05/16 私の音楽仲間 (582) ~ 私の室内楽仲間たち (555)
流用とは何事じゃ!
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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本当の第二主題
趣向は変わらんよ
ドクソウ的じゃろうが…
流用とは何事じゃ!
お前は黙っておれ
お前は馬鹿じゃのう
今回は、クイズもどきになってしまいました。 “曲名当て”
です。 そのつもりでお楽しみください。
ドヴォジャークの 弦楽六重奏曲 イ長調 Op.48 の
第Ⅲ楽章は 3/4拍子。 “Presto”、“Trio”、“Presto”
の3部分で出来ています。
[譜例 1]は Vn.Ⅰのパート譜で、“Trio” の最初の部分。
[演奏例の音源]もここからスタートします。
最初はニ長調で始まります…、
↑
二段目で転調していますね。 嬰へ長調という厄介な調で、
最初の音は Do# です。
さて、ここで貴方が、ある別の曲を連想したとすれば…。
「素晴らしい! よくご存じですね。」…と申し上げるところ
です。 それは、同じ作曲家の管弦楽曲ですが。
私の場合は、かつてオーケストラで Viola を弾いていた
ので、次の[譜例 2]が浮かんできます。 上の譜例と同じ
Do# の音から始まります (音域は2オクターヴ下)。
↓
やはり嬰へ長調で、この曲ではイ長調から転調しました。
さて、何の曲でしょう?
それでは、今度は[譜例 3]をご覧ください。 同じ管弦楽曲の
Vn.Ⅱパートで、そのイ長調に入る箇所です。
これでお解りでしょうか? もし “まだ” でしたら、重要なヒントを
差し上げます。 それは、この2小節の形です!
↓ ↓ ↓
この管弦楽曲、曲名は最後にご覧いただくとして、どうやら
作曲時期も同じらしい。 1878年の5月、ドヴォジャークが
36歳の頃です。 今回の六重奏曲に比べたらはるかに有名
で、出世作と言ってもいいほど。
出版と同時に、西欧の音楽界に大反響を巻き起こしました。
原曲は “四手ピアノ” 用で、家庭でも手軽に演奏できる形
です。 それがよかったのかもしれません。