ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

世界の片隅の小さなジャズバーで

2023年11月22日 | GROOVYの日々
【Live Information】


東洋の、日本の、岡山の小さなバーで出会うイタリア人とオランダ人。


11月6日。
雨も降り出したし、3連休あとの月曜だし、あたりにはまったくひと気のない夜でした。
近くのライブハウス「MO:GLA」の福武さんが、「お客さんがいなかったら今夜は23時で店を閉めるよ」というアナウンスをしていたのを思い出して、「うちも今夜は早じまいして、たまにはMO:GLAに寄ってみようか。片付けはあとで店に戻ってからすればいいや。」と、22時すぎに財布をひっつかみ、看板のスイッチを消して小走りにドアを開けた瞬間、目の前に目を真ん丸にした外国人が
イタリアから来たというフラビオさんでした。


実は、うちのお店はちょっと分かりにくいところにあるのです。
フラビオさんは、迷いながらも「ようやくたどり着いた!」と思ったら、いきなり看板の灯が消えてドアが開いたので、少々うろたえたんだそうです。
いや~、申し訳なかった💦
すぐに中に入ってもらいました。
注文を聞いて、ステレオの電源を入れると、たまたまCDデッキのトレイに載ったままだった大西順子さんのアルバム「WOW」がかかりました。フラビオさんは、「これ誰⁉️ すごくいい、カッコいい‼️」。とても気に入ったようでした。
すると間もなく、もうひとり雨で濡れたお客さまが。
またしても外国人。。。
(言葉をどうしよ💦
オランダから来たというピテルさんです。


使える言葉という言葉をすべて駆使して、なんとかふたりをおもてなしいたしましたよ。
でもフラビオさんは仕事で日本に来ているそうで、日本語は上手。
ピテルさんも日本が大好きで、大学で日本語を学んでいて(吉本ばななの日本語の文庫本を、勉強のため一日1ページずつ苦労しながら読んでいるそうです)これまた日本語が上手。
自然に話し始めるふたり。
日本人同士のような、「あ、どうも」「いえいえどうも」なんていう「垣根を取っ払わなくては」感がないんですね。
しかしふたりの会話は、英語と、なんだろう、英語ではない言葉も聞こえるような。。。
それをリスニングの試験のような気持ちで必死に聞くぼく。


     


聞けば、フラビオさんはアルトサックス奏者、ピテルさんはギタリストなんだそう。
そして始まる深夜のセッション。
ふだん遠く離れて暮らす3人が、極東の小さな小さなジャズバーで夜更けに出会い、セッションが始まるこの不思議。
自分が店を出るのがもう10秒早かったら、こんなことは起こってなかった。
もしかしたら「サボるんじゃないよ」と、神様が仕組んでくださったのかもね。


フラビオさんはサックスを持ってきていなかったので、ボンゴを叩いてもらったんですが、これがまた上手いんです。
ピテルさんのギターもめちゃ上手くて、音色がとても美しい。
フラビオさん、「どうして楽器持ってこなかったかな〜、今度来ることがあったら必ずサックスを持ってくるぞ


     


ぼくは、せめて英語をもっと使えるようにならないとな・・・。
 
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桑野信義さん

2023年11月01日 | GROOVYの日々

【Live Information】


 先週金曜のこと。
 早い時間はお客さんもおらず、付き出しを作ったり、コントラバスの練習をしていたときにふと気づいた着信履歴。
 地元の先輩ミュージシャン、トランペッターの三村さんからです。
 折り返し電話すると、すぐにお店に現れました。
 「もうちょっとしたらクワマンさん来るから」
 クワマンって、桑野信義さんのことですよね。
 シャネルズ(のちのラッツ&スター)のトランペッター、『志村けんのバカ殿様』で家老を演じたあの桑野さんですよね。


 ぼくはちょっと構えたところがあって、有名人がいても全然キャーキャーワーワーならないし、なんなら近くに来られると「お願いこっちに来ないで~」と逃げたくなってしまうんです。
 でも興味がないわけでもないし、いい加減年も取ったので、店主としてちゃんとした対応をしなくちゃ、と心の準備はしておりました。


 そして桑野さん到着です。
 ドアを開けて入ってくるや、きちんと立ち止まって軽く、でも折り目正しく「こんばんは」と一礼されました。
 こういう状況で、しかもお客として来られてこんなにちゃんと挨拶される方をとてもとてもとても久しぶりに見ました。
 もうそれだけでぼくの心の扉はフルオープンです。


 たまたま近くにいた音楽仲間が遊びに来てくれました。
 桑野さんたら最初からとてもフレンドリーで、すぐにみんなと打ち解けました。
 みんなの名前を聞いて、すぐ愛称(サッちゃんとかクロちゃんとか)で呼ぶんですけれど、ふと気づくと桑野さんって分け隔てなく声をかけているんです。
 ぼくの経験だと、友人同士でもだいたい6人くらいになると宴席がふたつ(あるいはそれ以上)に割れちゃうんですね。そのうえ席が近い人とだけとか、気に入った人だけと話す人がほとんどなのですが、桑野さんってまんべんなくみんなに声をかけてるんです。


