MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

趣向は変わらんよ

2014-05-14 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

 

05/14 私の音楽仲間 (580) ~ 私の室内楽仲間たち (553)




              趣向は変わらんよ


         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



                関連記事  

                甘いエサには罠がある
                  開放的な職人
                    静かな ff
                  本当の第二主題

                 趣向は変わらんよ
                ドクソウ的じゃろうが…
                 流用とは何事じゃ!
                  お前は黙っておれ
                 お前は馬鹿じゃのう

 

 

 ドヴォジャーク の 弦楽六重奏曲 イ長調 Op.48

 その第Ⅰ楽章で遭遇した、“tranquillo” の一節です。
私には、どこかで聞き覚えのあるものでした。


 それは、次の[譜例 1]の三段目に見られる、
2小節。 完全5度下降音階から成る形です。 

 

 

 それでは演奏をお聞きください。 その中ほどに出てきます。



 この音源は、私の友人のPCソフト君が作ったものです。
ある有名な曲の、一番最後の部分でした。


 まず、【18秒】で聞こえる中音域の楽器は、2本のトロンボーン。
本当は ff ですが、ちょっと弱いですね。

 そして【25秒】のトランペットが、この5度音階でした。 1拍 
だけ遅れて続くのが、4本のホルンです。


 それでは、次の[譜例 2]で元のテーマを見てみましょう。
こちらは楽章の頭で、調性はロ短調です。

 先ほどはロ長調で、テンポも最初はゆっくり。 音符の
長さも倍になっています。


          トロンボーンへ

                  トランペットへ


 トロンボーンに現われる三連符は、この2小節目前半の
リズムが変化したもの。 これに対して、リズムは元のまま
でも、音の上下の動きが逆なのがトランペットでした。


 曲は、やはりドヴォジャークのチェロ協奏曲で、その
第Ⅲ楽章です。

 これはアメリカ時代の終りの作品 (1894~1895年) で、
六重奏曲 (1878年頃) とは15年以上の隔たりがあります。
作品同士に密接な関連があるとは思えません。


 しかし、偶然かもしれませんが、この “跳躍
に続く下降音階” は、両者に頻出しています。

 彼にしてみれば、歌の定型なのでしょうか。

 


        音源ページ]