乱歩NO.３６・・・＜乱歩－妖しき女たち－／１９９４年＞其１

乱歩－妖しき女たち－

放送：１９９４年ＴＢＳ
監督：吉田秋生
主演：佐野史郎、川島なお美、常盤貴子、床嶋佳子、小川範子、山咲千里、豊原功補

社会のシステムの中に組み込まれ自分の人生もままならず、ストレスに蝕まれ神経も擦り減っており、境界一歩手前まで来ているサラリーマン＝佐野史郎を進行役として、江戸川乱歩の短編を中心に４作品を、丁寧にそして忠実に描いている好作品です。

その乱歩の作品とは別の映像化された部分、それの乱歩へのオマージュに満ちています。

佐野史郎が、帰宅すると妻＝川島なお美は復刻版江戸川乱歩の小説を読んでいる。それを見た、佐野は物置の部屋に入り、自身が大切に収納している“少年探偵手帳”や“BDバッチ”を取り出し少年時代の夢を確認、そして乱歩の小説をニヤニヤしながら読み始めます。

佐野の頭の世界はいつのまにか乱歩ワールドにワープするのです。現実なのか幻想なのか、その境界があいまいになってきます。その幻視の世界、本編の小品以外にも乱歩の要素がぎっしりと詰まっています。盲獣、陰獣、青銅の魔人、少年探偵団、幽霊塔、押絵と旅する男、蟲などなど。

きっと、作り手も熱烈な乱歩ファンだったのでしょう。しかし、それらは佐野が乱歩世界の住人となる予兆であったのです・・・。（内容盛りだくさんにつき、明日の投稿に続きます）


※ついに江戸川乱歩関連の投稿記事１００回目となりました。我乍らここまで続くとは思いませんでした。おかげですっかり乱歩通となってしまいました？もうここいらで打ち止めかと思いきや、まだまだ書けそうな気配です。このブログを見ていただいた方へ、励みになりますから、もしよろしければ下記のランキングクリックしていただけると幸いです。

⇒人気blogランキングへ


■関連小説

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 光文社 このアイテムの詳細を見る

■ビデオ

乱歩～妖しき女たち～ ビクターエンタテインメント このアイテムの詳細を見る