飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

僕は知らない寺山修司NO.83⇒「毛皮のマリー」(ティー・ファクトリー)

2008-05-14 | 寺山修司
ここのところずっとサロメにこだわりサロメについて書いてきた。その間に寺山修司の命日のGWも過ぎてしまいました。サロメを書いている最中にも寺山修司に関連する芝居を観たりしたので、遅れながらも備忘録としてそれらをアップしていきます。
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「毛皮のマリー」(ティー・ファクトリー)
■日時2008年5月3日(土)
■劇場:シアター・トラム
■作:寺山修司
■演出:川村毅
■主演:川村毅、手塚とおる、管野菜保之、笠木誠、他

ストレートに面白かった。特に中年の男娼マリーを演じる川村毅の怪演が嬉しかった。グロテスクな化粧、無理して出しているのか、それとももとから高いのか、かん高い声と時折見せる太いオヤジ声と獣(ゴリラか猪)のような鼻息、漫画を見ているような身振り手振りと素直にマリーの演技に好感が持て楽しむことができた。

8年ぶりの舞台における主役であるという。何故、演劇界で成功し名も残している川村毅が、中年の必ずしも美しいとはいえない男娼マリーを演じようと思ったのか?その真意は分からないが、チラシを見ると年齢が47歳となる。ボクと同い年ではないか。いやー、才能の差に自分が情けなくなってくるのを感じるが、50歳を前に待っているのは老年にさしかかる手前の入口。自分棚卸しをちょっとはしたくなる、棚卸しするには「毛皮のマリー」は中々素敵な素材であるか。

勝手に想像し書いているのですが、若くてはその味を出すことができないマリーの独白の部分、川村は唾を飛ばし誇張する部分は跳ねたりと熱演してみせ、説得力ある演技を見せていたと強く思うのだった。

舞台は全ての穢れを洗い流すかのような“白”の世界。それはマリーの奥に眠る純真な心の反映なのか、それとも欣也の培養された無垢を反映しているのか、象徴的なバスタブの色の延長線上なのか。ボクはこの舞台を観ながらヤン・シュヴァンクマイエル監督の映画「ルナシー」を思い出した。それは精神病院が舞台で、患者が革命を描いた有名な絵(タイトルは思いつかない)の世界を芝居として演じる部分があったり、現実と虚構が交錯し何が真実なのかいくぶん政治的なメタファーも織り込みながら眩暈を起こさせるような映画であった。

この「毛皮のマリー」は先のように白で統一された世界であり、ベットや車椅子などの小道具も含めて病院の中?といううことを連想させたのである。つまりすべての登場人物は精神病院の患者たち?それぞれがそれぞれの幻想の世界を忠実に生きている、そんなことを感じたのである。物語の最後、マリーが家出したものの元の鞘に戻ってきた欣也に対して化粧を施す。そこまではマリーと欣也には圧倒的な主従の関係があるが、最後にお互い目をあわせ対等にフッと笑う。そこには毛皮のマリーの世界にはないイコールのあるいは相棒のような関係が見られたのです。

そしてレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」を役者たちが模した展開へ。キリストは欣也が、ヨハネをマリーが、下僕がペテロ演じている。これななにを意味しているのか?観ていながら「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出し、ああMの形になっているなあ、と。もしかしてマリーはヨハネではなくてマグダラのマリア?確かマグダラのマリアは娼婦であったはず。「ダ・ヴィンチ・コード」ではキリストの子供を生んで現代に子孫を残しているとか。ならば、実はマリーと欣也は病院の中の患者で恋人同士?この芝居を演出したのは欣也?と連想は果てしなく続いていくのでありました。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (乱鳥)
2008-05-15 01:38:11
TB、ありがとうございました。関東はいいですね!私はTV・・・でした。
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コメント (飾釦)
2008-05-15 21:42:47
ありがとうございます。
乱鳥さんも京都が近いようなので、うらやましいです。ありがとうございました。
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はじめまして (珠姫)
2008-05-17 23:33:37
トラックバックされていたので、飛んで参りました。

川村さんの演技は、真に迫っていて、
これが役者魂なのだなぁ・・・と、惚れ惚れしました。
欣也の危うさも素敵だと思いました。

寺山作品は、これが初見なので、
此処で勉強させて頂こうと思います。
また、来させてください。

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ありがとうございます (飾釦)
2008-05-18 08:04:04
珠姫さん、コメントをいただきありがとうございます。また、見てやってください。
返信する

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