WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『使ってもらえる広告』 (著者:須田 和博)

2010-01-30 19:40:31 | 本と雑誌
使ってもらえる広告 「見てもらえない時代」の効くコミュニケーション (アスキー新書) 使ってもらえる広告 「見てもらえない時代」の効くコミュニケーション (アスキー新書)
価格:¥ 780(税込)
発売日:2010-01-08

今月は年始というのにせわしなく、大好きな本を読む時間がいつもより取りにくい。特に今週は、@SoftBankCorpで2/2の決算発表をTwitter中継するため、その陣頭指揮で夜遅い日々。この博報堂さんからの推薦本も読むのが遅くなってしまった。

サービスを起動して、クリックするという視聴者側の行動からはじまるウェブの世界において、企業がコミュニケーションを組み立てていくときの醍醐味、おもしろさ、必要なこと、を、こんなにわかりやすく伝える本はない。頭で考えただけの話ではなく、須田さんが今までに真剣に誠実に取り組まれてきたお仕事を通じての表現だけに、いっそう凄味がある。

サイトへの、そしてサイト内での行動分析とその数値を(目的の最適化に)どう活かすか、という手法はすでに当たり前で、その上に、企業のウェブと直接的な接点のない、あらゆる企業活動のコミュニケーションポイントにおけるインタラクティブな視点とは何か、その可視化を考えていかねばならない。それがウェブのブランディングということ。今、自分の仕事でそれを考えていたので、この本で須田さんが世の中に発信されたメッセージが心に響いた。おもしろかった。


『ノルウェイの森(上)』 (著者:村上 春樹)

2010-01-24 18:55:03 | 本と雑誌
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2004-09-15

最初に読んだのはたしか高校生のとき、「悲しい純愛小説」くらいの印象だったのだけれど、最近、文庫本を再読してこんな深い話だったのかと驚く。

人の気持ちのありようと、その上澄みとして見える表面的なものがいかに隔たっているかについて、その距離は、自分の中にあるのに自分ではおしはかれない。深い関心をよせる相手のそれは、いつも考えているから正確にわかるのに深みまで手が届かない。この小説はそんな描写の連続で、何が切ないってこんなに切ないことがあるだろうかと、ほとんど涙ぐみながら読んだ。

大人になってから読むとまた違って嬉しい発見。下巻が楽しみ。


『翻訳夜話』(著者:村上 春樹+柴田 元幸)

2010-01-23 17:05:25 | 本と雑誌
翻訳夜話 (文春新書) 翻訳夜話 (文春新書)
価格:¥ 777(税込)
発売日:2000-10

今週は、優雅に仕事するポリシーを捨てざるをえないヒドイ激務で、昨晩ピアノを1時間弾いてやっと心の平穏をとりもどす(笑)。

こちらも推薦本、柴田元幸さんは現代アメリカ文学の研究では有名な方と知った。村上春樹のマニアックぶりとちょうどいいバランスの対談がとてもおもしろかったので、この人の翻訳を新しく何冊か買ってみる。

原書で読んでも、母国語の訳で読んでも、同じ世界観を感じるのが第一級の翻訳ということ。だから訳すときには文章の深い奥まで徹底的に探りながらの作業になるという、「翻訳は究極の読書」にふむふむと納得。この本は英訳についてだけれど、仏訳についても読んでみたいなあ。

フランス語は、「そういうつもりじゃありませんでした」なんてコミュニケーションミスが許されない外交官の公用語(la langue diplomatique)、すなわち、ものすごーく正確な言語。名詞や形容詞の種類が英語より多く、性・数・格の語尾変化も時制用法も厳しく決まっていて、ロジカルで体系的(・・・だから好き)。英語より正確な意味を理解しやすいので、訳者のセンスが言語変換のデキを左右する幅があまり広くないような気がする。


『震度0』(著者:横山 秀夫)

2010-01-17 14:50:01 | 本と雑誌
震度0 (朝日文庫 よ 15-1) 震度0 (朝日文庫 よ 15-1)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2008-04-04

このブログをはじめたときから(といってもまだ2ヶ月だけど・・・笑)、あたたかく見守ってくださっている(?)方からの本。どうもありがとうございます♪ ストーリーは、神戸の大震災発生から3日間、近県で突然失踪してしまった警務課長をめぐる県警トップ層の壮絶な神経戦。震災の救助対応を優先すべき警察なのに、まさにサラリーマン社会のダークな縮図をみるようでドキドキ。この著者の作品はほんとに構成がすばらしく、特に、後半からの急展開に「どうなるんだろう?」ととまらず読みきってしまった。


『ハッピー・リタイアメント』 (著者:浅田 次郎)

2010-01-16 19:22:54 | 本と雑誌
ハッピー・リタイアメント ハッピー・リタイアメント
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-11

今週もなんだかんだで忙しかったので、リラックスして読めそうな本を一気読み。浅田次郎さんは、お書きになるものの幅と情感の濃淡がすごく広くて、好きな作家。なさそうで、意外とありそうな、でもやっぱりない状況設定が、肩の力をぬいてほのぼのと読むのに最適です。花マル。