MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

ドクソウ的じゃろうが…

2014-05-15 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

 

05/15 私の音楽仲間 (581) ~ 私の室内楽仲間たち (554)




            ドクソウ的じゃろうが…


         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



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                 趣向は変わらんよ
                ドクソウ的じゃろうが…
                 流用とは何事じゃ!
                  お前は黙っておれ
                 お前は馬鹿じゃのう

 

 

 「この作品の主題が先住民インディアンや南部の黒人
歌謡から採られたという俗説があるが、これについて
作曲者自身が……明確に否定しており…。」

 これは、ドヴォジャークのチェロ協奏曲の解説ページ
ある記述です。


 しかし同じページには、「ボヘミアの音楽と黒人霊歌
アメリカン・インディアンの音楽を見事に融和させた作品
として名高い。」…ともあります。

 一体どっちなのさ…?



 [譜例 1]は、この協奏曲の主題の一つです。 第Ⅲ楽章
ソロ譜で、すでに前回ご覧いただきました。

       関連記事 趣向は変わらんよ


 テンポは “Allegro moderato” ですが、ソリストによって
は、驚くほど速い!

 それもいいのですが…。 迫力や技巧の冴えで聴衆
をうならすことは出来ても、作品の併せ持つ “陰影” や
“憂い” は失われてしまいます。



 次の[譜例 2]は、同じ作曲家の 弦楽六重奏曲 イ長調
Op.48 の第Ⅱ楽章。 Dumka (Elegie) と題された、ニ短調の
ゆっくりな二拍子です。

 演奏例の音源]です。 



 気分は、あのピアノ三重奏曲 "Dumky" の第Ⅳ楽章
(音源例) と共通しています。

 Dumka と名付けられた楽章は、他にもピアノ五重奏曲
などに見られます。


 さて、上の二つの譜例を比べてみてください。

 もちろんテンポには差がありますが、基本的な気分
驚くほど似ているように感じられます。 リズムや
音程関係にも、幾つか共通点が見られます。



 [wikipedia]には以下の記述があります。

 「“ドゥムキー” とはウクライナの民謡形式の一つ “ドゥムカ”
複数形だが、チェコ語で同じ “ドゥムカ” という言葉があり、
“回想” あるいは “瞑想” を意味する。 ドヴォジャークの作品
民謡としての “ドゥムカ” の形式を必ずしも踏襲していない
ことから、後者の意味で使っているという説もあるが、定かで
はない。

 


             音源ページ]