ab Cuore 

帰国した時ノンポリだった私が見たのは≒無政府状態の日本。
ショック、怒り、希望をこのブログに書きました。

3/26-27 あれはいつだった? 第62話

2024-03-27 13:43:12 | あほ

3/26-27 あれはいつだった? 第62話


高校の寮に入った旭は生まれて初めて自由を感じた。

解放感、そこは男子校で女特有の臭いもなかった。

旭の生活は毎日がもうれつに幸せだった。

勉強の途中で中断されることもなく、なにもかも楽しかった。


旭がすべての面で人生の方向替えができ、女性を嫌悪する感情も

緩和し、女性とも向き合えるようになったのは

家を去って自立したからだろう。


旭は親の会社に入ればいいわけだから就職の悩みもなかった。

しかし、大学を終えたあと普通に就職し、その会社からアメリカの支店で

数年働き、同時にアメリカの大学で大学院に行くことで自分を高めた。


帰国してさらに数年、その企業で働いたあと、父の会社に父の秘書として入社した。

それでも生まれ育った家に戻るのは望まなかった。

旭のために父は自社が建設させたマンションの最上階の広い部屋を

旭の提供した。

それは外国の客など家庭で接待できる目的のためでもあった。


旭はインテリアには興味があったけど、自分でアレンジするほど暇ではなかった。

それでもいつの間にか会社の客を居心地よく接待できるほどの室内になった。

それをさらに洗練されたインタリアにしたのが直子だった。

旭の見合い話が浮かんだのはこの頃だった。


しかし、直子は会社関係の人たちの接待の日は姿を見せなかった。

旭の両親も何回もここを訪れている。

しかし、直子の存在は知らなかった。

旭は理由を追及しなかった。

直子が結婚によって、旭の人生に振り回されるのはまだ望んでいないことを

ぼんやりとわかっていたから。

直子はまだ24歳だし・・・・


直子は自分が人生でやりたいことがまだはっきりわかっていなかった。

会社を辞め親のすねかじりの24歳。

少しは気になったけどアルバイトもしたこともない24年の人生。


あえて言えばイタリアに留学したかった。

才能のなさは自覚していたけど、イタリアに留学して

まじかにオペラに触れたかった。

歌わなくても何かオペラ関係の仕事があるかもしれない

モヤモヤとした直子の夢が胸に渦巻いていた。


だからここで旭の両親に紹介されて、将来の結婚の路に

乗りたくなかった。


旭が大好きだった。 

これまでのどの男よりも旭といるのは心地よかった。

時に旭の子供を産んでもなんてことも頭をよぎった。

その旭と別れる妄想をいだいたときは涙がわいた。


直子は旭のなにがこんなにも好きなんだろうと考えることがあった。

そういう時には旭のマンションを避けた。

ベッドの上で直子の手が足の間にむいた。

旭とメイクラブがしたかった。

でもそのためにマンションに戻るのは嫌だった。

男を愛する気持ちと体欲が矛盾しなかったのは旭が初めてだった。

これまでは好きだけど、体は嫌い。

体は欲しいけど、本当はそれほど好きじゃないケースばかりだった。


直子の追及は結論がなかった。

それは考えていると、昼でも夜でも眠ってしまったから。

直子はあまり突き詰めることが好きじゃなかった。


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