MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

ホラ吹き Violin

2014-05-25 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

05/25 私の音楽仲間 (589) ~ 私の室内楽仲間たち (562)




              ホラ吹き Violin



         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




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                   ソロも揃って
                 ホラ吹き Violin





 かつて私はフルートに挑戦したことがあります。

 大昔のことで、ただ “かじった” だけ。 “演奏する”
…レベルまでは、とても行きませんでした。


 それからチェロにも。 「同じ弦楽器だから」…と友人に
勧められたのです。 こちらは多少真剣で、ちゃんと先生
につこうと思ったこともありますが、敢えて止めました。
同じ弦楽器とはいえ、違う点が多すぎるから。

 まず楽器の向きが反対です。 したがって、高弦は
体の左側に、低弦は右側に。

 また、弦の上で手を伸ばすにも、高音は遠くに (下に)
低音は手前に (上に)。 …つまり、左右や遠近が反対。


 これだけ身体の動かし方が逆だと面食らう。 楽譜を見れば
条件反射的に反応してしまうのが “演奏の動作” だからです。

 また、そうでなければ意味が無い。 それなりに苦労して身に
付けた動作ですから。


 結局、同じ弦楽器でも、“似て非なるもの”。 「却って紛らわしい」
…というのが、不器用な私の感覚でした。

 もう一つは、左手指の拡げ方です。 Violin 型の楽器で楽な形を
“応用” したつもりで、私がチェロを弾いていたら、「それは違う!」
…と言われてしまった。 そこで “正しい方法” を真似してみたが、
そのほうが “私にとっては” 苦しいのです。

 ちなみに、「楽か苦か?」…なる自分自身の感覚は、「先生の
教え以上に重要だ」…と考えています。


 さて、Violin や Viola でさえ満足に弾けないのに、この上さらなる
矛盾を抱えるのは、まっぴらだよ。 …そう思い、チェロには一切
手を出さないことに決めたのです。

 もっとも知り合いの中には、Violin からチェロまで弾きこなす
人間もいる。 その上、「コントラバスもOK」…なんていう人さえ!
彼らの頭と身体は、一体どうなってるんでしょう…?




 譜例は、引き続き Mozart の 協奏交響曲 変ホ長調
K364 の室内楽版です。 今回は第Ⅲ楽章の冒頭部分
で、Vn.Ⅰのパート譜です。

 演奏例の音源]は、その2小節ほどから始まります。


 今回も、1【独奏 Violin、2【オケの Vn.Ⅰ】が登場しますが、
その上さらにオーボエが!

 実は、裏では “ホルン” も鳴っているのです。 私のパート譜
ではありませんが、譜例のどの時点か、お解りでしょうか?



 それは三段目の最後から、8小節間。  オーボエの私が、
7小節休んだ後、これを引き継ぎます。

 

 実際に、私がオーボエをイメージして “吹いた” のは事実です。
所詮弦楽器ですし、音色自体が変わることはありませんが。

 でも、この音域の “透き通った音色” (…と私は感じる)
そして、あの独特の “舌突き”。


 「Violin では、具体的にどうするんだ?」 そう訊かれる
難しいのですが…。

 弓の軽さの調節や、ヴィブラートの調整、スタカートの
音の残し方”…などと言ったらいいのでしょうか。 “理論”
というより、感覚的なものですが。


 「やった、やった! ついに “憧れのオーボエ” を吹いたぞ!」

 ちっとも吹いたことにはならない。 吹いたのはオーボラでした。

 



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