「日本経済新聞」の「「尖閣諸島で中台連携なし」 台湾・国民党幹事長」( 2010/9/17 18:52 )
台湾の国民党秘書長 (幹事長) は、尖閣諸島について、「同諸島の主権が台湾にあるとの従来の主張に変わりはない」と述べつつも、「(同諸島を巡る対応で)台湾が中国と連携(して日本に対処)することはない」と語った、と報じられています。
「主権が台湾にあるとの従来の主張に変わりはない」のであれば、台湾にしてみれば、「中国漁船によって台湾の領海が侵害された」ことになるはずです。したがって、
なぜ、台湾は中国に対して領海侵犯を抗議しないのか
という疑問が浮かんできます。
このあたりの台湾の対応 (…のおかしさ) が、記事中にある「日本国内で懸念が強まっている中台の連携」の根拠にもなっているのだと思います。
台湾が中国に対して抗議しない理由は、
対中関係をこじらせて、台湾の輸出産業にダメージを与えたくない
ということなのかもしれませんが、この問題は、輸出産業の保護に比べはるかに重要な問題であると考えられますので、やや疑問の残るところだと思います。
ところで、
「世界日報」の「尖閣問題「第三国と何ら連携とらない」台湾外務次官」( 2010/9/17 19:19 )
台湾の外交部政務次官は日米安保について、「日米安保は東アジアの安全保障のキーストーンであり、支持している」と述べたと報じられています。
日米安保を支持しているというのですから、台湾にとって、中国が脅威たりうるということだと思います。すなわち、(政治的に) 台湾は中国と一定の距離を保ちたい (=中台統一を望んでいない) 、との意志表明とみられます。
したがって、台湾が中国に対して抗議しないのは、中台連携への一歩ではなく、
(台湾が) 政治的に難しい立場である状況を反映した行動 (沈黙) にすぎない
と考えるべきだと思われます。
来日している台湾の与党・国民党の金溥聡秘書長(幹事長)は17日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、沖縄県の尖閣諸島について「(同諸島を巡る対応で)台湾が中国と連携(して日本に対処)することはない」と語った。ただ、「同諸島の主権が台湾にあるとの従来の主張に変わりはない」とも述べた。
香港とマカオの活動家に尖閣諸島への上陸を許可しなかったことを挙げ、日本国内で懸念が強まっている中台の連携を強く否定した。中国漁船の船長を逮捕したことに抗議する台湾の船舶が当局の巡視船とともに同諸島に近づいた問題については「彼らは漁民のライセンスを持っており、出船を禁じることはできない」と正当性を強調した。
12日に発効した中国との経済協力枠組み協定(ECFA)については「台湾は輸出産業を重視しており、台湾の経済発展につながる」との見方を示した。
台湾の国民党秘書長 (幹事長) は、尖閣諸島について、「同諸島の主権が台湾にあるとの従来の主張に変わりはない」と述べつつも、「(同諸島を巡る対応で)台湾が中国と連携(して日本に対処)することはない」と語った、と報じられています。
「主権が台湾にあるとの従来の主張に変わりはない」のであれば、台湾にしてみれば、「中国漁船によって台湾の領海が侵害された」ことになるはずです。したがって、
なぜ、台湾は中国に対して領海侵犯を抗議しないのか
という疑問が浮かんできます。
このあたりの台湾の対応 (…のおかしさ) が、記事中にある「日本国内で懸念が強まっている中台の連携」の根拠にもなっているのだと思います。
台湾が中国に対して抗議しない理由は、
12日に発効した中国との経済協力枠組み協定(ECFA)については「台湾は輸出産業を重視しており、台湾の経済発展につながる」との見方を示した。とあることから察するに、
対中関係をこじらせて、台湾の輸出産業にダメージを与えたくない
ということなのかもしれませんが、この問題は、輸出産業の保護に比べはるかに重要な問題であると考えられますので、やや疑問の残るところだと思います。
ところで、
「世界日報」の「尖閣問題「第三国と何ら連携とらない」台湾外務次官」( 2010/9/17 19:19 )
【台北・岩崎哲】台湾の沈呂巡外交部政務次官は16日、本紙と会見し、尖閣諸島で日本巡視艇と中国漁船が衝突した事件に関連して、尖閣諸島の「領有権は歴史的に見ても、法律的に見ても、中華民国(台湾)に属していることは明白である」とした上で、「この件について、第三国とは何ら連携していない」と強調し、中国などと連携した対応をとる考えがないことを強調した。
また、沈次官は尖閣諸島問題で日本と台湾の間には食い違いはあるものの、両国関係は、「馬英九政権発足以来良好であり、さらに協力関係を増進させていきたい」と期待感を示し、漁業問題について「操業ルール」作りの必要性を訴えた。
沖縄の米軍普天間基地移転について、沈次官は「注意深く見守っている」とし、「日米安保は東アジアの安全保障のキーストーンであり、支持している」と述べた。
台湾の外交部政務次官は日米安保について、「日米安保は東アジアの安全保障のキーストーンであり、支持している」と述べたと報じられています。
日米安保を支持しているというのですから、台湾にとって、中国が脅威たりうるということだと思います。すなわち、(政治的に) 台湾は中国と一定の距離を保ちたい (=中台統一を望んでいない) 、との意志表明とみられます。
したがって、台湾が中国に対して抗議しないのは、中台連携への一歩ではなく、
(台湾が) 政治的に難しい立場である状況を反映した行動 (沈黙) にすぎない
と考えるべきだと思われます。
①国民党…中華民国の領土
②民進党…台湾の領土
③李登輝…日本の領土
です。
尚、①と②は似て非なるものです。
中華民国の領土と、台湾の領土の「違い」は何ですか? わかりやすく教えてください。
②しかし、民進党は、領土を台湾とその周辺諸島に限定した国造りを、目指してますので、中国の主張には反発します。
尚、中国の地図では尖閣を「台湾省ではなく福建省に入れている」ので、当然、民進党とは相入れません。
台湾は沖縄も台湾領だと主張したことがありますが、台湾は現在も、沖縄は台湾領であるという主張を「撤回または取消していない」のでしょうか?
沖縄では、古くからある中華料理屋の大部分が、台湾人経営の台湾料理屋です。
さて、1971年の日米間の沖縄返還協定締結時、当時の国民党政権は
「尖閣が返還対象に含まれたこと」
と
「台湾に相談無く決めたこと」
に異議をとなえました。
そこで、日本各地にある台湾代表部(現在の駐日台北経済文化代表処)の内、那覇の代表処だけ、「中琉経済文化交流協会」と別名称としました。
しかし、民進党政権になり、同じ名称「台北経済文化代表処那覇分処」に統一して、この問題は終息しました。
詳しいことは、ウィキペディアに書いてあったはずですので、ご参照下さい。
日本政府の「南樺太と北千島に対するスタンス」に近いですね。
1950年代の日ソ交渉で、最も激しく対立したタイミングで、日本政府は「南樺太と北千島も含む日本の主権回復」を要求しました。
現在、日本政府は、「南樺太と北千島」については、返還要求はしていませんが、未だにロシアの主権を「公式には」認めていませんし、前述の日ソ交渉での日本政府の主張を「撤回した」事実もありません。
これについては、麻生首相がサハリンでの日ロ首脳会談から帰国直後、外務省が「南樺太の帰属先は未定」と発表し、ロシア外務省は反発しました。
しかし、領土主権問題では、こうした基本原則だけは、一貫していることが重要なのです。