     


 桑野さんが大きな病気をされたことはニュースなどで世間に広まっています。
 うちの先代も、部位は違うけれど同じ病です。
 お店を受け継いだ経緯を話すと、桑野さん、「今からママここに来れないかな」
 元気づけてあげたい、と。
 電話してみると、さすがに夜も遅かったので「今夜はちょっと行けないわ~」とのこと。
 そこで桑野さんに電話を代わってもらいました。
 「頑張らなくていいんだよ」とか
 「一緒に治していこうよ」という言葉が漏れ聞こえました。
 「『自分のことよりも』っていう方なんだなあ」と思ったら、ちょっと胸があつくなってしましましたよ。


 そして、ミュージシャンが集まればセッション・タイムです。
 秋なので、「枯葉」からスタート。
 「酒とバラの日々」をやって、ブルースをやって。
 少人数でトランペット2本なんてあんまり体験でない編成なので、もうワクワクです。
 桑野さんのトランペット、艶のある音色で、とっても歌うんです。
 バップ色の濃い三村さんと個性の違いがはっきりしていて、すごく楽しかった。
 締めは、「おれ歌おうかなあ」。
 「ジョージア・オン・マイ・マインド」を歌う桑野さん。
 これがまた上手くって、ウェットで、情感たっぷりなんです。
 「架空楽団」結成以来のメンバーで、ムーンライダースやあがた森魚、佐野史郎、鈴木茂などなどとの共演経験もある地元の名物歯科医・黒瀬さんがずっとギターを弾いてくれました。
 一緒に来てくれたサッちゃん、タカちゃん、モトちゃんも終始盛り上げ盛り上げられ。
 こんなサイコーに楽しいセッションって、あんまり記憶にないなあ。


     


 店ごと明るい雰囲気にしてくださった桑野さん。
 「人」に感動したのっていつ以来だろう。
 もういっぺんに大ファンになりました。
 「今度はライブしたいね」だって。
 実現しないかな。
 したらいいなあ。


 廣田神社へ行った翌日にこのできごと。
 いろいろお世話になっている方に、「感動したんですよ~」とこの話をすると、ニコニコしながら、
 「それは偶然じゃないよ、きっと。気持ちを浄化したり前を向いて行けるように廣田さんが桑野さんを遣わせてくださったんじゃないかな。」
 あながち冗談には思えなかったな。ぼくもちょっとそんな気がするんですよね~


     



『 アブラの王様〜岡山編 』 | 桑野信義&MASAオフィシャルブログ ボクらのじゆうけんきゅう おわらないなつやすみ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 
 

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おかやまジャズストリート後の胡瓜

2023年10月10日 | GROOVYの日々

【Live Information】


 10月7日~8日は「おかやまジャズストリート」でした。
 2日目は、午後2時すぎくらいから雨が降り始めましたが、盛況のなか幕をとじました。

 Jazz Bar GROOVYも会場のひとつでした。
 2日目のプログラムは、ぼくと笹倉明子さん(piano)のデュオ、そして多田誠司さん(sax)と藤井雅紀さん(piano)のデュオ。
 多田誠司さんといえば、言うまでもなく日本のジャズ界をリードするトップランナーのひとり。そして藤井さんは中四国を股にかけて長年活躍してこられた、岡山のジャズミュージシャンの中では知らない者はいないという存在。
 このふたりは、岡山市内のライブハウス「Bird」の、30年以上も前からの旧知の間柄です。


     


 心地よい時間はあっという間に流れ、素晴らしい演奏を終えた多田さんは寛いだ感じで椅子に腰をおろしました。
 皆「多田さんお疲れさまでした。なにか飲みます?」
 多「おっ、それじゃジンリッキーお願いします❣
 トクトク(←ジンを注ぐ) カラカラ(←マドラーでまぜる)
 皆「お待たせでした」
 多「ありがとうございます❣
 皆「ところで多田さんは飲むときは何かつまむ派ですか」
 多「ときどき鼻をつまみながら飲むねえwww」
 皆「耳もつまめますよねwww」
 皆・多「wwwww」
 というやりとりのあと、じゃあ何かつくりますね、と言って冷蔵庫からきゅうりを取り出した瞬間、背後から「あ、きゅうりオンリーだめなんだよ~」という多田さんの声が。
 皆「きゅうり『だけ』がダメなんですか?」
 多「そうそう、きゅうり『だけ』がムリなんだよ、ごめんなさいね」
 皆「全然大丈夫ですよ、じゃあちょっと待っててくださいね」
 そしてとりかかるGROOVY名物のひとつ「肉味噌」。
 最近、肉味噌を作るのにハマッてまして、これがまた自分で言うのもアレですけど、オイシイんですよ。
 きゅうりを厚めにスライスして、肉味噌をのっけて、もろきゅうみたいな感じでいただく。
 なんでこんなにウマいものをわざわざ人に出さにゃいかんの?
 できるなら全部自分で食べたいわ~(*´Д`)
 というわけで、これなら多田さんも満足するであろう、と自信たっぷりに「(^-^)♫は~~いお待たせいたしm・・・」


