのようになったところにいつもの薬、ステロイドを塗って、眠っている間にかかないようサランラップを巻いて寝ていた。(ラップを巻くとひと晩、密封されて、薬の効きがすごい)
今日は、もうなんだか大丈夫な気がして、とても久しぶりに冷たいビールをグラス半分。自分がそう思うときは、きっと体も治ってきている。このままいきますように。


『食堂かたつむり』(著者:小川 糸)

2012-08-18 19:55:51 | 本と雑誌
食堂かたつむり (ポプラ文庫) 食堂かたつむり (ポプラ文庫)
価格:¥ 588(税込)
発売日:2010-01-05

5月、唇の腫れからはじまった皮膚炎が顎、目の周囲、額、首、手、体とひろがって、赤く腫れ、かゆい。顔が中心なので目だって、人にどうしたんですかとよく聞かれた。ステロイドでいったん治っても、何度もぶり返し、夜痛いのとかゆいのでなかなか眠れない。特にお風呂あがりが一気にかゆくて大変。4ヶ月近く我慢してようやく治ってきたけれど、いったい私の体に何が起きたのか、原因がわからず気味悪い。


疲れ、ストレス、食の不規則、アレルギーで、大人になってはじめてアトピーが出ることもあるらしい。たしかにお正月明けから無理してたからなぁ。何回もビタミンB2、B6、ハイチオールCを処方してもらい、さらに外食が多いと野菜をとろうと思うだけではダメで、野菜だけ食べる、にしないと必要量が摂れないと皮膚科の先生から指導、野菜と果物を中心にとる生活に切り替えた。あとたくさんの睡眠と適度な運動。つらいのは香辛料のきいたものを食べると一気に再発するので、大好きなカレーが食べられないこと。アジア系のスパイシーな料理、香草、お酒のたぐいもぜんぶ厳禁。夏なのにひどい(涙)


これは読む途中に何度もキッチンに駆け込みたくなると兄嫁にすすめられて手にとった。最後の野鳩のローストがいちばん美味しそう。野菜ばかりで作るスープも。きちんと手をかけて作るメニューが何で大事か、しみじみと感じる、丁寧で優しくて素敵な本。


『パルムの僧院(上)(下)』(著者:スタンダール 訳:大岡 昇平)

2012-08-13 11:46:06 | 本と雑誌
パルムの僧院 (上) (新潮文庫) パルムの僧院 (上) (新潮文庫)
価格:¥ 540(税込)
発売日:1984-01

仕事が忙しいのと、週末はあっという間に時間が過ぎるので、読書日記を更新するのがとても久しぶり。今日は1日だけお盆休みをとって久しぶりのオフ。朝、夏の陽射しの中で洗濯をしているとすがすがしい。仕事も楽しくて休むのが嫌なくらいだけれど、たまった家事を地道に片付けているとそれもそれで幸せを感じる。


晩年のスタンダールが、後にナポレオン三世の皇后となったスペイン人の美少女、ウジェニーのために口述筆記で一気に書き上げた傑作。作品名からなんとなくナポレオンに一生をささげた敬虔な修道僧の話かと思っていたら、美男美女ぞろい、めちゃくちゃに明るい、陰謀あり毒殺あり脱獄ありの宮廷喜劇。訳も大家の大岡先生、おもしろくない訳がない。


ヒロイン、サンセヴェリーナ公爵夫人は、女性の完璧な理想像として他の名だたる小説家の憧れの的、少し時代を下った19世紀後半の小説やエッセイによく登場する。美貌で聡明で、滞在先のパルム公国の絶対君主を頭脳の回転の速さでも気の強さでも圧倒し、愛する甥を牢に閉じ込めたお返しにとんでもない壮大な報復を仕掛ける。北イタリアを舞台に華やかで、爽快なくらいぶっとんだ文豪会心の大作(笑)