言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

中国に対する「事前通報制」

2011-01-17 | 日記
櫻井よしこ 『異形の大国 中国』 ( p.63 )

 中国の理不尽な主張と日本の国益なき卑屈さの合体。その結果、東シナ海では信じ難い逆転ゲームが続いた。国際法は他国の排他的経済水域(EEZ)での資源調査を禁じているが、中国はそれを無視して日本のEEZでの海洋調査を始めたのだ。海上保安庁も海上自衛隊も日本の海を我が物顔で侵す中国の動きに警鐘を鳴らしたが、外務省がその都度、警告を無視してきた。たとえば95年12月12日、参議院外務委員会で武見敬三議員がこの件について質したとき、外務省の "エース" と言われる加藤良三アジア局長(現駐米大使)が答えている。日本近海での中国艦船の活動は「一般的な科学調査」であるとの説明を受けており、問題はないとの内容だった。海保は「中国船がケーブルを曳航しながら反復航走し」たことを確認しており、明らかにそれは「一般的な科学調査」ではない。にもかかわらず、加藤局長らは日本の国益への中国の侵害行為に目をつぶった。

(中略)

 外務省の国益への背信行為は尚も続いた。なんと、彼らは度重なる中国の国際法違反行為を事実上受け容れる決定を下したのだ。2000年8月、森喜朗首相の下、河野洋平外相は中国側に「事前通報制」を提唱した。日本側海域に入っての調査は2か月前に通報し、調査内容などを告げれば是とするというものだ。中国側は笑いを噛み殺したことだろう。調査が申請どおりの内容で行われる保証はないために、同措置は中国に日本の海での自由行動を許したに等しいものだった。
 中国に東シナ海での自由な資源調査を許す一方で、1960年代から資源調査の申請を出し続けてきた日本の企業には、日中関係に摩擦が生ずるとして許可を与えないできたのが、外務省と親中国派の政治家たちだ。


 中国の理不尽な主張に対して、日本は日中関係に摩擦が生ずることを嫌って国益を守ろうとしていない。それどころか、日本側はみずから国益を放棄するに等しい「事前通報制」を中国に提唱した、と書かれています。



 上記、外務省の「加藤良三アジア局長(現駐米大使)」の答弁はおかしくないでしょうか?

 加藤局長(当時)は
日本近海での中国艦船の活動は「一般的な科学調査」であるとの説明を受けており、問題はない
と答弁した、とのことですが、
「一般的な科学調査」であろうがなかろうが、つまり、たとえ「一般的な科学調査」であろうが、他国の排他的経済水域内において勝手に資源調査を行うことそのものが、問題
だと考えるのが当然ではないでしょうか。これはたとえば、自分の家に他人が勝手に立ち入って資産・家財道具の調査を始めたときに、
窃盗・強盗目的ではなく、「一般的な資産調査」であるから問題はない
というに等しくないでしょうか?

 「一般的な科学調査」だろうが「一般的な資産調査」だろうが、要はなんの権限もない者が権利者の許可を得ず、勝手に立ち入って勝手に調査を行うことそのものが問題なのであって、「一般的な科学調査」であるから問題はない、という加藤局長の答弁はおかしいのではないかと思います。

 もちろんこの答弁には、著者が指摘しているような、「明らかにそれは『一般的な科学調査』ではない」という批判も成立しますが、それ以前に、そもそも「一般的な科学調査」であっても問題があるのではないか、というのが私の主張の趣旨です。



 とすると、外務省の加藤局長は
無理矢理、「中国の行為に問題はない」と言おうとした
ということになります。

 外交の世界では、相手国に「貸し」を作ることが出世につながるともいいますが、加藤局長がそのような意図で中国をかばったのであれば、「日本の国益を犠牲にして、自分の出世を優先した」ということになるでしょう。加藤局長の仕事は「日本の国益を守ること」であって、「日本の国益を犠牲にして中国をかばうこと」ではありません。



 また、森喜朗内閣において提唱されたという「事前通報制」も、おかしな制度です。さきほどの比喩を用いれば、
あなたが他人に対して、「2か月前に通報し、調査内容などを告げれば (あなたの) 家に立ち入って資産・家財などを調査してよいことにしよう」と伝えた
ということです。なんとも奇妙な制度です。

 もちろん、中国側は「事前通報」を行えば日本側海域に入って調査を行ってよいが、日本側は「事前通報」を行っても中国側海域に入って調査を行えないわけです。

 日本側がみずから、このような提唱をしたとき、おそらく(著者の推測どおり) 中国側は「笑いを噛み殺した」のではないかと思われます。



 日本の政治家・官僚は何を考えているのか、ということにもなりますが、加藤局長が「日本の国益を犠牲にして自分の出世を狙ったの『かもしれない』」のと同様、ほかの政治家・官僚も「国益を犠牲にし、自分の利益を優先しているの『かもしれない』」とも思われます。

 なんともなさけない話です。

 この推測が当たっておらず、大外れであれば、私としてはうれしいかぎりです。



 なお、日本側が是々非々の態度をとらなければ、ますます中国はつけあがり、ますます日中関係はいびつになってしまうでしょう。摩擦を恐れず、是々非々の態度をとってこそ「本当の」日中友好が実現するのではないかと思います (「東シナ海油田・尖閣問題にみる中国の狡猾さと「本当の」日中友好」参照 ) 。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 東シナ海油田・尖閣問題にみ... | トップ | 東シナ海資源の共同開発のために »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。