 多「ちょちょちょちょ、オレきゅうりはダメって言ったじゃん~」
 皆「え?だってきゅうり『オンリー』がダメって言われたから、、、(肉味噌がのってる)これだったら大丈夫と思って・・・」
 多「そんな解釈ってあるぅ~? おれきゅうり『だけ』ダメなんだよ」
 皆「だから肉味噌つきなのできゅうり『だけ』にはならないようにしたんですよ~」
 多「おいおいおい~~w」


ほんとに日本語というのは・・・まったく・・・💦


 まあ蛇足で解説しますとですね、
 多田さん「(食べ物のなかで)きゅうり『だけ』がダメなんだよ」↓
 皆木の脳「あ~なるほど、きゅうり『だけ』で出されるのがイヤなんだね(←すでにここでもうwww)、じゃあマヨネーズとか肉味噌を付けたら『だけ』じゃなくなるからOKだね❣(∩´∀`)∩イヤッホウ!」


 こうして、いわば「同じ入り口から入ったのに出たところなぜか別々だった」という不可解な出来事が起きてしまったわけでございました。ああハズカシ(^^;)


 それにしても、なんでよりによってぼくは多田さんの一番キラいなきゅうりを選んでしまったんでしょうか💦💦



     


 そのあと、残っていた数人のお客さんに友人ミュージシャンたちが加わって、いつの間にか打ち上げのような宴会になりました。
 ワイワイと楽しそうにしているみんなを見ていると、
 「ああ、自分はジャズ・バーの店主になったんだな~」という実感が、なんだかしみじみ湧いてきたのでした。
 ありがたくも、幸せなことです。
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Jazz Bar GROOVY

2023年07月23日 | GROOVYの日々

【Live Information】

岡山市内の繁華街、田町の路地裏で、ジャズを心から愛する那須洋子ママの手によって25年にわたりジャズのレコードがかけ続けられてきたジャズ・バー「GROOVY」。
たくさんの方々に惜しまれながら、6月30日をもって洋子ママはいったんお店を閉めました。
しかし洋子さんからのたってのお願いと、またやはり根っからのジャズ好きで知られる常連のSさんからの後押しがあり、その気持ちをありがたくいただくことにいたしまして、わたくし皆木秀樹がGROOVYの2代目店主として後を引き継ぐことになりました。
長年にわたって洋子さんが育てた雰囲気を生かしながら、自分の雰囲気を足していこうと思います。


再オープンの日は
7月30日(日曜)にいたしました。
その日の営業時間は、13時から22時くらいまでを予定しています。


なにぶん自分の演奏活動もありまして、今現在いただいている自分のライブもそのまま活かすつもりにしています。
したがって店休日は不定休、しかも営業時間も平日とそれ以外では異なったりと、ちょっとややこしい形態でひとます出発しますが、作成中のホームページとSNSを活用して、こまめにスケジュールをアップするつもりです。
当面は、基本的には、
 平  日=18時~23時
 土日祝日=13時~21時
にしようと思っています。


ここに至るまでのこの約2年は、ほんとうにいろいろと不思議なことがありました。
そしてそれらの出来事は、改めて縁だとか、自分についてだとか、いろんなことを考える良い機会でもありました。
自分なりに考えていることも多々あります。
お店の営業と自分の活動を通じてそれが何であるか、分かってくださる方にはいつか分かっていただけたらそれでいいかな、と思っております。


     
     ただいま店内でいろいろと作業中です


おりしも中央町のライブハウス「MO:GLA」も移転のためいったん店を閉じました。
MO:GLAの社長の福武さんとも長い付き合いですが、その福武さんと先代の洋子さんは、なんと中学校の同級生、しかもお店のオープンが両店とも25年前、そして両店とも今年いったん店を閉じて新たに再生、しかも両店とも田町で音楽を奏で続けるというなんとも奇遇な関係です。
これまた不思議ですね~。


何はともあれ、皆々様には今後ともお引き立てのほどどうぞよろしくお願いいたします。
それから、実に失礼なお願いなのですが、お越しくださる皆様には、お花等のお気遣い無用でございます。お顔を見せていただくだけで充分嬉しいのです。なにぶんお店はこぢんまりとした作りでございまして、そのあたりどうぞお汲み取りのほどお願いします🙇‍♂️💦



岡山市北区田町2-5-23
Jazz Bar GROOVY
2代目店主 皆木秀樹


GROOVY ホームページ


     
     CDやレコードの整理は、たいへんだけど楽しすぎます


【7月の営業日】
7月30日(日)13時~22時頃
7月31日(月)18:00~23:00

【8月1日~8月13日の営業日】
8月1日(火)18:00~23:00
8月2日(水)18:00~23:00
8月3日(木)出張のため店休日
8月4日(金)18:00~23:00
8月5日(土)13:00~19:00
8月6日(日)13:00~21:00頃
8月7日(月)13:00~19:00
8月8日(火)18:00~23:00
8月9日(水)18:00~23:00
8月10日(木)18:00~23:00
8月11日(金)18:00~23:00
8月12日(土)出張のため店休日
8月13日(日)13:00~21:00頃


     
     カウンターにもワックスをかけました
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