ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

メンフィス・ベル (Memphis Belle)

2008年05月11日 | 映画

 

メンフィス・ベル [Memphis Belle]     
■1990年 アメリカ映画   
■監督…マイケル・ケイトン・ジョーンズ   
■音楽…ジョージ・フェントン   
■出演
  ☆マシュー・モディン(操縦士デニス)        
  ☆エリック・ストルツ(無線士ダニー)         
  ☆テイト・ドノヴァン(副操縦士ルーク)         
  ☆D.B.スウィーニー(航空士フィル)         
  ☆ビリー・ゼイン(爆撃手ヴァル)         
  ☆ショーン・アスティン(旋回砲手ラスカル)         
  ☆ハリー・コニック Jr.(後部砲手クレイ)         
  ☆リード・エドワード・ダイアモンド(上部砲手ヴァージル)      
  ☆コートニー・ゲインズ(右砲手ユージーン)         
  ☆ニール・ジューントーリ(左砲手ジャック)         
  ☆デヴィッド・ストラサーン(中隊長)         
  ☆ジョン・リスゴウ(デリンジャー大佐)
 

【ネタバレあります】
 戦争映画といえば、「正義の」アメリカが「悪い」敵国をやっつける「勧善懲悪」パターンや、主人公の戦いぶりを英雄的に描くものなどが典型的なパターンですが、この「メンフィス・ベル」は、それらとは少し趣を異にします。


    
  マシュー・モディン(デニス)    エリック・ストルツ(ダニー)


 スターがキラ星のごとく出演している従来の大作に比べると、どちらかといえば地味な出演陣(といっても、「グーニーズ」のS・アスティンや、「フルメタル・ジャケット」のM・モディンらの顔が見えます)だったため、あまり期待せずに見たのですが、


          とてもよかったです  


 舞台は、1943年5月、イギリスにあるアメリカ空軍の基地。 
 「メンフィス・ベル」と名乗る爆撃機B-17は、今までの24回の出撃を無事に終えたアメリカ第8空軍唯一の機で、その強運ぶりは部隊中に轟いています。 
 25回目の任務を終えると、10人のクルーには除隊が待っているのですが、最後の出撃として、ドイツのブレーメンにある軍需工場への爆撃命令が下されます。猛烈な対空砲火や戦闘機の襲撃が当然待ち構えていて、無事の帰還は望めそうにありません。 
 メンフィス・ベルは、最後の最後で幸運から見放されたのでしょうか。  


 この映画の面白いところは、戦争映画なのにもかかわらず、おもな出演者(つまりメンフィス・ベルのクルー)は誰ひとりとして死なないことです(正確には、他の機が撃墜されたりはしていますが…)。   
 出撃後、敵機の攻撃を受けて、僚機が次々に撃墜されてゆきます。メンフィス・ベルも敵弾を何発も受けまるのですが、奇跡的に乗組員は無傷です。 
 ようやく目的地に着くのですが、目標の軍需工場が見えないため、隊長のデニスは部下の反対を押し切り、危険を冒して上空を旋回し、チャンスを待ちます。周囲に学校や病院があるため、無差別爆撃を避けようとするんです。


      
  ショーン・アスティン(ラスカル)   ビリー・ゼイン(ヴァル)


 帰還途中もさまざまなアクシデントに見舞われます。そしてダニーが瀕死の重傷を負い、一時は敵の救助を期待してダニーにパラシュートをつけて飛行機から落とそうとさえするのです。 
 ようやくのことで基地にたどり着きますが、燃料はなくなり、しかも片方の車輪が出ない。
 ラストの3分間は、スリリングで感動的。
 バックで流れている「ダニー・ボーイ」が興奮を高めてくれます。


 娯楽作品として見ても、とてもスリリングで面白い映画です。しかし、戦争映画でありながら、「敵を倒す痛快なもの」ではなく、「生き抜くこと」に主眼を置いた作品ではないでしょうか。 
 あくまで爆撃は軍需工場に限定するのかどうか、重傷者を助けるためにパラシュートを着けさせて落下させるかどうか、これらのさまざまな葛藤は、同時に「人間の尊厳」という命題をぼくらに投げかけているような気がするのです。


 「戦争映画って、ちょっとどうも…」と思っているけれど、社会派映画は好き、という人におすすめできる作品かもしれません。  


 出演者の中に、ジャズ・シンガーのハリー・コニック Jr.の姿も見えますね。劇中、出撃前のパーティの席で、名曲「ダニー・ボーイ」を歌ってくれています。甘く、深みのある歌声、ステキですよ。


     
     ハリー・コニック Jr. (クレイ)




『メンフィス・ベル』予告編


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4 コメント

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僕はエリックストルツの出演している作品が好きで (Kumachan)
2008-05-11 23:54:05
つい。(笑)
「マスク」や「恋しくて」
その後のこの「メンフィスベル」

彼の演技はとても暖かなものが多い。
一番のお勧めは「恋しくて(Some Kind Of Wonderful)」だけれど。。。
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おっは~♪ (Nob)
2008-05-12 08:37:37
むむ・・・ 私の知らないジョージさんでした(笑)
予告編の印象からすると、友情物語の雰囲気もありますね。
この映画は観ていないんですが、こちらを真似っこした(?)日本映画「君を忘れない」は何故か観にいったんですよ。友達がキムタクファンなので無理矢理連れて行かれました(笑)
ポスターの雰囲気などもそっくりなんですよ。
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Kumachanさん (MINAGI)
2008-05-12 13:20:53
エリック・ストルツお好きですか~
ぼくは彼の出演作はたぶんこれしか観てないんですよ。「マスク」は持っているので、どこに出ているか見直してみたいと思います~
そういえば彼は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主役を演じる予定だったそうですね。
返信する
Nobさん (MINAGI)
2008-05-12 13:26:20
こんちわわ~
あ、違うんですよ、ジョージさんとはこの下の記事のジョージ川口さんのことだったんです~ わかりにくくてスンマソン。(^^;)
 そうですね、「友情」もありですね。でも普通の友情とはちょっと違う、いわゆる戦友の友情、でしょうか。
 「君を忘れない」は観てないんですが、松村邦洋さんも出てましたよね、たしか。あんなに太ってて戦闘機に乗れるんかいな、と不思議に思っておりました。あ、ポスター、たしかに似た感じがしますね。
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